編集部
現代のグローバル経済において、人材は企業の最も貴重な資源と言われます。企業の成長と繁栄のカギは、適切なタイミングでの最適な人材の確保にあるとも言えるでしょう。そこで注目されるのが、世界各国で活動する人材派遣会社です。彼らは多様なニーズに応じて人材を提供し、企業と求職者の間に架け橋となっています。本記事では、2023年の最新データに基づき、世界の人材派遣会社の時価総額ランキングTOP53をご紹介します。経済の変動や技術の進化など、多様な要因によってランキングは年々変動していますが、それぞれの会社がどのような位置を占めているのか、一緒に見ていきましょう。
世界の人材派遣（事務・営業販売等）会社ランキング：時価総額TOP53
下記の世界の人材派遣（事務・営業販売等）会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 地域的な分布:
- 日本の企業がリスト内で最も多く、合計23社がトップ53にランクインしています。これは日本の労働市場のサービス提供企業が強力であることを示しています。
- アメリカの企業は9社で、次に多い国としてリストに名を連ねています。
- ヨーロッパも複数の国（オランダ、スイス、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン）からの企業がランキングされています。
- 時価総額の大小:
- 1位の「リクルートホールディングス」の時価総額は、他の企業と比較して圧倒的に大きい。次に続く2位の企業との間には70,000億円以上の差があります。
- トップ10の中では、1位から10位までの時価総額の差が非常に大きく、1位の企業が市場を大きくリードしていることが分かります。
- 時価総額の範囲:
- トップ10と下位10の間での時価総額の差は非常に大きい。トップ10の企業の中で最も小さい時価総額は1,703億円（Kforce Inc）ですが、下位10の企業の中で最も大きい時価総額は43億円（山田債権回収管理総合事務所）です。
- 業種の特徴:
- リストに名を連ねている企業を見ると、主に人材派遣やリクルーティング、人材サービスを提供している企業が多いようです。
これらの情報を基に、各国や地域の人材サービス市場の動向や、大手企業と中小企業の市場の取り分などの情報を詳しく知りたい場合は、各企業の業績や市場シェア、業界のトレンドに関する報告書などを参照するとよいでしょう。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位：リクルートホールディングス（日本）
リクルートは日本の大手総合情報サービス会社。人材採用、住宅・不動産、ブライダル、旅行、レストラン、美容など、多岐にわたる情報サービスを提供している。
リクルートは、高い認知度と多様なビジネス領域を持つ。また、国内外での多くのM&Aにより事業基盤を強化しており、規模の拡大と多角的な事業展開が時価総額の増加を支えている。
2位：Randstad NV（オランダ）
Randstadは、国際的な人材派遣会社であり、世界中での人材サービスを提供している。
グローバルに展開しているRandstadは、多くの国でのオペレーションと広範なネットワークを持つため、多くの企業や求職者との取引がある。その結果、高い収益と市場価値を持つ。
3位：Robert Half Inc（アメリカ）
Robert Halfは、専門職の人材派遣と人材紹介を中心としたサービスを提供しているアメリカの大手企業。
専門職への特化したサービスと、豊富な経験とノウハウを持っており、企業と求職者の間で信頼されている。また、アメリカの経済規模と労働市場の大きさが、時価総額の増加を後押ししている。
4位：Adecco Group AG（スイス）
Adeccoは、世界で最も大きな人材サービス会社の一つ。一般職から専門職まで幅広い分野での人材サービスを提供している。
Adeccoは世界中での展開を持ち、その広範なネットワークとサービスが多くの企業や求職者からの需要を引き付けている。そのため、その時価総額は高い。
5位：パーソルホールディングス（日本）
パーソルは、人材派遣、人材紹介、アウトソーシングなどの人材関連サービスを提供する日本の大手企業。
日本国内での強固なブランド力と、多様なサービス展開により、多くの企業や求職者との取引がある。また、アジア太平洋地域への展開も進めており、その事業基盤の拡大が時価総額の増加を支えている。
これらの企業は、各々の市場での強固な地位、豊富な経験と専門知識、そして広範なネットワークを持っており、それが高い時価総額を持つ大きな要因となっています。
【世界の人材派遣（事務・営業販売等）会社ランキング：時価総額TOP53リスト】
※対象となる人材派遣（事務・営業販売等）会社として「上場企業」かつ「人材派遣（事務・営業販売等）業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点（2023年8月10日）の株価および為替レートで算出
| ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額（億円） |
