アウトソーシングは現代のビジネスにおいて欠かせない要素となっています。効率化、コスト削減、技術革新の三つの柱により、多くの企業が外部の専門家や組織に業務を委託することを選択しています。このような背景を持つ中、アウトソーシングサービス会社のランキングは、その企業の信頼性や業界内での競争力を示す指標として非常に注目されています。そして、時価総額は、その企業の市場での価値を反映するものとして、ランキング作成の重要な要因となります。この記事では、2023年の最新データに基づき、時価総額TOP100のアウトソーシングサービス会社をご紹介します。
世界のアウトソーシングサービス会社ランキング:時価総額TOP100
下記の世界のアウトソーシングサービス会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
以下の情報を基に、時価総額ランキングの特徴を分析いたします。
- 地域的な分布:
- アメリカ企業は22社で最も多い。アメリカはIT・サービス業界のリーダー国であることがわかる。
- 次いで日本企業が37社と多く、中小のIT・サービス企業が多いことが確認できる。
- 中国、インドもそれぞれ7社、9社とランキングに名を連ねている。特にインドはITアウトソーシングが盛んな国である。
- 時価総額の差:
- 1位のAccenture PLCの時価総額は272,582億円と、2位のCognizant Technology Solutions Corpの47,651億円との間に非常に大きなギャップがある。
- ランキングの下位に行くほど時価総額の差が小さくなり、100位のパパネッツは3億円となっている。
- 企業の種類:
- 企業名や所在国から、このリストはIT、コンサルティング、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、HRなどのサービス業を中心とした企業が多いことが伺える。
結論 ランキングから、アメリカや日本をはじめとした先進国におけるIT・サービス業の強さや、成長途上国であるインドや中国の上昇傾向が確認できる。また、時価総額に大きな差が存在することから、業界内での競争や市場のポジショニングの違いが見受けられる。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位:Accenture PLC(アイルランド)
Accentureは、グローバルな管理コンサルティング、技術サービス、アウトソーシング企業です。彼らは、デジタル、クラウド、セキュリティなどの新しい技術領域での専門知識を持っています。
Accentureは、クライアントとともにビジネス価値を生み出すための広範なサービスとソリューションを提供しています。グローバルな展開と多様なサービスオファリングにより、高い収益と成長を達成しています。
2位:Cognizant Technology Solutions Corp(アメリカ)
Cognizantは、ITサービス、デジタル、およびテクノロジーコンサルティングを提供するアメリカの企業です。
Cognizantは、デジタルトランスフォーメーション、クラウド、データサイエンスなどの先進技術を活用してビジネスを強化しています。その結果、高い収益成長とクライアント基盤の拡大を実現しています。
3位:Capgemini SE(フランス)
フランスを拠点とするCapgeminiは、ITコンサルティング、サービス、およびデジタルトランスフォーメーションソリューションを提供しています。
Capgeminiは、業界特有のソリューションと先進技術の組み合わせで、世界中のクライアントのビジネス課題を解決しています。グローバル展開と豊富なサービスポートフォリオが、収益の成長を支えています。
4位:CGI Inc(カナダ)
CGIは、ITコンサルティング、システム統合、アウトソーシングサービスを提供するカナダの企業です。
CGIは、クライアントとの強固な関係と、幅広い業界と技術領域での深い知識を持っています。これにより、高品質のサービス提供と持続的な成長が可能となっています。
5位:Sodexo(フランス)
Sodexoは、食品サービスおよび施設管理ソリューションを提供するフランスの企業です。
Sodexoは、多様なクライアントの要求に応えるための包括的なサービスを提供しており、これにより世界中での長期契約を獲得しています。持続可能性と社会的責任に対する強いコミットメントも、ブランドの評価を高めています。
このランキングは、企業の時価総額を基にしているため、市場での企業の評価や収益性、成長性がランキングの高さに影響している可能性が高いです。
【世界のアウトソーシングサービス会社ランキング:時価総額TOP100リスト】
※対象となるアウトソーシングサービス会社として「上場企業」かつ「アウトソーシングサービス業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年8月18日)の株価および為替レートで算出
ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額(億円) |
1 | Accenture PLC | アイルランド | 2022/08 | 272,582 |
