クライアント概要
国内大手の不動産デベロッパー。
大規模マンション開発・管理・リノベーション・ライフサポート事業など多角的に事業を展開し、入居データ、建物データ、設備稼働データなど、豊富な不動産関連アセットを保有している。デジタルやデータ活用を中長期の成長戦略に位置づけ、新たな事業開発およびプロダクト開発を推進していた。
背景・課題
同社は大規模な不動産ストックを活かした新規事業を検討していたが、「データ活用戦略の不明確さ」「新プロダクト開発の進め方」「推進リソース不足」など、複数の課題が同時多発していた。
主な課題は以下の通り:
保有アセット・データの蓄積や、どの領域で活用するかの方針が定義できていない
生活者向け・管理会社向け・B2Bパートナー向けなど、価値提供の優先領域が曖昧
不動産周辺領域のSaaS型事業機会をどこに求めるべきか、事業アイデアの体系化が急務
新規事業の具体化に必要なマーケット分析や仮説検証を行う専門リソースが不足
新規プロダクトの開発において、技術要件・収益モデル・実行計画の整理が不十分
事業化までのプロセス(構想→検証→開発→拡大)が明確でなく、推進の再現性が低い
これらの状況から、共創型で事業構想〜事業化まで伴走する支援を実施した。
具体的なアプローチ・ご支援内容
クライアントの事業・現場特性を深く理解したうえで、「共創」「現場主義」「成果コミット」を軸にプロジェクトを推進した。
1. 不動産アセットの棚卸し・データ活用方針の策定
多岐にわたる不動産データを整理し、事業戦略と紐づけて“活用できるデータの型”を定義。
建物・設備・生活者データの棚卸し
データ収集〜蓄積〜利活用までの構想策定
事業コンセプトと連動したデータプラットフォーム方針の構築
短期・中期・長期のデータ活用シナリオの明確化
2. 不動産周辺領域のSaaS型新規事業の創出支援
市場構造分析と顧客課題の分解を通じ、実現可能性・収益性の高い事業案を複数創出。
不動産管理、コミュニティ支援、リノベ、設備保全など周辺領域の市場分析
顧客課題(CPF)とソリューション適合性(PSF)の評価
SaaS型サービスのビジネスモデル構築(料金体系・運用プロセス)
優先すべき事業案の特定と事業性評価
3. 新規プロダクトの具体化・検証設計(現場主義)
現場ヒアリング・不動産管理会社・入居者向けインサイト探索を通じて、プロダクト価値を磨き込み。
ユーザーペインの深掘り(入居者/管理会社/オーナー)
MVPプロトタイプの要件定義
PoC設計(検証仮説・KPI・実施プロセス)
UI/UXの方向性と機能要件の具体化
4. 事業計画・ロードマップ策定(自走化支援)
クライアントが自走できる状態をつくるため、推進体制・意思決定フローまで包括的に整備。
事業収益モデルと5カ年計画の策定
推進ロードマップ(構想→PoC→開発→拡大)の設計
社内での役割分担・必要ケイパビリティの整理
実行に必要な外部パートナー/技術リソースの特定
Reinforzは、調査・分析に留まらず、クライアントの担当者と週次で共創しながら、実際に動くプロダクト・事業に落とし込むための実行力を提供した。
5. 外部連携・PoCパートナー探索
事業化に必要な外部パートナーの探索・選定をサポート。
先進スタートアップ・既存ソリューションベンダーの評価
PoC協業先(設備業者・管理会社・自治体)の探索
打ち合わせ・条件整理・候補比較などの実務伴走
PoCの立ち上げ・実行支援(成果コミット)
選定したパートナーと共にPoCを実行し、実証に必要な運営・分析を包括的にサポート。
PoCプロジェクト管理(スケジュール/タスク/ステークホルダー)
技術チームとの要件擦り合わせ
実証データの取得、分析、改善提案
PoC結果を基にした事業性・実現性の再評価
次フェーズの事業化ステップを明確化
PoC実行により、技術性・運用性・収益性をファクトベースで検証
PoC結果を踏まえた事業化ステップが明確になり、開発フェーズに移行する準備が整った
成果
本プロジェクトは、不動産アセットを活用した新規事業の可能性を可視化し、クライアントの事業創造力を大きく高めた。
データプラットフォーム活用方針が明確化し、経営レベルでの意思決定が可能な状態に整理
不動産周辺領域でのSaaS事業案が複数創出され、優先テーマが次期事業候補として選定
MVP設計とPoC計画が完了し、新規プロダクト開発フェーズへ進む準備が整った
収益モデル・ロードマップが整備され、事業化に必要な具体的アクションが明確に
推進体制とフレームが整備され、クライアントが自走可能な事業開発プロセスを獲得
リサーチ/企画/実証/事業化までを包括的に支援することで、新規事業開発のリソース不足を解消
結果として、クライアント企業は不動産アセットを中心とした新たな事業機会の創出と、将来の収益源となり得る複数のSaaS型事業の具体化へと進むことができた。