| 1 | リクルートホールディングス | 日本 | 2023/03 | 83,662 |
| 2 | Randstad NV | オランダ | 2022/12 | 12,285 |
| 3 | Robert Half Inc | アメリカ | 2022/12 | 10,662 |
| 4 | Adecco Group AG | スイス | 2022/12 | 8,790 |
| 5 | パーソルホールディングス | 日本 | 2023/03 | 6,548 |
| 6 | AMN Healthcare Services Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,601 |
| 7 | ManpowerGroup Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,332 |
| 8 | ASGN Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,155 |
| 9 | Hays PLC | イギリス | 2022/06 | 2,733 |
| 10 | Kforce Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,703 |
| 11 | Beijing Career International Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,430 |
| 12 | Cross Country Healthcare Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,220 |
| 13 | Groupe CRIT SA | フランス | 2022/12 | 1,162 |
| 14 | Synergie SE | フランス | 2022/12 | 1,092 |
| 15 | フルキャストホールディングス | 日本 | 2022/12 | 861 |
| 16 | Kelly Services Inc | アメリカ | 2022/12 | 860 |
| 17 | Amadeus Fire AG | ドイツ | 2022/12 | 840 |
| 18 | HRnetGroup Ltd | シンガポール | 2022/12 | 712 |
| 19 | パソナグループ | 日本 | 2023/05 | 702 |
| 20 | TeamLease Services Ltd | インド | 2023/03 | 637 |
| 21 | Danel (Adir Yeoshua) Ltd | イスラエル | 2022/12 | 604 |
| 22 | リンクアンドモチベーション | 日本 | 2022/12 | 484 |
| 23 | クリーク・アンド・リバー社 | 日本 | 2023/02 | 465 |
| 24 | クイック | 日本 | 2023/03 | 465 |
| 25 | エスプール | 日本 | 2022/11 | 433 |
| 26 | キャリアリンク | 日本 | 2023/03 | 371 |
| 27 | ライク | 日本 | 2023/05 | 338 |
| 28 | ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス | 日本 | 2022/08 | 277 |
| 29 | ウィルグループ | 日本 | 2023/03 | 258 |
| 30 | エイジス | 日本 | 2023/03 | 258 |
| 31 | クロスキャット | 日本 | 2023/03 | 194 |
| 32 | Siamrajathanee PCL | タイ | 2022/12 | 135 |
| 33 | ヒューマンホールディングス | 日本 | 2023/03 | 117 |
| 34 | Staffline Group PLC | イギリス | 2022/12 | 84 |
| 35 | GEE Group Inc | アメリカ | 2022/09 | 78 |
| 36 | 翻訳センター | 日本 | 2023/03 | 61 |
| 37 | Bamboos Health Care Holdings Ltd | 香港 | 2022/06 | 52 |
| 38 | DLSI SA | フランス | 2022/12 | 48 |
| 39 | PION Group AB | スウェーデン | 2022/12 | 44 |
| 40 | 山田債権回収管理総合事務所 | 日本 | 2022/12 | 43 |
| 41 | Empresaria Group PLC | イギリス | 2022/12 | 42 |
| 42 | SERIOホールディングス | 日本 | 2023/05 | 41 |
| 43 | Accordant Group Ltd | ニュージーランド | 2023/03 | 39 |
| 44 | CRGホールディングス | 日本 | 2022/09 | 34 |