2 | Cognizant Technology Solutions Corp | アメリカ | 2022/12 | 47,651 |
3 | Capgemini SE | フランス | 2022/12 | 43,000 |
4 | CGI Inc | カナダ | 2022/09 | 34,547 |
5 | Sodexo | フランス | 2022/08 | 20,679 |
6 | Genpact Ltd | バミューダ | 2022/12 | 8,852 |
7 | Trinet Group Inc | アメリカ | 2022/12 | 8,435 |
8 | TravelSky Technology Ltd | 中国 | 2022/12 | 7,582 |
9 | H&R Block Inc | アメリカ | 2022/06 | 7,318 |
10 | ExlService Holdings Inc | アメリカ | 2022/12 | 6,276 |
11 | Ryder System Inc | アメリカ | 2022/12 | 6,085 |
12 | Insperity Inc | アメリカ | 2022/12 | 5,163 |
13 | iSoftstone Information Technology (Group) Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 4,417 |
14 | WNS (Holdings) Ltd | インド | 2023/03 | 4,071 |
15 | Sichuan Development Lomon Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 2,999 |
16 | リログループ | 日本 | 2023/03 | 2,625 |
17 | Shanghai Foreign Service Holding Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 2,619 |
18 | Eternal Asia Supply Chain Management Ltd | 中国 | 2022/12 | 2,558 |
19 | Serco Group PLC | イギリス | 2022/12 | 2,482 |
20 | V2X Inc | アメリカ | 2022/12 | 2,158 |
21 | ベネフィット・ワン | 日本 | 2023/03 | 1,898 |
22 | Firstsource Solutions Ltd | インド | 2023/03 | 1,682 |
23 | トランス・コスモス | 日本 | 2023/03 | 1,583 |
24 | eClerx Services Ltd | インド | 2023/03 | 1,365 |
25 | Advantage Solutions Inc | アメリカ | 2022/12 | 1,184 |
26 | Shenzhen Feima International Supply Chain Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,004 |
27 | Quess Corp Ltd | インド | 2023/03 | 1,001 |
28 | Conduent Inc | アメリカ | 2022/12 | 945 |
29 | R Systems International Ltd | インド | 2022/12 | 884 |
30 | Pitney Bowes Inc | アメリカ | 2022/12 | 841 |
31 | Capita PLC | イギリス | 2022/12 | 824 |
32 | Hinduja Global Solutions Ltd | インド | 2023/03 | 774 |
33 | プレステージ・インターナショナル | 日本 | 2023/03 | 759 |
34 | DL Holdings Group Ltd | 香港 | 2023/03 | 697 |
35 | パソナグループ | 日本 | 2023/05 | 678 |
36 | TaskUs Inc. | アメリカ | 2022/12 | 618 |
37 | Crawford & Co | アメリカ | 2022/12 | 598 |
38 | Datamatics Global Services Ltd | インド | 2023/03 | 503 |
39 | Elanders AB | スウェーデン | 2022/12 | 473 |
40 | Solutions 30 SE | ルクセンブルク | 2022/12 | 446 |
41 | エフアンドエム | 日本 | 2023/03 | 396 |
42 | Malam-Team Ltd | イスラエル | 2022/12 | 394 |
43 | Wistron Information Technology & Service | 台湾 | 2022/12 | 381 |
44 | Comarch SA | ポーランド | 2022/12 | 361 |
