近年、AIやソフトウェア技術の進化は目覚ましいものがあり、これらの技術を中心とした企業の動向には常に注目が集まっています。技術の進展、市場の需要変動、政策や規制の動きなど、多岐にわたる要因が企業の評価に影響を与えており、ランキングの上位に位置する企業は、その時々の産業のトレンドや市場の要求に応えてきた結果であると言えるでしょう。本記事では、2023年最新のデータに基づき、世界のソフトウェア(AI)・AIer会社の時価総額ランキングTOP33をご紹介します。
世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキング:時価総額TOP33
下記の世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 国別の分布:
- アメリカ企業が8社、中国が5社、日本が20社、大韓民国が2社、イスラエルが1社となっています。日本の企業数が最も多いが、アメリカの企業がランキングの上位に集中しています。
- 時価総額の大きな格差:
- 1位のPalantir Technologies Incの時価総額は50,067億円と非常に高いですが、33位のRazor Labs Ltdの時価総額は12億円と大きな差があります。上位数社が極端に大きな時価総額を有しているようです。
- 地域の特性:
- アメリカの企業は時価総額の上位に多く存在し、技術企業の中心地としての強さを示しています。
- 一方、日本の企業は数は多いものの、時価総額で上位に位置する企業は少ないようです。
- 業界の特性:
- 一覧を見ると、多くの企業がテクノロジー関連の名前を持っています。これは、デジタル技術やAI技術の進化に伴い、このような企業が市場価値を増していることを示しているかもしれません。
- 新興国の存在:
- イスラエルや大韓民国など、新興の技術国がリストに名を連ねていることは、世界的にテクノロジーの競争が激化していることを示唆している可能性があります。
これらの情報は、現代のテクノロジーマーケットの動向や地域ごとの特性を理解する上で有用です。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位:Palantir Technologies Inc(アメリカ)
Palantirは、大規模データの統合、管理、分析のためのプラットフォームを提供しています。公共・私有のクライアント向けにソフトウェアを提供し、特に防衛や治安機関からの需要が高い。
Palantirのソフトウェアは政府や大企業の大規模なデータ解析ニーズに対応しており、その独自性と高いニーズによって高い収益を上げています。
2位:Fair Isaac Corp(アメリカ)
FICOとしても知られるこの企業は、クレジットスコアリングのためのアルゴリズムを提供することで最もよく知られています。
クレジットスコアは、金融機関の貸出判断の基盤となっており、FICOのスコアリングシステムは業界標準として広く採用されているためです。
3位:Iflytek Co Ltd (中国)
Iflytekは、音声技術と人工知能の分野でのリーダーとして知られています。特に音声認識技術においては、世界的に高い評価を受けています。
スマートデバイスや顧客サービスにおける音声認識の需要の増加、特に中国市場での大きな影響力がこの企業の価値を押し上げています。
4位:Splunk Inc (アメリカ)
Splunkは、ビッグデータ分析のためのソフトウェアソリューションを提供する企業です。リアルタイムの監視や検索、ビジュアル化などの機能を持つプラットフォームを提供しています。
ビジネスがデジタル変革を進める中で、データ分析のニーズが急増しており、Splunkのようなソリューションへの需要が高まっています。
5位:SenseTime Group Inc (中国)
SenseTimeは、人工知能とディープラーニング技術のリーダーとして知られています。特に顔認識技術においては、世界的なリーダーとしての地位を確立しています。
人工知能技術への全世界的な投資と関心の増加、特に中国市場における高い需要と国のサポートが、この企業の価値を押し上げています。
これらの企業は、それぞれの分野において先進的な技術や独自のソリューションを持っており、市場のニーズやトレンドに適切に応えています。その結果、高い時価総額を持つようになりました。
【世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキング:時価総額TOP33リスト】
※対象となるソフトウェア(AI)・AIer会社として「上場企業」かつ「ソフトウェア(AI)・AIer業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年8月9日)の株価および為替レートで算出
ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額(億円) |
1 | Palantir Technologies Inc | アメリカ | 2022/12 | 50,067 |
2 | Fair Isaac Corp | アメリカ | 2022/09 | 29,858 |
3 | Iflytek Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 27,543 |
4 | Splunk Inc | アメリカ | 2023/01 | 22,567 |
5 | SenseTime Group Inc | 中国 | 2022/12 | 10,685 |
6 | Thunder Software Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 7,757 |
7 | Teradata Corp | アメリカ | 2022/12 | 7,424 |
8 | C3.ai Inc | アメリカ | 2023/04 | 6,166 |
9 | Alteryx Inc | アメリカ | 2022/12 | 3,634 |
10 | Hanwang Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,173 |
11 | Beijing Haitian Ruisheng Science Technology Ltd | 中国 | 2022/12 | 980 |
12 | PKSHA Technology | 日本 | 2022/09 | 947 |
