編集部
2023年、デジタル変革は急速に進行中であり、私たちの生活やビジネスにおいてECやウェブサイトの役割が増しています。このような背景の中、どの企業が業界をリードしているのか、そしてどの企業が新たにその名を世界の舞台に刻みつけたのか。本記事では、2023年時点での時価総額ベースの世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキングTOP40を紹介します。技術革新、市場動向、経済状況など様々な要因によってランキングには多くの変動が見られますが、それぞれの企業がどのような強みを持っているのか、そして今後の業界の動向にどのような影響をもたらすのか、その背景に迫ります。
世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキング：時価総額TOP40
下記の世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 企業の分布:
- アジアの国々（特に日本）がランキングにおいて多くを占めています。日本の企業は16社、中国と香港を合わせると5社、マレーシア4社となっています。
- アメリカやヨーロッパの企業もランキングに名を連ねていますが、アジアの存在感が際立っています。
- 時価総額の差:
- 1位のShopify Incの時価総額は112,081億円と、2位以下の企業と比べて非常に大きい。この差は非常に顕著で、2位のWix.com Ltdとの間には100,000億円以上のギャップがある。
- 1位を除いた企業の時価総額は比較的近い数値を示しており、特に10位以下では数十億円から数億円の範囲内での変動となっています。
- 各国の特色:
- カナダのShopifyがダントツの首位に立っており、eコマースのプラットフォームとしての強さを示しています。
- イスラエルやイギリスからの企業もトップ10内にランクインしており、これらの国々でもeコマースやテクノロジー関連の企業が伸びていることが伺える。
- 日本の企業:
- 日本の企業がランキングの多くを占めているが、時価総額の規模は比較的小さい。
- Shopifyなどの大手国際企業と比較すると、日本のeコマースやテクノロジー関連の企業は地域密着型や特定のニッチな市場をターゲットとしている可能性がある。
このデータから、eコマースやテクノロジー関連の企業は、地域や市場の特性に応じて異なる規模や特色を持っていることが分かります。特にShopifyのようなグローバルに展開する大手企業と、日本のような特定の地域にフォーカスする中小企業とのギャップは大きいことが伺えます。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位：Shopify Inc（カナダ）
Shopifyは、オンラインストアを設立、運営するためのプラットフォームを提供するカナダの企業です。使いやすいインターフェースと多機能なカスタマイズが可能であり、小規模から大規模の事業者まで利用されています。
eコマースの急成長と共に、Shopifyのプラットフォームは多くのビジネスオーナーにとっての選択肢となっています。汎用性と拡張性が高いため、様々なニーズに応えることができる点が評価されています。
2位：Wix.com Ltd（イスラエル）
Wixは、ウェブサイトを簡単に作成・公開できるプラットフォームを提供するイスラエルの企業です。ドラッグ&ドロップ機能による直感的なウェブサイト作成が可能です。
Wixは、ビジネスだけでなく、個人やクリエイターも含めた幅広いユーザー層から支持を受けています。ユーザーフレンドリーなデザインと柔軟なカスタマイズが可能であるため、多くのユーザーに選ばれています。
3位：Squarespace Inc（アメリカ）
Squarespaceは、ウェブサイト、ブログ、オンラインストアを作成するためのツールを提供するアメリカの企業です。デザインテンプレートが豊富で、プロフェッショナルな見た目のサイトを手軽に構築できます。
Squarespaceは、デザインの質の高さと使いやすさで知られ、特にクリエイターやアーティストからの支持が厚いです。このため、特定のターゲット層からの高い評価を受けています。
4位：Vtex（イギリス）
Vtexは、B2BとB2Cの両方向けのeコマースプラットフォームを提供するイギリスの企業です。クラウドベースのソリューションを提供し、大手企業からの導入事例も多い。
Vtexは、スケーラビリティと柔軟性の高さから大手企業に選ばれています。また、B2B領域での高い専門性も持ち味として、多くのビジネスに採用されています。
5位：Hangzhou Raycloud Technology Co Ltd（中国）
詳細な情報は提供されていませんが、中国のテクノロジー関連の企業として、おそらくクラウドやeコマース関連のソリューションを提供していると推測されます。
中国のeコマース市場は巨大であり、この市場での競争力を持つ企業は高い時価総額を持つ可能性が高いです。中国の市場のニーズを正確に捉え、適切なソリューションを提供しているため、ランキングに位置していると考えられます。
これらの企業は、eコマースやウェブサイト構築の領域での高い競争力を持ち、各国や地域のニーズに応じて適切なソリューションを提供しているため、ランキング上位に位置していると考えられます。