45 | CAC Holdings | 日本 | 2022/12 | 339 |
46 | ビーウィズ | 日本 | 2023/05 | 327 |
47 | バリューHR | 日本 | 2022/12 | 324 |
48 | Humanica PCL | タイ | 2022/12 | 318 |
49 | シダックス | 日本 | 2023/03 | 306 |
50 | All for One Group SE | ドイツ | 2022/09 | 283 |
51 | ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス | 日本 | 2022/08 | 271 |
52 | ビジネスブレイン太田昭和 | 日本 | 2023/03 | 262 |
53 | ウィルグループ | 日本 | 2023/03 | 241 |
54 | Sat Industries Ltd | インド | 2023/03 | 232 |
55 | RCM Technologies Inc | アメリカ | 2022/12 | 216 |
56 | ペイロール | 日本 | 2023/03 | 196 |
57 | Ultramarine & Pigments Ltd | インド | 2023/03 | 190 |
58 | シイエム・シイ | 日本 | 2022/09 | 189 |
59 | NexTone | 日本 | 2023/03 | 186 |
60 | StarTek Inc | アメリカ | 2022/12 | 183 |
61 | Novabase SGPS | ポルトガル | 2022/12 | 170 |
62 | Hyundai Ezwel Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 168 |
63 | Xchanging Solution Ltd | インド | 2023/03 | 167 |
64 | メタリアル | 日本 | 2023/02 | 155 |
65 | アルファパーチェス | 日本 | 2022/12 | 128 |
66 | Scicom MSC Bhd | マレーシア | 2022/06 | 125 |
67 | CDS | 日本 | 2022/12 | 119 |
68 | うるる | 日本 | 2023/03 | 117 |
69 | PT Multipolar Tbk | インドネシア | 2022/12 | 117 |
70 | サンネクスタグループ | 日本 | 2023/06 | 100 |
71 | 3i Infotech Ltd | インド | 2023/03 | 90 |
72 | メンタルヘルステクノロジーズ | 日本 | 2022/12 | 81 |
73 | PT Anabatic Technologies Tbk | インドネシア | 2022/12 | 69 |
74 | エスクロー・エージェント・ジャパン | 日本 | 2023/02 | 64 |
75 | 翻訳センター | 日本 | 2023/03 | 61 |
76 | 富士ソフトサービスビューロ | 日本 | 2022/12 | 60 |
77 | Now Corp | フィリピン | 2022/12 | 48 |
78 | CSSホールディングス | 日本 | 2022/09 | 45 |
79 | EduLab | 日本 | 2022/09 | 40 |
80 | One to One Contacts PCL | タイ | 2022/12 | 39 |
81 | イーサポートリンク | 日本 | 2022/11 | 38 |
82 | バーチャレクス・ホールディングス | 日本 | 2023/03 | 31 |
83 | Eastern Technical Engineering PCL | タイ | 2022/12 | 26 |
84 | エヌリンクス | 日本 | 2023/02 | 25 |
85 | Paxys Inc | フィリピン | 2022/12 | 24 |
86 | フュートレック | 日本 | 2023/03 | 22 |
87 | パルマ | 日本 | 2022/09 | 22 |
88 | エコミック | 日本 | 2023/03 | 21 |
89 | 日本エマージェンシーアシスタンス | 日本 | 2022/12 | 21 |
90 | F & J Prince Holdings Corp | フィリピン | 2022/12 | 16 |
91 | キャリアバンク | 日本 | 2023/05 | 16 |
92 | GS Holdings Ltd | シンガポール | 2022/12 | 14 |
93 | 日本PCサービス | 日本 | 2022/08 | 13 |
94 | Cerebra Integrated Technologies Ltd | インド | 2023/03 | 10 |
95 | Excel Realty N Infra Ltd | インド | 2023/03 | 8 |
96 | Sylph Technologies Ltd | インド | 2023/03 | 8 |
97 | Lee & Nee Softwares (Exports) Ltd | インド | 2023/03 | 7 |
