近年、テーマパーク業界は各地で新しいパークの開設や、技術革新による新アトラクションの導入、さらにはエンターテインメントの内容の変革という形で、劇的な変遷を遂げています。この変化の背景には経済状況の変動や旅行業界の動向、そしてブランドやキャラクターの人気の変動が影響を与えています。そんな中、2023年の最新時価総額に基づく、世界のテーマパーク運営会社ランキングTOP42をご紹介します。このランキングは、各企業の現在の経済的地位や市場の評価を示すものであり、業界の動向を知るうえで非常に有用です。

世界のテーマパーク運営会社ランキング:時価総額TOP42

下記の世界のテーマパーク運営会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 国別のランキング企業数
    • 日本: 10企業
    • 中国: 5企業
    • アメリカ: 3企業
    • マレーシア: 4企業
    • シンガポール、香港、インドネシア、台湾、インド: 各2企業
    • 大韓民国、シンガポール、デンマーク、オーストラリア、フランス、ベトナム、タイ: 各1企業

      日本がリストの中で最も多くの企業を持っていますが、時価総額のトップはアメリカのThe Walt Disney Coです。
  • 時価総額の幅:The Walt Disney Coの227,910億円からKhyati Multimedia-Entertainment Ltdの0億円までと非常に広い範囲にわたっています。

  • 時価総額のトップ5:アメリカ、日本、大韓民国、シンガポール、ベトナムの企業が含まれています。特に、The Walt Disney Coとオリエンタルランドは他の企業と比べてかなり大きな時価総額を持っています。

  • 時価総額のボトムランキング:主に香港やインドの企業が含まれ、非常に低い時価総額を示しています。

  • 業界の傾向:ランキングを見る限り、多くの企業がエンターテインメント、リゾート、アミューズメントパーク、観光業に関連しているようです。例えば、The Walt Disney Coやオリエンタルランド、サンリオなどはエンターテインメントやテーマパーク関連の企業です。

以上の情報を基に、このリストはエンターテインメントや観光業に関連する企業の時価総額ランキングであると推測されます。また、時価総額の大部分はトップ企業に偏っており、リストの下位に行くにつれて時価総額は急激に減少しています。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:The Walt Disney Co(アメリカ)

アメリカを代表する大手エンターテインメント企業。映画制作、テレビ放送、テーマパーク事業などを多角的に展開している。

ディズニーブランドの持つ強力なグローバルブランド力、ハイクオリティなコンテンツ、テーマパークの成功、及び多角的な事業展開が評価されているため。

2位:オリエンタルランド(日本)

日本の千葉県に東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランドと東京ディズニーシー)を運営する企業。

日本国内のみならず、海外からの多数の観光客を引きつける東京ディズニーリゾートの成功とその高い収益力

3位:Samsung C&T Corp(韓国)

サムスングループに属する韓国の大手総合商社。建設、ファッション、リゾートなど幅広い事業を手がけている。

サムスングループの一員としての経済的基盤の強さ、グローバルな事業展開、多角的な事業ポートフォリオが評価されているため。

4位:Genting Singapore Ltd(シンガポール)

シンガポールのリゾート施設「リゾートワールドセントーサ」を運営する企業。カジノやホテル、テーマパークなどの施設を持つ。

シンガポールを訪れる観光客の重要な目的地となっているリゾートワールドセントーサの高い収益性とブランド力

5位:Vingroup JSC(ベトナム)

ベトナムの大手多国籍企業。不動産、リゾート、リテール、医療、教育など多岐にわたる事業を展開。

ベトナム国内での多角的な事業展開、国内外の大型投資プロジェクト、高い経済成長率を持つベトナムの市場でのリーダーシップ

これらの企業がランキング上位に位置しているのは、強力なブランド力、優れた事業戦略、及びその地域・分野でのリーダーシップに起因しています。特に、グローバルなブランド認知や多角的な事業展開を持つ企業は、時価総額ランキングで上位を占める傾向にあります。

【世界のテーマパーク運営会社ランキング:時価総額TOP42リスト】

※対象となるテーマパーク運営会社として「上場企業」かつ「テーマパーク運営業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年8月9日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)
1The Walt Disney Coアメリカ2022/09227,910
2オリエンタルランド日本2023/0399,106
3Samsung C&T Corp大韓民国2022/1217,741
4Genting Singapore Ltdシンガポール2022/1211,207
5Vingroup JSCベトナム2022/1210,701
6Shenzhen Overseas Chinese Town Co Ltd中国2022/127,626
7サンリオ日本2023/035,895
8Genting Bhdマレーシア2022/124,986
9SeaWorld Entertainment Incアメリカ2022/124,451
10Genting Malaysia Bhdマレーシア2022/124,383
11富士急行日本2023/033,112
12Cedar Fair LPアメリカ2022/122,624
13Sunway Bhdマレーシア2022/122,569
14Studio City International Holdings Ltd香港2022/121,843
15Haichang Ocean Park Holdings Ltd中国2022/121,665
16東京都競馬日本2022/121,107
17China Television Media Ltd中国2022/121,061
18LingNan Eco & Culture-Tourism Co Ltd中国2022/121,059
19CDA (Compagnie des Alpes)フランス2022/091,033
20Tivoli A/Sデンマーク2022/12829
21Wonderla Holidays Ltdインド2023/03583
22PT MNC Land Tbkインドネシア2022/12520
23Imagicaaworld Entertainment Ltdインド2023/03411
24Dalian Sunasia Tourism Holding Co Ltd中国2022/12401
25Straco Corp Ltdシンガポール2022/12368
26Wanhwa Enterprise Company台湾2022/12253
27Ardent Leisure Group Ltdオーストラリア2022/06232
28E-World Co Ltd大韓民国2022/12194
29Nan Ren Lake Leisure Amusement Co Ltd台湾2022/12137
30I-Bhdマレーシア2022/12134
31PT Pembangunan Jaya Ancol Tbkインドネシア2022/12121
32伊豆シャボテンリゾート日本2023/03117
33常磐興産日本2023/03110
34Nicco Parks & Resorts Ltdインド2023/03103
35PT Graha Andrasentra Propertindo Tbkインドネシア2022/1296
36グリーンランドリゾート日本2022/1262
37ホウライ日本2022/0948
38Safari World PCLタイ2022/1241
39Janfusun Fancyworld Corp台湾2022/1220
40CA Cultural Technology Group Ltd香港2023/036
41National Arts Group Holdings Ltd香港2021/123
42Khyati Multimedia-Entertainment Ltdインド2023/030

