クライアント概要
国内大手の自動車部品メーカー。
同社はデータAI活用を軸とした新規事業創出を推進する専任組織を設け、次世代モビリティサービスの実装に向けた新たな事業機会探索を積極的に進めていた。
背景・課題
公共交通機関（路線バス・コミュニティバス等）の運行最適化は社会課題として重要性が増しており、データAIソリューションのニーズも高まりつつある。しかし、同社が新規事業創出を検討するなかで、以下のような課題が存在していた。
公共交通業界特有の構造が複雑で、市場性・成長性の見極めが困難
海外含む業界動向や先行事例について体系的な情報が不足
想定ソリューションの価値仮説が定義しきれておらず、意思決定につながるレベルの検討が必要
自社のみでは調査・事業具体化のリソースが不足
事業化に向けたロードマップが描けておらず、経営判断に必要な材料が揃っていない
こうした状況から、新規事業検討のパートナーとしてReinforzが支援を実施した。
具体的なアプローチ・ご支援内容
「共創」「現場主義」「自走化サポート」を軸に、構想段階から事業化に必要な論点検討を一気通貫で支援した。
1. 公共交通領域の業界構造整理・市場性評価（CPF/PSF検証）
公共交通の事業者構造・現場オペレーション・意思決定プロセスまで踏み込み、定量・定性の両面から検証。
国内外の公共交通市場の構造分析
運行最適化ソリューションの導入実態・課題の洗い出し
国内/海外の自治体・交通事業者の動向調査
CPF（顧客課題の深さ）/PSF（ソリューション適合性）の精緻な評価
2. トレンド分析と先行事例の深掘り
最新のモビリティ×AI領域の技術トレンド・政策動向を整理。
国内外のAI最適化ソリューション事例の比較
自治体のスマートシティ施策、交通DX施策の把握
公共交通事業運営の規制・補助金制度の調査
3. 国内・海外有識者インタビュー（現場起点の知見収集）
実務者・政策担当者・海外ソリューション提供者など多様なステークホルダーへの有識者ヒアリングを実施。
現場運行管理者・自治体担当者のオペレーション課題の把握
海外先行ベンダーへのインタビューによる事業成立要因の抽出
現場視点からの導入障壁・本質的な価値ドライバーの特定
4. ビジネスモデルの具体化・価値仮説の整理
ヒアリングにより得られたファクトを基に、事業として成立するモデルへ落とし込み。
顧客セグメント別の課題と提供価値の整理
SaaS型モデルとデータ活用モデルの比較検討
利用料金体系、更新モデル、導入プロセスの設計
パートナー戦略・アライアンス構造の検討
5. 事業計画・ロードマップ策定（自走化を前提にした設計）
クライアントの内部推進力を高める形で、事業化に必要なステップを体系化。
事業KGI/KPIの設計
MVP/PoCの検証設計
中長期の事業化ロードマップの作成
組織体制・必要リソースの明確化（自走化に向けた役割分解）
Reinforzは、調査・分析だけでなく、クライアント担当者と週次で密に共創しながら、意思決定に必要な材料と事業推進力を両立させる形で支援を行った。
成果
本プロジェクトの成果は、クライアントが“確信を持って進められる事業の型”を得られた点にある。
公共交通領域の市場性がクリアになり、参入の可否と優先領域を経営が判断できる状態に
CPF/PSFに基づく価値仮説が明確化され、事業コンセプトが具体レベルまで整理
国内外事例・有識者知見に基づく分析結果により、事業成立の可能性を判断するファクトを獲得
SaaS型のビジネスモデル案と収益モデルが整理され、中長期で持続可能な事業計画が整備
ロードマップ策定により、次フェーズ（PoC・事業化）の具体的アクションが明確化
クライアント内で推進可能な体制・フレームが整い、自走力を持った新規事業推進が実現
「共創」「現場起点」を体現したプロジェクトとなり、クライアントの新規事業開発の加速に寄与した。