98 | Orchasp Ltd | インド | 2023/03 | 6 |
99 | Megri Soft Ltd | インド | 2023/03 | 5 |
100 | パパネッツ | 日本 | 2023/02 | 3 |
出典:各社プレスリリースなど
世界のアウトソーシングサービス会社ランキングの有用性
アウトソーシングサービス会社のランキングの有用性について考える際、以下のような要点を挙げることができます:
- 市場の指標としての役割: ランキングを見ることで、どのアウトソーシング会社が現在の市場で強いのか、どの企業がリーダーであるのかを把握することができる。これは投資家や業界のステークホルダーにとって非常に有益です。
- 顧客の意思決定の参考: 企業や個人がアウトソーシングサービスを利用したいと考えたとき、ランキングを参考にして信頼性やサービス品質を予測することができる。
- 業界のトレンドの確認: ランキングの動向を追うことで、業界のトレンドや成長している企業、新興企業の動きなどを掴むことができる。これにより、競合他社の動向や市場の変化に迅速に対応することが可能となる。
- 企業のブランド価値の向上: ランキング上位に名を連ねることで、企業のブランドや信頼性が向上する。これにより、新しいクライアントの獲得や投資の魅力を高めることができる。
- ベンチマーキングのための基準: 企業はランキングを参考にして、自社の位置付けや競争力を評価することができる。また、自社の弱点や改善点を明らかにするための参考情報としても活用できる。
- グローバルな視野の提供: 世界のアウトソーシングサービス会社のランキングを見ることで、どの地域や国がアウトソーシング業界で力を持っているのかを知ることができる。これにより、グローバルな戦略の立案や新たな市場への進出の参考とすることができる。
- 業界の透明性の向上: ランキングは、会社の業績や実績に基づいているため、業界の透明性を高める役割を果たす。これにより、クライアントや投資家はより明確な情報に基づいて判断を下すことができる。
一方で、ランキングだけに依存することの危険性も理解することが重要です。ランキングは一定の基準に基づいて評価されているため、それに含まれない要素(たとえば顧客満足度や特定のサービスの質)があるかもしれません。したがって、最終的な意思決定をする際には、ランキングだけでなく、他の情報源も参考にすることが望ましいです。
世界のアウトソーシングサービス会社ランキング:変化を与える要素
世界のアウトソーシングサービス会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術の進化:
技術の急速な進展、特にデジタル技術やAIの導入などが、サービスの質や効率性を向上させる要因となります。先進技術を導入した企業はランキング上位に位置する可能性が高まります。
経済的変動
為替レートの変動や経済危機などのマクロ経済の変動は、アウトソーシングサービスのコストや需要に影響を与え、ランキングに変動をもたらすことがあります。
サービスの多様性
新しい市場のニーズに応えるための新サービスの提供や、独自の価値提案を持つ企業は、競争力を向上させる可能性があります。
クライアントのフィードバック
クライアントの評価やフィードバックは、サービスの質や企業の評価に大きく影響します。これが高評価であれば、ランキング上位に位置する可能性が高まります。
地政学的な変動
政治的な不安定性や規制の変更、国際的な紛争などがアウトソーシングの業務の移転先やコストに影響を与えることがあります。
業界の合併・買収
大手アウトソーシング企業の合併や買収活動は、市場の競争力やランキングの順位に影響を与えることがあります。
研修と教育
優れた人材を確保・育成することは、アウトソーシング業界においても非常に重要です。高品質な研修や教育プログラムを提供する企業は、サービスの質を保つことができます。
法律・規制の変更
一部の国や地域での法律や規制の変更は、アウトソーシング業務のコストや遂行方法に影響を与えることがあります。
市場の需要の変動
新興市場の成長や既存市場の縮小など、市場の需要の変動はアウトソーシングサービスの供給と需要に影響を与え、ランキングの変動の原因となることがあります。
これらの要因の中には、企業の経営方針や戦略によってコントロールできるものもあれば、外部環境やマクロ経済に起因するものもあります。したがって、アウトソーシングサービス会社は、これらの要因を常に監視し、適切な対応策を講じることが重要です。
まとめ
アウトソーシング業界は、技術の進化や地政学的変動、経済的変動など多岐にわたる要因によって、絶えず変動し続ける市場となっています。このランキングを通して、業界のトップ企業がどのような特徴や強みを持っているのか、そしてどのような戦略で市場におけるリーダーシップを維持しているのかを見ることができます。しかし、ランキングだけが全てではありません。それぞれの企業がどのような価値を提供しているのか、どのようなビジョンを持って事業を展開しているのかを理解することが、真のビジネスパートナーを見つける鍵となります。今後もアウトソーシング業界の動向やトレンドに注目しつつ、最適なパートナーシップを築き上げていくことをおすすめします。