株式会社テックシンカー(東京都品川区)は「地域由来カーボンクレジットの商品企画サービス」を提供開始すると2022年12月に発表した。

地域社会で創出されたカーボンクレジットを地域の商品やサービスに付与。クレジットを「地産地消」による資金の地域社会に還流を目指している。そうすることで地域の活性化や地方創生および脱炭素につなげることが期待できる。

ワンストップサービスを提供することで企業の販路拡大・地域創生につなげる

近年地方創生において、SDGsや脱炭素は重要な概念として注目されている。政府は「持続可能なまちづくり、さらに地域活性化のため、新しい時代の流れを力にする」という考えに基づいて、脱炭素を原動力とした地方創生を推進している。

一方、地方の自治体や企業は人手や専門知識の不足により、オフセットのための取り組みがスムーズに進まないことが課題となっている。

同社はワンストップサービスを提供する。企業が地域由来のカーボンオフセットブランドを構築することで、商品やサービスの新たな価値を協業先や消費者に認識してもらい、企業の販路拡大や地域創生を目指す。

▼地域由来カーボンクレジットの商品企画サービス
https://www.offemission.com/productplanning

開発背景

出典:PR TIMES

▼従来の地方創生から「地方創生×脱炭素」モデルへ

日本政府は少子高齢化に対応し、将来活力ある日本社会を維持するため、2014年より、まち・ひと・しごと創生に関する施策を実施してきた。直近の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」策定に向けて、以下の2点を新に重点を置いて施策を推進している。

(1)地方へのひと、資金の流れを強化する

(2)新しい時代の流れを力にする(例:SDGsを原動力とした地方創生)

このような政府方針による後押しで、従来の地方創生施策の中にSDGs、脱炭素エネルギーを地産地消する取り組みを加える。それにより地方への資金の流れを短期的に強化し、新たなビジネスモデルの構築による地域経済の発展が期待できる。

また、中長期的には地球温暖化の影響への適応、地域資源の活用、緊急時のエネルギー源の確保、地域の安全・安心や地域活性化が期待できる。

▼消費市場のグリーン化が求められている

経済産業省は2021年12月、「GXリーグ」の基本構想案を発表した。この案では、経済と環境の好循環を作り出すために、GX(グリーントランスフォーメーション)の国を挙げての推進が必須であると明言した。「GXリーグ」の参画企業に対し、製品・サービスを通じた消費市場グリーン化の取り組み実施を求めている。

▼「値段の安さ」から「イミ(意味)消費」を望む消費者の増加

従来は値段の安さが求められてきたが、昨今は選択の際、「イミ(意味)消費」を望む消費者が増えている。「自分たちの幸福や持続可能な社会の促進のためには、適切な対価を払うべき」と考える消費者が増えているのが現状だ。

「地域由来カーボンクレジットの商品企画サービス」とは

主な特徴を3つ紹介する。

出典:PR TIMES
  • 新たな脱炭素ブランドを構築

既存の企業ブランド・イメージに脱炭素の要素を加えることで、自社商品・サービスの価値を高める「リブランディング」を提案する。リブランディングを機能させることで、協業先や消費者に独自の価値・優位性を認識してもらい、販売パートナー企業にも取り扱うメリットが生まれることで、結果として販路拡大につなげることが目的だ。

  • カーボンオフセット/カーボンニュートラル商品・サービスを展開、競争力アップ

製造業や卸売業、小売業などで、コモディティ化して価格競争に陥りやすい商品やサービスにカーボンニュートラルの企画を取り入れて、消費者の意識を価格から価値観に転換させる。他社と差別化することにより、多くの広告・営業予算を投下した集客活動なしで、顧客の確保が期待できる。

  • 企画から実施までトータル・ソリューションを提供

同サービスではカーボンニュートラルの企画をはじめ、社内プレゼン用資料の作成、各メディアへの告知、キャンペーンに必要なコンテンツ作りなどトータル・ソリューションを提供する。コスト増や人手不足が理由でカーボンオフセットに取り組めなかった企業の課題をトータルで改善することができる。

取り組みの流れ

主に以下4段階で取り組みを行う。

出典:PR TIMES
  • CO2排出量の算出

商品やサービスの「原材料調達」、「生産」、「物流・販売」、「使用・維持管理」、「廃棄・リサイクル」の5段階でCO2排出量の算出を行う。

  • 削減努力を行う

省エネ活動や環境負荷の少ない電力・燃料へ切換を行うなど、削減努力を実施する。

  • オフセットの実施

国内の認証機関による検証および認証済みのカーボンクレジットを提供する

  • 情報発信

購入したカーボンクレジットの総量や、オフセットを実施した場所などを記載した国内認証機関発行の証明書(無効化通知書)を社内外に発信する。脱炭素へ貢献する企業としての姿勢を明確に伝え、企業価値を高めることが可能になる。

事例紹介

出典:PR TIMES

2015年のパリ協定を契機として環境問題に関連する、事業環境や消費者意識が大きく変化した。これにより欧州の企業は、サプライチェーンの脱炭素化やカーボンニュートラル商品およびサービスの企画に積極的に取り組み始めた。

  • オーストリアのホテル「ホテル・ママ・トゥレスル」

顧客の宿泊に伴うCO2排出量を算出し、オフセットの実施により、宿泊客はカーボンニュートラルな宿泊を体験できる。

  • ドイツの化粧品メーカー「BABOR」

全製品のカーボンフットプリントを計算。避けられない排出量についてはカーボンオフセットプロジェクトを支援することで、オフセットを実施。

  • スイスのコーヒーカップメーカー「セレクタ」

カップの製造、輸送、利用、廃棄までに発生する排出量すべてを算出。削減努力を行い、製品のカーボンフットプリントを最小限に抑えるが、どうしても避けられない排出量をカーボンクレジットでオフセットすることで、カーボンニュートラル製品を実現する。

株式会社テックシンカー 会社概要

  • 会社名:株式会社テックシンカー
  • URL:https://www.offemission.com/
  • 所在地:東京都品川区東五反田5-25-18 7F
  • ビジョン:CO2排出量の可視化により、脱炭素社会の推進や気候変動に対する問題意識の拡大を目指す
  • 事業内容: CO2排出量可視化事業である「商品炭素簿」、「家計炭素簿」、カーボンオフセットの取組みを支援するプラットフォーム「オフ・エミッション」運営

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