近年、デジタルトランスフォーメーションの進行に伴い、ソフトウェア(営業・マーケティング)の分野は急速な成長を遂げています。世界中の企業が業務効率化や顧客エンゲージメントの向上を目指し、さまざまなソフトウェアを活用してビジネスの競争力を高めています。この動きの中で、どの企業がトップを走るのか、また、その背後にある要因は何なのか。2023年最新版のランキングを通して、業界の最前線を紐解いていきましょう。
世界のソフトウェア(営業・マーケティング)会社ランキング:時価総額TOP52
下記の世界のソフトウェア(営業・マーケティング)会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 国別の集計
- アメリカ: 19社
- 日本: 28社
- 中国: 3社
- イスラエル: 1社
- カナダ: 1社
- イギリス: 1社
このリストの企業の大多数はアメリカと日本に所在しています。アメリカの企業は大きな時価総額のものが多い一方、日本の企業はランキングの下の方に集まっています。
- 時価総額の範囲:
- 最大時価総額はOracle Corpの440,034億円で、最小はInfobird Co LtdとJaywing PLCの7億円です。
- ランキングの上位は、数万億円から数十万億円の時価総額を持つアメリカの大企業が占めています。
- ランキングの下位は、数十億円未満の時価総額を持つ企業が多いです。
- 業種・分野の特徴:
- 企業名や所在国から推測するに、多くの企業がテクノロジー、ソフトウェア、デジタルマーケティングなどの分野に関連しているようです。
- その他の観察点:
- アメリカ企業は、ランキングの上位を主に占めているのに対し、日本企業は中位から下位に分布しています。これは、アメリカのテクノロジー企業が国際的に大きな市場規模を持っていることを示している可能性があります。
このデータから、アメリカの大手テクノロジー企業が時価総額で優位であり、日本の多くの企業は比較的小規模であることが伺えます。アメリカと日本の企業が主体となっているこのリストには、イスラエル、カナダ、イギリス、中国の企業も少数含まれており、これらの国々もテクノロジー分野での競争が激化していることが考えられます。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位:Oracle Corp (アメリカ)
Oracleは、データベースソフトウェアの提供で広く知られる大手IT企業であり、クラウドサービスやミドルウェア、サーバー、ストレージソリューションなど幅広い製品とサービスを提供しています。
Oracleのデータベース技術は、多くの大手企業や政府機関で利用されており、高い収益と安定した市場シェアを確保しています。また、クラウドサービスへのシフトを進めており、これが時価総額の拡大に寄与していると考えられます。
2位:Adobe Inc (アメリカ)
Adobeは、画像・動画編集ソフトウェアやPDF関連のソフトウェア、デジタルマーケティングツールなどの提供で知られる企業です。
Adobeのソフトウェアは業界標準として広く利用されており、特にサブスクリプションモデルに移行してからの収益性が高まっています。この安定した収益構造が高い時価総額の背景にあると考えられます。
3位:Salesforce Inc (アメリカ)
Salesforceは、クラウドベースのCRMソフトウェアを提供する企業で、さまざまな業界向けのアプリケーションやプラットフォームも展開しています。
企業のデジタルトランスフォーメーションが進む中、CRMはビジネスにおいて欠かせないツールとなっています。Salesforceの提供するソリューションの品質と幅広さが、多くの企業からの支持を得ており、それが高い時価総額を支えていると考えられます。
4位:Veeva Systems Inc (アメリカ)
Veevaは、ライフサイエンス業界向けのクラウドベースのビジネスソリューションを提供しています。
ライフサイエンス業界は高度な規制や独自のビジネスプロセスが存在するため、特化したソフトウェアが求められています。Veevaがこのニッチな市場でのリーダー的存在であることが、高い評価となっています。
5位:HubSpot Inc (アメリカ)
HubSpotは、マーケティング、セールス、カスタマーサービス向けのソフトウェアを提供する企業で、特に中小企業向けのソリューションが強みです。
デジタルマーケティングの需要が高まる中、HubSpotの提供する一元的なプラットフォームは、多くの企業にとって効率的なマーケティング活動をサポートします。この使いやすさと機能性が、時価総額の高さを支えていると考えられます。
これらの企業は、それぞれが提供する製品やサービスが業界内でのリーダー的なポジションを獲得しているため、高い時価総額を持っていると分析できます。
【世界のソフトウェア(営業・マーケティング)会社ランキング:時価総額TOP52リスト】
※対象となるソフトウェア(営業・マーケティング)会社として「上場企業」かつ「ソフトウェア(営業・マーケティング)業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年8月10日)の株価および為替レートで算出
ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額(億円) |
1 | Oracle Corp | アメリカ | 2023/05 | 440,034 |
2 | Adobe Inc | アメリカ | 2022/11 | 334,759 |
3 | Salesforce Inc | アメリカ | 2023/01 | 286,687 |
4 | Veeva Systems Inc | アメリカ | 2023/01 | 42,112 |
5 | HubSpot Inc | アメリカ | 2022/12 | 36,681 |
6 | NICE Ltd | イスラエル | 2022/12 | 18,001 |
7 | ZoomInfo Technologies Inc | アメリカ | 2022/12 | 13,758 |
8 | Five9 Inc | アメリカ | 2022/12 | 7,932 |
9 | Freshworks Inc | アメリカ | 2022/12 | 6,807 |
10 | Concentrix Corp | アメリカ | 2022/11 | 6,035 |
11 | Pegasystems Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,615 |
12 | Kinaxis Inc | カナダ | 2022/12 | 4,988 |
13 | Sprinklr Inc | アメリカ | 2023/01 | 4,749 |
14 | Sprout Social Inc | アメリカ | 2022/12 | 4,093 |
15 | Progress Software Corp | アメリカ | 2022/11 | 3,519 |
16 | Verint Systems Inc | アメリカ | 2023/01 | 3,097 |
17 | Weimob Inc | 中国 | 2022/12 | 1,961 |
18 | Momentive Global Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,957 |
19 | Appier Group | 日本 | 2022/12 | 1,719 |
20 | トランス・コスモス | 日本 | 2023/03 | 1,698 |
21 | Thryv Holdings Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,066 |
22 | AnyMind Group | 日本 | 2022/12 | 693 |
23 | Jiangxi Tianli Technology Inc | 中国 | 2022/12 | 501 |
24 | Cardlytics Inc | アメリカ | 2022/12 | 495 |
25 | ユーザーローカル | 日本 | 2022/06 | 356 |
26 | プレイド | 日本 | 2022/09 | 331 |
27 | ダブルスタンダード | 日本 | 2023/03 | 322 |
28 | eGain Corp | アメリカ | 2022/06 | 314 |
29 | フィードフォースグループ | 日本 | 2023/05 | 268 |
30 | ブレインパッド | 日本 | 2022/06 | 208 |
31 | エフ・コード | 日本 | 2022/12 | 96 |
32 | ブリッジインターナショナル | 日本 | 2022/12 | 87 |
33 | アララ | 日本 | 2022/08 | 72 |
34 | アイリッジ | 日本 | 2023/03 | 48 |
35 | ユミルリンク | 日本 | 2022/12 | 48 |
36 | イノベーション | 日本 | 2023/03 | 47 |
37 | CS-C | 日本 | 2022/09 | 40 |
38 | BBDイニシアティブ | 日本 | N/A | 39 |
39 | イルグルム | 日本 | 2022/09 | 37 |
40 | バーチャレクス・ホールディングス | 日本 | 2023/03 | 35 |
41 | ショーケース | 日本 | 2022/12 | 34 |
42 | インフォネット | 日本 | 2023/03 | 33 |
43 | Moatable Inc | アメリカ | 2022/12 | 33 |
44 | シルバーエッグ・テクノロジー | 日本 | 2022/12 | 27 |
45 | ビートレンド | 日本 | 2022/12 | 22 |
46 | シャノン | 日本 | 2022/10 | 21 |
47 | コラボス | 日本 | 2023/03 | 17 |
48 | Marin Software Inc | アメリカ | 2022/12 | 15 |
49 | アジャイルメディア・ネットワーク | 日本 | 2022/12 | 13 |
50 | フュージョン | 日本 | 2023/02 | 9 |
51 | Jaywing PLC | イギリス | 2022/03 | 7 |
