近年、デジタル化の波が加速する中、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の役割は日増しに重要となっています。ISPの競争力を決める要因は多岐にわたり、技術の進化、価格競争、顧客サービス、そして各国の規制環境などが大きな役割を果たしています。

こうした背景を踏まえ、2023年の最新の時価総額に基づく世界のISPランキングTOP88を紹介します。このランキングは、現代のデジタル経済におけるISPの影響力と競争状況を示す貴重な指標となるでしょう。

世界のインターネットサービスプロバイダー会社ランキング:時価総額TOP88

下記の世界のインターネットサービスプロバイダー会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 地域の分布
    • アメリカ、インドネシア、日本が主要なランキング上位国であることがわかります。
    • アメリカの企業が特に上位ランクに位置しており、通信関連の大手企業が多数存在することがわかります。
    • 一方で、アジアの新興国(例: インドネシア、インド)もランキングに多く位置しており、アジア市場の成長とそのポテンシャルを示唆しています。

  • 時価総額の差
    • ランキングの上位と中位・下位の時価総額には大きな差があります。
    • 例えば、1位のChina Mobile Ltdは約249,758億円ですが、末尾のランキングになると時価総額が非常に小さくなります。

  • 産業の特徴
    • 一覧された企業は主に通信業界に属していることがわかります。
    • 通信業界は国際的に競争が激しく、多くの国で大手企業が存在するため、グローバルなランキングに多くの国が名を連ねることになっています。

  • 中小企業の存在
    • ランキングの中位から下位にかけては、比較的小さな時価総額の企業も多く見受けられます。これらの企業は地域的に強みを持っている可能性がありますが、グローバルな規模では大手企業に比べて競争力が低い可能性があります。

以上の分析から、通信業界は大手企業が大きな市場シェアを占めている一方で、多くの国や地域において様々なスケールの企業が存在していることがわかります。これは、通信業界の成長や変化が続く中で、新興市場や新技術の導入により、新たな競争構造が形成されていることを示しているかもしれません。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:China Mobile Ltd(香港)

China Mobileは、香港を拠点とする世界最大のモバイル通信会社であり、中国本土でも最も大きな市場シェアを持っています。

顧客ベースの巨大さと、中国という急成長している市場での強固な地位により、時価総額が非常に高い。

2位:Comcast Corp(アメリカ)

Comcastは、ケーブルテレビ、インターネット、映画製作(NBCUniversal)などの幅広いメディア関連サービスを提供している大手企業。

多岐にわたるサービスラインナップとアメリカ市場での強固な地位により、高い収益を上げています。

3位:Verizon Communications Inc(アメリカ)

Verizonは、アメリカを代表する通信会社で、モバイル通信や固定ラインサービスなどを提供しています。

一貫したサービスの提供と、5Gのような新技術への先駆け的な投資により、アメリカ市場での競争力を保持しています。

4位:日本電信電話(日本)

NTT(日本電信電話)は、日本の主要な通信会社で、国内外で幅広い通信関連サービスを提供しています。

安定した日本市場での強固な地位と、グローバル展開を進める子会社を持つことで、継続的に収益を上げています。

5位:Deutsche Telekom AG(ドイツ)

Deutsche Telekomは、ドイツを代表する通信会社で、ヨーロッパやアメリカにも事業を展開しています。

ヨーロッパ市場でのリーダーシップと、T-Mobile USAを通じたアメリカ市場での成功が、高い時価総額の背景となっています。

これらの企業がランキング上位に位置しているのは、それぞれの国や地域での強固な市場地位、技術革新への投資、及びグローバル展開の成功など、多岐にわたる要因によるものです。