【世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキング：時価総額TOP40リスト】
※対象となるソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社として「上場企業」かつ「ソフトウェア（EC・ウェブサイト）業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点（2023年8月9日）の株価および為替レートで算出
| ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額（億円） |
| 1 | Shopify Inc | カナダ | 2022/12 | 112,081 |
| 2 | Wix.com Ltd | イスラエル | 2022/12 | 6,682 |
| 3 | Squarespace Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,771 |
| 4 | Vtex | イギリス | 2022/12 | 1,323 |
| 5 | Hangzhou Raycloud Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,051 |
| 6 | BigCommerce Holdings Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,011 |
| 7 | Infibeam Avenues Ltd | インド | 2023/03 | 656 |
| 8 | バリューコマース | 日本 | 2022/12 | 468 |
| 9 | ソフトクリエイトホールディングス | 日本 | 2023/03 | 468 |
| 10 | Trade-Van Information Services Co. | 台湾 | 2022/12 | 427 |
| 11 | Baozun Inc | 中国 | 2022/12 | 386 |
| 12 | BASE | 日本 | 2022/12 | 280 |
| 13 | Kin and Carta PLC | イギリス | 2022/07 | 191 |
| 14 | e-Credible Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 181 |
| 15 | tripla | 日本 | 2022/10 | 139 |
| 16 | プライム・ストラテジー | 日本 | 2022/11 | 110 |
| 17 | Fullerton Technology Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 95 |
| 18 | GMOペパボ | 日本 | 2022/12 | 92 |
| 19 | ブロードバンドタワー | 日本 | 2022/12 | 89 |
| 20 | Cherish Sunshine International Ltd | 香港 | 2023/03 | 83 |
| 21 | N2N Connect Bhd | マレーシア | 2022/12 | 82 |
| 22 | Eストアー | 日本 | 2023/03 | 72 |
| 23 | ROBOT PAYMENT | 日本 | 2022/12 | 66 |
| 24 | Sino-i Technology Ltd | 香港 | 2021/12 | 64 |
| 25 | コマースOneホールディングス | 日本 | 2023/03 | 50 |
| 26 | いつも | 日本 | 2023/03 | 49 |
| 27 | グラッドキューブ | 日本 | 2022/12 | 48 |
| 28 | システムインテグレータ | 日本 | 2023/02 | 47 |
| 29 | Systech Bhd | マレーシア | 2023/03 | 38 |
| 30 | Managepay Systems Bhd | マレーシア | 2022/12 | 35 |
| 31 | テモナ | 日本 | 2022/09 | 34 |
| 32 | iClick Interactive Asia Group Ltd | 香港 | 2022/12 | 32 |
| 33 | インターファクトリー | 日本 | 2023/05 | 29 |
| 34 | Plato Capital Ltd | マレーシア | 2022/12 | 27 |
| 35 | イメージ・マジック | 日本 | 2023/04 | 26 |
| 36 | Raminfo Ltd | インド | 2023/03 | 12 |
| 37 | V2Y Corp Ltd | シンガポール | 2022/12 | 6 |
| 38 | ZZLL Information Technology Inc | 香港 | 2021/12 | 4 |
| 39 | Omega Interactive Technologies Ltd | インド | 2023/03 | 1 |
| 40 | Edynamics Solutions Ltd | インド | 2022/03 | 1 |
世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキングの有用性