52 | Infobird Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 7 |
出典:各社プレスリリースなど
世界のソフトウェア(営業・マーケティング)会社ランキングの有用性
ソフトウェア(営業・マーケティング)会社のランキングの有用性について考察します。以下はその主な有用性です:
- 市場トレンドの理解: ランキングを通じて、現在の市場でどのようなソフトウェアやサービスが主流となっているのか、あるいは新興企業がどのように市場に浸透しているのかを知ることができます。
- 投資判断の参考: 投資家やアナリストはランキング情報を基に、投資先の選定や市場分析を行うことができます。高いランクを維持している企業は、安定した経営や成長性を持っている可能性が高いと解釈されることが多いです。
- ビジネスパートナーシップの検討: 企業が新しいビジネスパートナーを探している際、ランキング情報はその企業の信頼性や実績を判断する材料として役立ちます。
- 競合分析: 企業はランキングを利用して、競合他社の動向や位置づけを理解することができます。これにより、自社の市場戦略の調整や新しいビジネスチャンスの探求が効果的に行えます。
- 商品・サービス選定の参考: 末端の消費者や中小企業などが、新しいソフトウェアやサービスを選定する際の参考情報として、ランキングは有効です。トップランクの企業が提供する商品やサービスは、多くのユーザーからの信頼や実績が確認されていると解釈できます。
- 業界の健全性の指標: ランキングの変動や新規参入企業の動向などは、業界全体の健全性や変動性を示す指標となり得ます。これにより、業界の将来的な成長性や変動のリスクを予測することができます。
- 企業のブランド力向上: 企業自体にとって、ランキング上位に位置することは、ブランドイメージや市場での認知度を向上させる要因となります。
- 市場の透明性の向上: ランキング情報が公開されることで、市場の透明性が向上し、企業や消費者の意思決定がより情報に基づいて行われるようになります。
しかし、ランキング情報の利用には注意も必要です。ランキングの基準やデータソース、算出方法などの背景を理解しないまま、過度にランキング情報に依存するのはリスクが伴います。適切な情報解釈と、他の情報源との照らし合わせが重要です。
世界のソフトウェア(営業・マーケティング)会社ランキング:変化を与える要素
世界のソフトウェア(営業・マーケティング)会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術革新
新しい技術やアプローチが現れると、業界の勢力図が変わる可能性があります。例えば、クラウドコンピューティングの台頭により、従来のソフトウェア会社のランキングが大きく変動した事例が過去に見られます。
市場ニーズの変化
消費者の行動やニーズの変化は、ソフトウェアの需要を大きく変える要因となります。例えば、COVID-19の影響でリモートワークのニーズが高まった結果、関連するソフトウェアの需要が急増しました。
経済的な変動
世界経済の不安定性やリセッションは、企業の投資意欲や消費者の購買行動に影響を及ぼし、ソフトウェア市場全体の動向に変化をもたらします。
規制・政策の変更
特にデータ保護やプライバシーに関連する法律・規制の変更は、ソフトウェア業界に大きな影響を与えることがあります。
競合他社との合併・買収
大手企業が競合他社を買収することで、市場の構造やランキングが変わることがあります。
新規参入企業
革新的なアイディアやサービスを持つ新規参入企業が市場に参入することで、既存の大手企業のランキングに変動が生じることがあります。
マーケティング戦略の成功・失敗
効果的なマーケティング戦略やキャンペーンの成功は、企業のブランド認知や市場シェアを大きく変える要因となり得ます。
製品の品質やセキュリティ
ソフトウェアに重大なバグやセキュリティの脆弱性が発見された場合、該当する企業の評価やランキングが大きく下落する可能性があります。
顧客サポートやサービス
顧客サポートの質やアフターサービスが高いレベルを維持できるかどうかは、顧客のロイヤルティや満足度に直接影響し、長期的な市場シェアやランキングに影響します。
地政学的な変動
一部の地域や国での政治的な変動や紛争は、ソフトウェア企業のビジネス展開に影響を与え、ランキングに変動をもたらすことがあります。
これらの要素は相互に関連しており、複数の要因が組み合わさってランキングの変動が生じることも考えられます。企業や投資家はこれらの要因を常にモニタリングし、適切な戦略を策定する必要があります。
まとめ
本ランキングを通じて、2023年のソフトウェア(営業・マーケティング)業界の勢力図が明らかになりました。技術革新や市場ニーズの変化、経済的な変動、そして地政学的な要因など、多岐にわたる要素がランキングの変動に影響を与えていることが確認できます。今後もこれらの要因が絶えず変わり続ける中、どの企業が頂点を極めるのか、その動向を注視していくことが重要です。そして、このランキングは単なる数字以上の価値があり、ビジネスの戦略策定や投資判断の参考として、業界の未来を予測する鍵となり得るでしょう。