デジタル技術の普及が進む中、新規事業開発のアプローチにも変化が見られるようになりました。特に、デジタル技術を駆使した事業では、初期投資を抑えつつ、予測しにくい市場やビジネスモデルへの挑戦が増えてきています。
この背景を受け、野村総合研究所(NRI)は、従来の新規事業開発アプローチに加え、アダプティブなアプローチを取り入れることで、事業の成功確率を高める取り組みを進めています。
本記事では、NRIのデジタル新規事業開発の戦略や取り組み、そしてその背後にある思考を深堀りしていきます。
デジタル技術の普及と新規事業開発の変革
デジタル技術の急速な普及は、ビジネスの世界にも大きな変革をもたらしています。特に新規事業開発のアプローチにおいて、その影響は顕著です。デジタル技術を活用することで、初期投資を大幅に抑えることが可能となり、これにより事業環境が予測しにくい領域、例えば他業界や他業種、異なるビジネスモデルへの挑戦が増加しています。
簡易的なサービスの構築からユーザー検証(PoC)へと進み、その結果を基にサービスを改善するサイクルを、高速かつ低コストで回すことが求められるようになりました。このようなアプローチは、新規事業のリスクを低減させるとともに、市場のニーズに迅速に対応することを可能としています。
NRIのアダプティブ事業開発アプローチとは?
野村総合研究所(NRI)は、上記のようなデジタル時代の新規事業開発の変革に対応するため、アダプティブ事業開発アプローチを採用しています。これは、市場調査や新規事業の領域検討、事業計画策定、実行といった従来の段階的なアプローチに加え、サービスの迅速な検証と構築、サービスリリース後の改善、そして拡大領域の探索と選定を繰り返すアジャイルなアプローチを組み合わせたものです。
このアプローチの特徴は、『クイックなサービス検証・構築』から『サービスリリース・改善』、さらに『拡大領域の探索・選定』というサイクルを迅速に回すことにあります。これにより、市場の変化やユーザーのニーズに柔軟に対応しながら、新規事業の成功確率を高めることができるのです。
新規事業開発の目的・狙い・課題
新規事業開発は、単に新たな収益源を獲得するだけでなく、多岐にわたる目的や狙いを持って進められます。野村総合研究所(NRI)のアダプティブ事業開発アプローチを通じて支援してきた企業の中には、新規事業をフックに本業への貢献を目指す企業が多数存在します。
具体的には、新規事業を通じて本業の収益拡大やコスト削減を実現すること、組織変革や人材の育成を促進すること、ユーザーとの関係を深化させて本業のリテンションを向上させること、そして取得したデータを活用して既存事業の変革やコスト削減を進めることなどが挙げられます。
事業構築・拡大のための連携戦略
事業の構築や拡大を目指す際、一企業だけでの取り組みには限界があることが多いです。特に、新規性が高い事業やサービスの場合、多様な知見や技術、リソースが求められるため、外部との連携が不可欠となります。
NRIが支援してきた企業の中には、官公庁や自治体、業界団体との連携を進める企業や、スタートアップやSaaS企業との連携を模索する企業、さらには他社とのジョイントベンチャーを検討する企業など、多岐にわたる連携戦略を採用している事例が存在します。これらの連携は、事業の成功を大きく左右する要因となるため、適切なパートナーシップの構築が求められます。
短期間でのベータ版サービスリリースの重要性
デジタル時代の新規事業開発において、短期間でのベータ版サービスのリリースは、事業成功の鍵となっています。ベータ版のリリースを迅速に行うことで、市場の反応をリアルタイムで把握し、サービスの改善や方向性の調整を行うことが可能となります。
このアプローチは、大きな投資を行う前に市場のニーズや要望を正確に把握することができるため、リスクを低減する効果も期待できます。また、ユーザーとのコミュニケーションを密に取ることで、サービスのブランディングやユーザーロイヤルティの向上にも寄与します。
