近年、メディア業界はデジタル変革の波に乗り、テレビ放送界もその例外ではありません。オンデマンド配信、オンラインストリーミング、技術の革新、そして市場の拡大は、地上波放送会社のランキングを大きく変動させています。

今回は2023年の最新データをもとに、世界の地上波放送会社の時価総額によるランキングTOP67をご紹介します。このランキングを通して、各放送会社の現在の立ち位置や動向、さらには放送業界全体のトレンドを把握する手助けとしたいと思います。

世界の地上波放送会社ランキング:時価総額TOP67

下記の世界の地上波放送会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 所在国による分布
    • アメリカが最も多く、11社がランキング内に含まれています。
    • 日本が7社で続き、インドネシアが6社と続いています。
    • 他の国々も複数の企業をランキング内に持っていますが、それぞれの国で上位に位置する企業の数は異なります。

  • 時価総額の大きなギャップ
    • 1位のComcast Corpは237,269億円と、2位のFox Corpの22,440億円と比べて圧倒的に高い時価総額を持っています。この差は非常に大きく、特に上位の企業間での時価総額の格差が顕著です。

  • 地域的特徴
    • アジア太平洋地域からの企業が多数ランキングに名を連ねており、成長途上の市場の中でのメディア企業の存在感を示しています。
    • ヨーロッパのメディア企業もランキングに名を連ねていますが、アジアやアメリカの企業に比べるとその数は少ないようです。

  • ランキング下位の特徴
    • ランキングの下位には、時価総額が非常に小さい企業がいくつかあります。例えば、Mediaset Espana Comunicacion SAの時価総額は0億円となっています。これは企業の規模や業績、または市場評価の変動など様々な要因によるものかもしれません。

以上の分析から、このリストはメディア企業の時価総額を基にしてランキング化されていることがわかりますが、各企業の具体的な事業内容や業績、成長戦略などによって、時価総額の評価やランキングの順位が変動する可能性があることを考慮する必要があります。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:Comcast Corp(アメリカ)

Comcast Corpは、アメリカの大手メディアおよび技術企業です。テレビ放送、ケーブルテレビ、ブロードバンドインターネット、映画制作、そして公園およびリゾートの運営など、多岐にわたる事業を展開しています。NBCUniversalやSkyなどの大手ブランドが子会社としています。

事業の多様性、広範なサービス提供エリア、及び強力なブランド力が、高い時価総額を持続させる要因となっています。

2位:Fox Corp(アメリカ)

Fox Corpは、ニュース、スポーツ、エンターテインメントの分野でテレビ放送事業を手がけるアメリカのメディア企業です。

ニュースやスポーツの強力なラインアップ、特に「FOX News」や「FOX Sports」などの人気ブランドが、高い視聴率と収益を維持しています。

3位:News Corp(アメリカ)

News Corpは、新聞、書籍、デジタルリアルエステートサービスなど、多岐にわたるメディア関連事業を展開する国際的な企業です。

世界的に展開するメディアアセットと、The Wall Street JournalやThe Timesなどの有名な新聞ブランドが、広告収入と購読収入の増加に貢献しています。

4位:Paramount Global(アメリカ)

Paramount Global(以前のViacomCBS)は、テレビ、映画、およびデジタルコンテンツの生産・配信を手掛ける大手メディア企業です。

CBS、MTV、Nickelodeon、Showtimeなどのブランドを所有し、多様な視聴層にアプローチすることで、高い収益性を実現しています。

5位:Nexstar Media Group Inc(アメリカ)