| 45 | エージェント | 日本 | 2023/01 | 33 |
| 46 | キャリア | 日本 | 2022/09 | 32 |
| 47 | BCC | 日本 | 2022/09 | 23 |
| 48 | ETS Group Ltd | 香港 | 2022/12 | 20 |
| 49 | アール・エス・シー | 日本 | 2023/03 | 19 |
| 50 | キャリアバンク | 日本 | 2023/05 | 16 |
| 51 | Mare Nostrum | フランス | 2022/12 | 10 |
| 52 | Omnibridge Holdings Ltd | 香港 | 2022/12 | 7 |
| 53 | Staffing 360 Solutions Inc | アメリカ | 2022/12 | 4 |
世界の人材派遣（事務・営業販売等）会社ランキングの有用性
人材派遣会社のランキングには、様々な有用性や意義があります。以下に、その有用性に関する考察をいくつか示します。
- 市場の透明性の向上:ランキングは、人材派遣会社の規模や業績を明確に示すものとして、企業や求職者にとっての参考情報となる。これにより、市場全体の透明性が向上し、より適切な選択や意思決定が可能になる。
- 業界のベンチマーキング:企業間での競争やベンチマーキングにランキングが役立つ。特に新規参入企業や中小規模の企業にとって、業界のトッププレイヤーとの比較が、自社の位置付けや戦略の見直しに貢献する。
- 求職者の選択基準:求職者は、ランキング情報を元に、どの人材派遣会社が自分に適しているかを判断する材料として利用できる。大手や上位にランクインしている企業は、安定性や信頼性があると認識されやすい。
- 投資判断の参考:投資家やアナリストは、ランキング情報を元に、業界内での企業の競争力や将来性を評価する材料として使用することができる。
- 業界のトレンドや動向の把握:ランキングを時間軸で追っていくことで、業界内の成長トレンドや市場の変動、新興企業の台頭など、業界の動向を把握することができる。
- ブランド価値の向上:ランキング上位の企業は、その地位をブランディングやマーケティングの材料として活用することができる。これは新規顧客の獲得や業界内での認知度向上に貢献する。
- 業界全体の質の向上:ランキングの存在自体が、業界内の競争を促進し、各企業がより高いサービスを提供する動機となる。これにより、業界全体のサービスの質が向上する可能性がある。
ただし、ランキングの有用性を最大限に活用するためには、その基準や方法論を理解し、単なる数字や順位だけでなく、背景情報や詳細なデータも参照することが重要です。
世界の人材派遣（事務・営業販売等）会社ランキング：変化を与える要素
世界の人材派遣（事務・営業販売等）会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
経済の変動
一般的に、経済が拡大すると、企業は成長し、人材の需要が増える。逆に、経済が縮小すると、人材の需要が低下し、派遣会社の業績も下降する可能性がある。
技術の進化
AIや自動化の進展により、一部の業務が機械に取って代わられる可能性がある。これにより、特定の職種の需要が変動することが考えられる。
法規制の変更
人材派遣業に関する法律や規制の変更は、業界の構造やビジネスモデルに大きな影響を及ぼす可能性がある。例えば、派遣期間の制限や派遣労働者の権利強化など。
市場の競争激化
新規参入企業や既存企業同士の競争が激化すると、それに伴って各企業のランキング位置が変動することがある。
国際的な事象
世界的な危機（例: パンデミック、経済危機など）は、国際的な人材の流れや需要を変化させる可能性がある。
企業のM&A
大手企業が他の企業を買収すると、時価総額や市場シェアが大きく変わり、ランキングに影響を与える。
企業の戦略の変更
企業が新しい市場への参入や業態の変更を行うと、業績が変動し、それがランキングに反映される。
消費者の嗜好の変化
求職者の価値観や求める職種の変化、企業の人材ニーズの変動など、市場のニーズが変わると、派遣サービスの需要も変わり得る。
ブランドの評価
企業のブランド評価や信頼性が高まると、求職者や企業からの信頼も増し、業績が向上する可能性がある。
技術革新やデジタル化
オンラインマッチングサービスの導入やデジタル化の進展により、効率的に人材をマッチングできる企業が優位になる可能性がある。
これらの要因は相互に関連し合っていることが多く、一つの要因が変動するだけで、ランキングの順位に大きな変動が生じる可能性があります。
まとめ
本記事を通じて、世界の人材派遣業界の最新の動向を捉えることができました。時価総額のランキングからもわかるように、各国の経済状況や法規制、技術革新など、さまざまな要因がランキングの変動に影響を与えています。人材派遣業界は今後もその動向が注目される分野となるでしょう。求職者や企業、投資家など、多くの関係者がこのランキングから得られる情報を活用し、今後の戦略を練っていくことが期待されます。継続的な更新とともに、この業界の動きを追い続けて参りますので、ご興味のある方は今後の記事もぜひご覧ください。