【世界のインターネットサービスプロバイダー会社ランキング:時価総額TOP88リスト】

※対象となるインターネットサービスプロバイダー会社として「上場企業」かつ「インターネットサービスプロバイダー業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年8月9日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1China Mobile Ltd香港2022/12249,758
2Comcast Corpアメリカ2022/12247,591
3Verizon Communications Incアメリカ2022/12189,843
4日本電信電話日本2023/03147,506
5Deutsche Telekom AGドイツ2022/12140,022
6AT&T Incアメリカ2022/12137,083
7China Telecom Corp Ltd中国2022/12101,466
8KDDI日本2023/0396,415
9Bharti Airtel Ltdインド2023/0385,233
10Charter Communications Incアメリカ2022/1279,286
11ソフトバンク日本2023/0375,578
12Telstra Group Ltdオーストラリア2022/0646,352
13Singapore Telecommunications Ltdシンガポール2023/0344,222
14Chunghwa Telecom Co., Ltd.台湾2022/1239,051
15Orange SAフランス2022/1238,783
16Vodafone Group PLCイギリス2023/0333,435
17China United Network Communications Ltd中国2022/1232,115
18PT Telkom Indonesia (Persero) Tbkインドネシア2022/1231,323
19Vivendi SEフランス2022/1212,042
20Taiwan Mobile Co., Ltd.台湾2022/1211,578
21True Corp PCLタイ2022/1211,029
22Liberty Global PLCイギリス2022/1210,809
23Far EasTone Telecommunications Co., Ltd.台湾2022/1210,124
24Maxis Bhdマレーシア2022/129,461
25TPG Telecom Ltdオーストラリア2022/128,360
26Tata Communications Ltdインド2023/038,291
27PLDT Incフィリピン2022/126,897
28Globe Telecom Incフィリピン2022/126,677
29PT Indosat Tbkインドネシア2022/126,134
30FPT Corpベトナム2022/125,977
31Telekom Malaysia Bhdマレーシア2022/125,820
32Frontier Communications Parent Incアメリカ2022/125,603
33Cable One Incアメリカ2022/125,354
34PT Indoritel Makmur Internasional Tbkインドネシア2022/125,184
35Viasat Incアメリカ2023/034,940
36インターネットイニシアティブ日本2023/034,842
37Cogent Communications Holdings Incアメリカ2022/123,935
38PT Elang Mahkota Teknologi Tbkインドネシア2022/123,448
39NetLink NBN Trustシンガポール2023/033,372
40United Internet AGドイツ2022/123,281
41PT Dian Swastatika Sentosa Tbkインドネシア2022/123,045
42Time Dotcom Bhdマレーシア2022/122,967
43Empresas Cablevision SA de CVメキシコ2022/122,550
44PT Xl Axiata Tbkインドネシア2022/122,500
45Lumen Technologies Incアメリカ2022/122,346
46StarHub Ltdシンガポール2022/121,774
47PT Smartfren Telecom Tbkインドネシア2022/121,625
48Dr Peng Telecom and Media Group Co Ltd中国2022/121,446
49TOKAIホールディングス日本2023/031,266
50Asia Pacific Telecom Co., Ltd.台湾2022/121,186
51HKBN Ltd香港2022/08991
52WideOpenWest Incアメリカ2022/12881
53Beijing Topnew Info & Tech Co Ltd中国2022/12881
54Iguatemi SAブラジル2022/12867
55Zhong Fu Tong Group Co Ltd中国2022/12713
56Wintao Communications Co Ltd中国2022/12625
57Taiwan Optical Platform Co., Ltd.台湾2022/12492
58Jasmine International PCLタイ2022/12483
59PT Link Net Tbkインドネシア2022/12435
60Tucows Incカナダ2022/12415
61フォーバル日本2023/03341
62Dialog Axiata PLCスリランカ2022/12309
63ファイバーゲート日本2022/06289
64フリービット日本2023/04276
65ギガプライズ日本2023/03275
66朝日ネット日本2023/03210
67PT Centratama Telekomunikasi Indonesia Tbkインドネシア2022/12209
68REDtone Digital Bhdマレーシア2022/06166
69PT Multipolar Tbkインドネシア2022/12137
70Internet Thailand PCLタイ2022/12103
71Symphony Communication PCLタイ2022/1299
72PT Jakarta International Hotels Dan Development Tbkインドネシア2022/1291
73ネクシィーズグループ日本2022/0988
74i-CABLE Communications Ltd香港2022/1261
75Proen Corp PCLタイ2022/1258
76Nettlinx Ltdインド2023/0336
77ブロードエンタープライズ日本2022/1236
78UCrest Bhdマレーシア2022/0530
79SAB Industries Ltdインド2023/0323
80Green Packet Bhdマレーシア2021/1222
81Celestial Asia Securities Holdings Ltd香港2022/1221
82PT First Media Tbkインドネシア2022/1217
83EasyCall Communications Philippines Incフィリピン2022/1211
84China Environmental Energy Investment Ltd香港2022/038
85Lesha Industries Ltdインド2023/037
86Southern Online Bio Technologies Ltdインド2023/031
87Virtualsoft Systems Ltdインド2022/031
88City Online Services Ltdインド2022/030