Nexstarは、アメリカ最大のテレビ局運営企業であり、多数のテレビ局を所有・運営しています。

各地域での強力な放送ネットワークと、多数の地方テレビ局を所有することでの収益スケールが、その高い市場価値をサポートしています。

これらの企業は、ブランドの認知度、多様な事業ポートフォリオ、及び独自の市場戦略によって、時価総額ランキングの上位に位置しています。

【世界の地上波放送会社ランキング:時価総額TOP67リスト】

※対象となる地上波放送会社として「上場企業」かつ「地上波放送業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月28日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1Comcast Corpアメリカ2022/12237,269
2Fox Corpアメリカ2022/0622,440
3News Corpアメリカ2022/0615,415
4Paramount Globalアメリカ2022/1213,561
5Nexstar Media Group Incアメリカ2022/128,580
6RTL Group SAルクセンブルク2022/128,152
7TBSホールディングス日本2023/034,503
8Tegna Incアメリカ2022/124,501
9ITV PLCイギリス2022/124,476
10PT Elang Mahkota Teknologi Tbkインドネシア2022/123,759
11フジ・メディア・ホールディングス日本2023/033,641
12日本テレビホールディングス日本2023/033,533
13Nine Entertainment Co. Holdings Ltdオーストラリア2022/063,267
14Jiangsu Broadcasting Cable Information Network Corp Ltd中国2022/123,239
15Grupo Televisa SABメキシコ2022/123,127
16ProSiebenSat 1 Media SEドイツ2022/122,665
17Metropole Television SAフランス2022/122,329
18MFE-MediaForEuropeイタリア2021/122,180
19テレビ朝日ホールディングス日本2023/031,924
20Television Francaise 1 SAフランス2022/121,906
21Sinclair Incアメリカ2022/121,152
22TV18 Broadcast Ltdインド2023/031,145
23Gray Television Incアメリカ2022/121,133
24Atresmedia Corporacion de Medios de Comunicacion SAスペイン2022/121,122
25Modern Times Group MTG ABスウェーデン2022/121,099
26The E W Scripps Coアメリカ2022/121,079
27Network 18 Media & Investments Ltdインド2023/031,010
28テレビ東京ホールディングス日本2023/03942
29PT Surya Citra Media Tbkインドネシア2022/12908
30GMA Network Incフィリピン2022/12727
31PT Media Nusantara Citra Tbkインドネシア2022/12725
32Entravision Communications Corpアメリカ2022/12626
33BEC World PCLタイ2022/12616
34Seven West Media Ltdオーストラリア2022/06569
35Seoul Broadcasting System Co Ltd大韓民国2022/12525
36PT Global Mediacom Tbkインドネシア2022/12495
37The ONE Enterprise PCLタイ2022/12447
38PT MNC Asia Holding Tbkインドネシア2022/12383
39Television Broadcasts Ltd香港2022/12361
40Cairo Communication SpAイタリア2022/12326
41朝日放送グループホールディングス日本2023/03282
42Tv Azteca SAB de CVメキシコ2021/12252
43New Delhi Television Ltdインド2023/03243
44Southern Cross Media Group Ltdオーストラリア2022/06217
45STV Group PLCイギリス2022/12172
46PT Intermedia Capital Tbkインドネシア2022/12167
47中部日本放送日本2023/03157
48Mono Next PCLタイ2022/12152
49Grupo Media Capital SGPS SAポルトガル2022/12137
50Media Prima Bhdマレーシア2021/12136
51Korea New Network Corp大韓民国2022/12130
52RKB毎日ホールディングス日本2023/03125
53ABS-CBN Corpフィリピン2022/12124
54TBC大韓民国2022/1297
55Taiwan Television Enterprise Co Ltd台湾2022/1296
56MCOT PCLタイ2022/1294
57BSNメディアホールディングス日本2023/0388
58TVA Group Incカナダ2022/1277
59PT Visi Media Asia Tbkインドネシア2022/1270
60China Television Company台湾2022/1249
61King Gen PCLタイ2022/1247
62ABS-CBN Holdings Corpフィリピン2022/1230
63PT Mahaka Media Tbkインドネシア2022/1230
64Asia Media Group Bhdマレーシア2022/0311
65WinPro Industries Ltdインド2023/034
66Sri Adhikari Brothers Television Network Ltdインド2023/031
67Mediaset Espana Comunicacion SAスペイン2022/120

出典:各社プレスリリースなど

世界の地上波放送会社ランキングの有用性

世界の地上波放送会社ランキングの有用性を考えるとき、多くの要点が考慮されます。以下は、そのランキングの有用性に関する幾つかのポイントです。

  • 市場分析: ランキングは市場分析の一環として有効であり、どの放送会社がどの程度の市場支配力を持っているかを示します。これにより、広告主や投資家はより明確な意思決定ができるようになります。

