三井E&S Co., Ltd.は、三井E&S田茶野工場において水素ガス供給施設の建設を完了したと発表した。この施設は、液体水素タンクや水素ガス圧縮機などを備え、水素関連事業の早期立ち上げを目指している。デモンストレーション運転も実施されている。
三井E&S田茶野工場における水素ガス供給施設の概要
三井E&S Co., Ltd.は、岡山県田茶野に位置する自社工場において、大規模な水素ガス供給施設の建設を完了した。この施設は、液体水素タンクや水素ガス圧縮機を中心とした設備で構成され、1,000Nm3/hの大量の水素ガスを供給する能力を有している。
この施設は、三井E&Sの水素関連事業の一環として、大型船舶用ディーゼルエンジンや産業機械、往復動式圧縮機などのコア製品の生産基地としての役割も果たしている。デモンストレーション運転も実施され、施設の機能と安全性が確認されている。
大型船舶用ディーゼルエンジンへの水素供給計画
三井E&Sは、この新しい水素供給施設を活用して、大型船舶用のマリンエンジン(出力7MW)への水素供給を計画している。この計画は、2021年度にダイハツディーゼル株式会社と共同で採択された国土交通省の補助事業の一部として進められている。
このプロジェクトでは、水素燃焼技術の開発とともに、35 MPaまでの水素をブーストするブースターコンプレッサーや、水素供給を制御するGVT(ガスバルブトレイン)の開発が行われる。三井E&Sは、燃料供給と大型船舶用エンジンの連携運転技術を確立し、水素燃焼推進プラントの開発を加速する方針である。
水素燃焼技術の開発と今後の展望
三井E&Sは、水素を燃料として利用する技術の開発に注力している。特に、水素燃焼技術の開発は、環境問題への対応として、持続可能なエネルギー供給の一環として注目されている。この技術は、水素を高効率で燃焼させることで、CO2排出を大幅に削減することが期待されている。
また、ブースターコンプレッサーの開発を通じて、水素を35 MPaまでブーストする技術や、GVT(ガスバルブトレイン)を用いた水素供給の制御技術も進行中である。これらの技術の組み合わせにより、水素を効率的に利用する推進プラントの開発が進められている。
高圧シール技術の導入と水素供給インフラの貢献
三井E&Sの子会社であるKaji Technology Co., Ltd.から採用された往復動式圧縮機は、このプロジェクトの中核的な設備として位置づけられている。特に、非潤滑状態での高圧シール技術がこの圧縮機に適用され、デモンストレーション運転も実施されている。
この高圧シール技術の導入により、水素供給チェーンに必要な圧縮機の高圧仕様を満たすことが可能となった。三井E&Sは、この技術を活用して、水素供給インフラの開発に貢献し、持続可能なエネルギー供給の実現に向けた取り組みを強化している。
水素の波に乗る三井E&Sの航海
水素という新しいエネルギーの波が、産業界の大海を静かに覆い始めている。その中で、三井E&Sは、この波に乗る船の船長として、新しい航海の旅を開始した。水素供給施設の建設は、まるで新しい船を建造するかのような挑戦であり、その船は未来のエネルギーの海を渡るための重要な一歩となる。
この新しい航海において、三井E&Sは、水素の利用という新しい風を受けて帆を広げ、持続可能なエネルギーの未来へと向かっている。水素燃焼技術の開発や高圧シール技術の導入は、この船の新しい航行技術や装備と言えるだろう。これらの技術は、水素という新しい風を受けて、船をスムーズに進めるための重要な要素となる。