13 | Domo Inc | アメリカ | 2023/01 | 805 |
14 | Selvas AI Inc | 大韓民国 | 2022/12 | 543 |
15 | エクサウィザーズ | 日本 | 2023/03 | 384 |
16 | HEROZ | 日本 | 2023/04 | 277 |
17 | ブレインパッド | 日本 | 2022/06 | 208 |
18 | ヘッドウォータース | 日本 | 2022/12 | 207 |
19 | ニューラルグループ | 日本 | 2022/12 | 192 |
20 | グリッド | 日本 | 2022/06 | 184 |
21 | unerry | 日本 | 2022/06 | 170 |
22 | pluszero | 日本 | 2022/10 | 137 |
23 | ESTsoft Corp | 大韓民国 | 2022/12 | 133 |
24 | JDSC | 日本 | 2022/06 | 119 |
25 | エッジテクノロジー | 日本 | 2023/04 | 95 |
26 | Ridge-i | 日本 | 2022/07 | 83 |
27 | モルフォ | 日本 | 2022/10 | 62 |
28 | TDSE | 日本 | 2023/03 | 54 |
29 | トリプルアイズ | 日本 | 2022/08 | 51 |
30 | セカンドサイトアナリティカ | 日本 | 2023/03 | 34 |
31 | ソケッツ | 日本 | 2023/03 | 25 |
32 | CINC | 日本 | 2022/10 | 25 |
33 | Razor Labs Ltd | イスラエル | 2022/12 | 12 |
出典:各社プレスリリースなど
世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキングの有用性
ソフトウェアやAI技術を提供する企業のランキングの有用性を考察すると、以下のような点が挙げられます。
- 投資家の判断基準:
- 投資家は、業界のリーダーや急成長している企業を特定するために、ランキング情報を活用することができます。
- 成長が見込まれる企業に資金を投入する際の参考情報としてランキングは有効です。
- 業界のトレンド把握:
- どの企業が上位にランクインしているかを分析することで、現在の市場の動向や技術トレンドを把握することができます。
- 新しい技術や製品が市場にどのような影響を与えているかの指標としてランキングは役立ちます。
- 企業のブランド力向上:
- ランキング上位の企業は、その地位をマーケティングやPRの材料として活用できます。
- 上位に位置することで、信頼性や専門性を外部にアピールすることができます。
- 競合分析:
- 企業は、自社の位置を確認し、競合他社との比較を行うためにランキングを使用します。
- 自社の弱点や競合優位性を理解するための情報源としてランキングは有用です。
- 技術の獲得や提携のターゲティング:
- 企業が新しい技術を獲得するためのM&Aの対象や提携先を選定する際、ランキング情報は参考になります。
- ランキング上位の企業は、技術の先進性や市場での実績が認められている可能性が高いため、ターゲティングの参考情報として利用できます。
- 消費者やビジネスの選択基準:
- エンドユーザーやB2Bの顧客は、製品やサービスを選定する際に、ランキング情報を参考にすることができます。
- 上位の企業は品質やサービスの信頼性が高いとの印象を持たれることが多いです。
ただし、ランキングの情報は一つの指標に過ぎません。ランキングの基準や算出方法、データの新鮮さなど、様々な要素を考慮して情報を活用する必要があります。過度にランキングに依存するのではなく、複数の情報源を照らし合わせることが望ましいです。
世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキング:変化を与える要素
世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術的進展
AIやソフトウェアの分野は、技術革新が急速に進行しています。特定の企業が新しい技術や手法を開発・適用した場合、その企業のランキングが大きく上昇する可能性があります。
市場の需要変動
特定のソフトウェアやAI技術に対する市場の需要が変動すると、関連企業の評価やランキングも変動します。例えば、コロナウイルスの流行のような大きな社会的事象が起きた際、リモートワーク関連のソフトウェア企業の評価が上昇することが考えられます。
規制や政策
特定の国や地域でAIやソフトウェアに関連する新しい規制や政策が導入された場合、その影響を受ける企業のランキングが変わる可能性があります。
M&A(合併・買収)活動
企業が他の企業を買収することで、市場シェアや技術力、資源を強化し、ランキングが大きく変動することが考えられます。
資金調達
企業が大規模な資金を調達した場合、その資金を研究開発やマーケティングなどに活用して、市場の競争力を高め、ランキングを向上させる可能性があります。
事故やスキャンダル
企業が大きな事故や不正行為、スキャンダルに関与した場合、その評価やランキングが大きく低下することが考えられます。
新製品のリリース
新しい製品やサービスが成功を収めると、その企業のランキングが大きく上昇することがあります。
競合との関係
競合企業間の技術競争やマーケティング戦略の変動が、ランキングに影響を与える要因となり得ます。
企業の経営戦略の変更
経営方針の転換や新しい戦略の採用が、企業の競争力や市場での位置を変える要因となります。
人材の流動
トップクラスの技術者や経営者が企業を去る、または入社することで、その企業の技術力や経営戦略が大きく変わり、ランキングに影響を与えることが考えられます。
これらの要因は、独立してもしくは相互に関連して作用することがあります。そのため、ランキングの変動を分析する際には、これらの要因を総合的に考慮する必要があります。
まとめ
2023年の世界のソフトウェア(AI)・AIer会社ランキングを通じて、現在の産業の風向きや、これからの技術トレンドがどのように進んでいくのかを見るヒントが得られるでしょう。ランキングの変動要因として挙げた点を考慮しつつ、各企業の動向や戦略を追うことで、未来の技術革新や市場の変動を予測する手助けとなることを期待します。AIとソフトウェアの進化は、私たちの日常生活やビジネスに多大な影響を及ぼし続けることでしょう。このランキングを通じて、その先端を追体験することができれば幸いです。