アプリ・システムのアジャイルな開発
アジャイル開発は、柔軟性と迅速性を持った開発手法として、多くの企業で採用されています。野村総合研究所(NRI)も、新規事業開発のアプローチとしてアジャイル開発の手法を推奨しています。
アジャイル開発の特徴は、短いスプリント(開発期間)を設定し、その期間内での成果物のリリースを目指すことです。この手法を取ることで、開発途中の変更や追加要望にも柔軟に対応することができ、ユーザーのニーズに合わせたサービスの提供が可能となります。また、定期的なフィードバックを取り入れることで、サービスの品質向上やユーザーエクスペリエンスの最適化を図ることができます。
新規事業・サービス開発のステップとNRIの支援内容
新規事業やサービスの開発には、明確なステップが存在します。初めに、市場調査やターゲットの特定、次に、サービスのコンセプト作成やプロトタイピング、そして実際のサービス開発とリリース、といった流れが一般的です。
野村総合研究所(NRI)は、これらのステップごとに企業を支援しています。市場調査では、データベースを活用した詳細な分析を提供し、サービスのコンセプト作成では、ワークショップを通じてアイディアを絞り込むサポートを行います。また、プロトタイピングでは、ユーザーのフィードバックを取り入れながらの改善提案や、実際のサービス開発では、技術的な支援やマーケティング戦略の策定をサポートしています。
ビジネスグランドデザイン策定の重要性
ビジネスグランドデザインとは、企業の長期的なビジョンや目標を明確にし、それを実現するための戦略や方針を策定することを指します。新規事業やサービスを開発する際、このグランドデザインが明確であることは、事業の方向性を明確にし、組織全体のモチベーションを高める上で非常に重要です。
野村総合研究所(NRI)は、企業のビジネスグランドデザイン策定をサポートしています。具体的には、企業の強みや市場の動向を分析し、将来のビジョンや目標を明確にするワークショップを実施。その上で、実現可能な戦略や方針を共同で策定し、事業の成功に向けたロードマップを作成します。
PoCによる事業計画の見直し
Proof of Concept(PoC)は、新規事業やサービスのアイディアやコンセプトが実際の市場で受け入れられるかを検証するための手法です。PoCを実施することで、事業計画の妥当性を確認し、必要に応じて計画の見直しや方向性の調整を行うことができます。
野村総合研究所(NRI)は、企業のPoC実施をサポートしています。具体的には、ターゲットとなるユーザーや市場の特定、PoCの設計や実施、そして結果の分析とフィードバックの取り込みをサポートしています。このプロセスを通じて、事業計画のリスクを低減し、市場のニーズに合わせたサービスの開発を進めることができます。
事業実行体制の構築とDXケイパビリティの獲得
事業を成功に導くためには、適切な事業実行体制の構築が不可欠です。特に、デジタル変革(DX)を進める上で、組織や人材、技術のキャパビリティの獲得が求められます。
野村総合研究所(NRI)は、企業の事業実行体制の構築をサポートしています。具体的には、組織の変革や人材育成のプログラムの提供、最新の技術トレンドやツールの導入サポートを行っています。また、DXケイパビリティの獲得をサポートするためのワークショップやセミナーも提供しており、企業のデジタル変革を加速させる取り組みをサポートしています。
まとめ
デジタル技術の普及とともに、新規事業開発のアプローチや戦略は大きく変わりつつあります。野村総合研究所(NRI)は、この変革の中心に位置し、アダプティブな事業開発アプローチを提唱しています。
本記事では、そのアプローチの具体的な内容や、新規事業開発の各ステップでのNRIの支援内容を詳しく解説しました。デジタル時代における新規事業の成功の鍵は、市場の変化やユーザーのニーズに迅速に対応する柔軟性にあります。そして、その柔軟性を持つための具体的な方法や手法、そして考え方を、NRIは提供しています。