世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキングの有用性について考察します。
- 投資家やステークホルダーへの情報提供：ランキングは、企業の経済的な健全性や業界内での競争力を示す指標となります。投資家は、ランキングを基に投資判断を下したり、その企業の将来的な展望についての洞察を得ることができます。
- 市場調査・ベンチマーキング：新規参入を考える企業や既存の事業者は、ランキングを利用して市場のトレンドや競合他社のポジションを把握することができます。これにより、自社の位置付けや戦略の見直しに役立てることができます。
- ブランディングやマーケティングの強化：上位にランクインした企業は、その事実をマーケティング活動や広告に活用することができます。これにより、ブランドの信頼性や知名度を高めることが可能です。
- 業界のトレンドの把握：ランキングを通じて、どのような企業やサービスが人気を集めているのか、またその背後にある技術やトレンドを理解することができます。これは、業界全体の方向性を把握するのに役立ちます。
- 企業の自己評価：自社のランキングを確認することで、外部からの評価や自社の業績を客観的に評価することができます。これをモチベーションとして、さらなる成長を目指すきっかけとすることもできます。
- 消費者の選択の指針：消費者は、ランキングを参考にして、信頼性やサービスの質を判断する材料として利用することができます。特に、多くの選択肢が存在する市場では、ランキングは一つの選択基準となり得ます。
- 業界の健全性の保持：トランスペアレンシーの高いランキングは、業界の健全性を保つための一因となります。不正行為や不適切な商慣行を行っている企業は、ランキングの評価基準に照らし合わせることで排除される可能性が高まります。
- 欠点や問題点：ランキングの評価基準や方法に偏りがある場合、実際の競争力や価値とは異なる結果が生まれる可能性がある。あまりにもランキングに依存することで、短期的な指標の追求に偏るリスクがある。
総じて、ソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社のランキングは、多くのステークホルダーにとって有益な情報を提供します。ただし、ランキングだけを絶対的な指標とするのではなく、その背後にあるデータや評価基準を適切に解釈し、使用することが重要です。
世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキング：変化を与える要素
世界のソフトウェア（EC・ウェブサイト）会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術革新
- 新しい技術の導入や革新的な製品開発は、市場での競争優位を生み出すことがあります。
- AIやブロックチェーンなどの先端技術の活用が進むと、ランキングの変動が見られる場合があります。
市場動向
- 消費者のニーズや行動の変化が、特定の製品やサービスへの需要を変動させることがあります。
- 例えば、モバイルショッピングの増加、サブスクリプションモデルの普及などが影響を及ぼすことがあります。
経済状況
- 経済成長やリセッションなど、マクロ経済の変動は企業の業績に影響を与えることがあります。
- 特定地域の経済好調が、その地域の企業のランキングを押し上げる場合があります。
法規制の変更
- データプライバシーやセキュリティ、競争法などの法規制の変更は、事業環境を変える要因となります。
- これらの変更に対応できない企業はランキングを下げる可能性があります。
企業の戦略変更
- M&A、新市場への参入、新製品の投入など企業自体の戦略的変化もランキングに影響を与えます。
社会的責任とサステナビリティ
- 環境への配慮や社会的責任の取り組みは、特に若い世代の消費者にとって重視されることが多く、企業の評価に影響を与える場合があります。
国際政治
- 貿易戦争や制裁などの国際的な政治的な変動は、企業の業績に直接的な影響を与えることがあります。
競合他社の動き
- 競合他社の戦略変更や失敗、新規参入などが、業界全体のバランスを変えることがあります。
通貨変動
- 国際的に事業展開している企業にとって、通貨の変動は収益性に影響を与えるため、ランキングに反映されることがあります。
自然災害やパンデミック
- こうした突発的な事象は、供給チェーンの中断や市場の需要変動などを引き起こし、ランキングに影響を及ぼすことがあります。
これらの要素は相互に影響し合うことが多いため、ランキングの変動は多様で複雑な結果を生むことが一般的です。企業はこれらの要素に機敏に対応する戦略とリスク管理が求められるでしょう。
まとめ
デジタルエコノミーの拡大と共に、ソフトウェア（EC・ウェブサイト）業界は日々進化し続けています。今回のランキングは、現在の業界の勢力図を明確に示しており、多くの新興企業が伝統的な大手企業と肩を並べる中、競争がますます激化していることが伺えます。しかしながら、今後も技術革新や市場の変動、国際的な事情など多岐にわたる要因がランキングに影響を及ぼすことでしょう。投資家、ビジネスパーソン、あるいは一般の消費者として、この動きを注視し、変化するデジタルの世界を理解することは今後のビジネスやライフスタイルにおいて非常に重要となるでしょう。