  • 競合分析: 放送業界における競合他社の地位やパフォーマンスを理解する上で役立ちます。どの企業が上位にあり、どの企業が成長しているか、または市場シェアを失っているかを把握することで、自社の戦略を調整することができます。

  • 投資の参考: 時価総額やその他の指標をもとに、投資家は投資先としての各放送会社の魅力を評価できます。

  • 業界のトレンド把握: ジオグラフィックなデータや時価総額の変動を見ることで、地上波放送業界全体のトレンドや変動を把握することができます。

  • グローバル視点の取得: 地域別、国別のランキングを見ることで、世界的な視点から業界の動きを理解することができます。これは、国際的な展開を考える企業や、異なる市場に関心を持つステークホルダーにとって特に有用です。

  • 新しいビジネスチャンス: ランキングを詳細に分析することで、新しい市場やビジネスチャンス、あるいは新しいパートナーシップの可能性を見つけ出すことができます。

  • 一般の認識と信頼の構築: 一般の視聴者や消費者にとって、ランキングは信頼性や放送会社の影響力の指標となる場合があります。高いランキングを持つ放送会社は、ブランド力や信頼性を強化する可能性があります。

  • 事業戦略の調整: 企業の経営陣は、ランキングやその背後にあるデータを使用して、事業戦略や経営方針を見直すための情報として活用できます。

総じて、世界の地上波放送会社ランキングは、放送業界の関係者や投資家、さらには広告主や一般の視聴者にとって、多岐にわたる有用性を持っています。

世界の地上波放送会社ランキング:変化を与える要素

世界の地上波放送会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

視聴率

放送内容の品質や興味を引くプログラムが多い会社は、視聴率が上昇し、それにより広告収入も増加する可能性があります。

広告収入

視聴率が高いと、広告主からの広告収入が増える傾向にあります。この収入は放送会社の収益となり、時価総額にも影響します。

デジタル変革

オンデマンド配信、オンラインストリーミングなどのデジタルサービスへの取り組みや展開は、視聴者の新しい層を獲得し、収益の増加に寄与します。

コンテンツの多様性

多様なジャンルや高品質なコンテンツを提供することで、幅広い視聴者層を獲得することができます。

国際的な展開

海外市場への展開や国際的なコンテンツの提供は、新しい市場でのシェア獲得や収益増大につながる可能性があります。

M&A(合併・買収)

他の放送会社や関連するビジネスの買収は、規模の拡大や市場支配力の強化に寄与し、ランキングに影響を与える要因となります。

技術の進化

4K、8K、HDRなどの新技術の採用や、放送のインフラ整備は、視聴体験の向上とブランド力の強化に寄与します。

経営戦略

効果的な経営戦略やコスト管理、新しい事業モデルの採用など、経営の質もランキングに影響します。

規制や政策の変更

各国の放送に関する規制や政策の変更は、放送事業の運営環境に大きな影響を与える可能性があります。

経済状況

一般的な経済の好不況や広告市場の状況は、放送会社の収益に影響を与える要因となります。

競合他社の動き

競合他社の新しい取り組みや戦略が成功すれば、その放送会社のランキングが上昇し、他の放送会社のランキングにも影響を与える可能性があります。

これらの要素は相互に関連しており、放送会社のランキングに影響を与える要因として常に変動しています。したがって、ランキングを理解するためには、これらの要因を総合的に考慮することが必要です。

まとめ

本ランキングを通じて、世界の放送業界の現在の動向や競争状況を確認することができました。特にアメリカの放送会社がランキング上位を占める一方で、アジアやヨーロッパの放送会社もその存在感を示しています。

視聴率、広告収入、デジタル化の進行、M&Aなど、多岐にわたる要因がランキングに影響を与えており、今後もこの業界の変化は目が離せません。各放送会社がどのような戦略を取り、次の時代にどう適応していくのか、引き続き注目していきたいところです。

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