出典:各社プレスリリースなど

世界のインターネットサービスプロバイダー会社ランキングの有用性

インターネットサービスプロバイダー(ISP)会社のランキングの有用性に関して考えると、以下のような点が挙げられます。

  • 市場動向の理解:ランキングを通じて、特定の市場や地域でどのISPが優勢であるかを把握できます。これは、競合分析や市場参入戦略の策定に役立ちます。

  • 投資判断の材料:投資家やアナリストは、ランキング情報を利用して各ISPの経済的健全性や市場でのポジションを評価することができます。

  • 技術・サービスの比較:トップのISPは、技術革新や優れた顧客サービスによってその地位を維持していることが多い。そのため、ランキングは消費者にとって、サービスの質や信頼性の指標として有用である。

  • 業界の健全性の指標:ランキングを通じて、業界全体の成長や収益性の動向を把握することができます。例えば、ランキング上位の企業が安定している場合、業界全体の健全性が示唆されることがあります。

  • M&Aの機会:大手ISPは、ランキングを利用してM&Aの機会を探ることができます。特定の市場でのシェア拡大や技術獲得のために、ランキング下位の会社を買収することを検討することがあります。

  • 消費者の選択の参考:一般の消費者は、ランキングを参考にしてISPを選ぶ際の一つの材料として利用できます。

  • ブランド価値の確認:ランキング上位の企業は、その結果をマーケティングや広告に利用することができます。ブランドの知名度や信頼性を高める手段として活用することが可能です。

ただし、ランキングは単なる一つの指標であり、企業の全体像や実際のサービスの質を完全に反映しているわけではありません。利用者は、ランキングだけでなく、他の情報も合わせて判断材料とすることが重要です。

世界のインターネットサービスプロバイダー会社ランキング:変化を与える要素

世界のインターネットサービスプロバイダー会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

技術の進化

高速なインターネット接続や新しい接続技術(例:5G、光ファイバー、衛星インターネットなど)の導入は、ISPの競争力を大きく左右します。

価格競争

コスト効率の良いサービス提供やプロモーションを通じての顧客獲得が、市場シェアの拡大につながります。

顧客サービス

優れたカスタマーサポートやサービスの信頼性は、顧客のロイヤリティを高め、離脱を低減します。

規制と政策

各国の規制環境(例:ネット中立性、ライセンスの発行、外資規制など)はISPの事業展開に大きな影響を与えます。

経済状況

国や地域の経済成長率、所得レベル、インフラ投資などは、ISPの市場拡大や利益性に影響します。

市場の飽和

既に飽和した市場では、新規参入や市場シェアの獲得が難しくなります。

M&A活動

大手ISPが小規模なプロバイダーを買収することで、市場シェアや技術力を強化することが可能です。

ブランディングとマーケティング

効果的な広告キャンペーンやブランディング戦略は、消費者の選択に影響を与えます。

新サービスの導入

クラウドサービス、IPTV、VoIPなどの新しいサービスを提供することで、利益の源泉や競争力を増強することができます。

地理的範囲

地域的な需要やインフラの発展に応じて、特定の地域でのサービス展開がISPのランキングに影響を与えることがあります。

これらの要因は、ISPの市場でのポジションや評価を大きく左右する可能性があり、その結果としてランキングに変動をもたらすことがあります。

まとめ

2023年の世界のISPランキングを通じて、業界のダイナミクスと企業の競争状況を理解することができました。新しい技術の導入やM&A活動、さらには各国の規制環境など、様々な要因がランキングの変動に影響を与えています。これらの情報は、業界関係者や投資家、また消費者にとって有益な洞察を提供します。

今後もISPの市場は変動し続けることでしょう。その変動を追い続けることで、デジタル時代の流れを掴み、適切な戦略を練ることが可能となります。

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