出典:各社プレスリリースなど

世界のテーマパーク運営会社ランキングの有用性

世界のテーマパーク運営会社ランキングは、多くの利点や有用性を持ちながら、いくつかの制約や考慮すべき点も存在します。以下にその有用性や関連する要点について詳しく考察します。

有用性・利点:

  • 市場の理解: ランキングを通じて、テーマパーク産業の現状や大手運営会社のポジションを把握することができます。

  • 投資判断の補助: 投資家やアナリストは、ランキングを参考にして投資対象の選定や業界動向の予測を行うことができます。

  • 競争力の評価: 各企業は自社の位置を確認し、競合との比較や自社の強み・弱みを分析する材料として使用できます。

  • 業界のトレンドの確認: 新興市場や成長している地域を特定することで、新たなビジネスチャンスを探る手がかりとなる場合があります。

  • マーケティングやPR: 上位にランクインした企業は、それを宣伝材料として活用することができます。

考慮すべき点・制約:

  • 単一指標の依存: 一般にランキングは特定の指標(例:時価総額、訪問者数など)に基づいていますが、それだけで企業の全体的な健全性や将来性を判断するのは難しい。

  • 時系列の変動: 経済状況、社会的事象、自然災害などの影響でランキングは年ごとに大きく変動することがあります。

  • 地域的な偏見: ある地域での成功が、他の地域でも同様に成功するとは限らない。地域ごとの文化や消費者の好みは異なるため、グローバルなランキングが必ずしも各地域での成功を保証するわけではない。

  • 深掘りの必要性: ランキングだけを見ることで得られる情報は限定的です。企業の財務状況、経営戦略、市場の声など、多角的に情報を収集・分析する必要があります。

  • 更新の頻度: 情報が最新でない場合、ランキングの信頼性や有用性は低下します。

総括すると、世界のテーマパーク運営会社ランキングは、業界の概観を把握するための一つの有用なツールですが、その解釈や使用には注意と補足的な情報の収集が必要です。

世界のテーマパーク運営会社ランキング:変化を与える要素

世界のテーマパーク運営会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

新規開園や拡張

新しいテーマパークの開園や既存のパークの拡張は、訪問者数を増やし、収益を向上させる可能性があります。

技術革新

新しいアトラクションやエンターテインメントの技術(VR、AR、ホログラムなど)の導入は、新しい顧客層を引きつける可能性があります。

経済状況

経済の好不調は、消費者のテーマパークへの支出を直接的に影響させます。景気が良い時は訪問者数が増加し、逆の場合は減少する可能性があります。

政治的・社会的事象

観光客を引きつける国の政治的安定性や、大きな社会的なイベント(オリンピックやワールドカップなど)は、訪問者数に影響を及ぼす可能性があります。

旅行業界の動向

航空運賃の変動や新しい航空路線の開設、観光施策の導入などは、外国からの訪問者数を増加させる可能性があります。

競合他社の戦略

競合するテーマパークが新しいアトラクションを開設すると、他のパークの訪問者数に影響を及ぼす可能性があります。

ブランドとキャラクターの人気

テーマパークが提供するエンターテインメントの内容(映画のキャラクターや物語など)の人気度は、訪問者数や商品の売上に影響を及ぼします。

安全対策

アトラクションの事故や安全問題が発生すると、訪問者数が減少する可能性があります。逆に、優れた安全対策を施すことで、信頼を得られる可能性があります。

天候や季節

天気の良い日や休暇シーズンなど、テーマパーク訪問が好まれる時期には、訪問者数が増加する可能性があります。

価格戦略

入場料や商品の価格設定は、訪問者数や売上に影響を及ぼします。

これらの要素は、テーマパーク業界における競争の激しさや変動性を示しています。ランキングを評価または利用する際には、これらの要因を考慮することが重要です。

まとめ

ランキングを通して、世界のテーマパーク運営会社の市場価値や影響力の大きさを感じることができます。アメリカ、アジア、ヨーロッパなど、各地域からの企業が織りなすランキングは、その地域の経済状況や文化、政策などがどのようにテーマパーク業界に影響を与えているかを考察する良い材料となります。そして、このランキングを参考に、今後のテーマパーク業界の動向や変化要因を予測することも可能となるでしょう。業界の競争は今後も激しさを増していくことでしょうが、それに伴い新しいエンターテインメントや体験価値が生まれることを期待しています。

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