博報堂DYとMESON、現実空間とメタバースの共有を検証
広告大手の博報堂DY(東京都港区)とサイバー空間などのコンピューティング技術に強みがあるMESON(東京都渋谷区)は、情報技術分野に関するイベント「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」にて、共同で行うプロジェクト「GIBSON」についての講演を紹介した。
「GIBSON」とは
「GIBSON」は、現実空間を3Dコピー化した「サイバー空間」の中で、そこにログインする遠隔地のVRユーザーと現実空間にいるAR(拡張現実)ユーザーをつなぐ試みで、まるで同じ空間にいるようなコミュニケーション体験を実現するものである。今後、観光・買い物・イベントなどの用途で活用を想定している。
次世代インターネットでコミュニケーションが変化
バーチャル空間に3次元(3D)の仮想世界を構築するメタバースは、インターネットの3D化といえる。
ARやVRなどの技術を用いた実空間のインターネット化をスペーシャル・ウェブと表現するが、この「スペーシャル・ウェブ」と「メタバース」、データやインターネットを分散化する「Web3」の3つの次世代インターネットが融合することで、新しいコミュニケーションやメディア空間が生まれるという。
共同プロジェクト「GIBSON」は、人・もの・空間を相互に共有できるようにすることで、ARユーザーとVRユーザーが同じ空間や体験を共有していると感じるような、物理的距離を障害としないコミュニケーションを構築している。
これまでに行った実証実験では、ARユーザーがカメラで撮った写真をVR空間で共有したり、自己位置認識システムを使いARのユーザーとVRのアバターが並んで歩いたりなどの体験をした。実験後のアンケートにて、街への興味を持ってもらったり、街歩きの促進などに効果的であることが分かった。現実空間とサイバー空間での体験共有は、今後観光やショッピング、ライブやイベントなどのエンターテインメント分野でも活用できるだろう。
現実空間とメタバースでの新しいコミュニケーションスタイルがGIBSONの目標
GIBSONが参加している国交省主導の3D都市モデル整備・オープンデータ化プロジェクト「Project PLATEAU」は、2020年より現在も継続している。ARとVRを跨いで環境コンテキストを揃えることから始まり、デジタルコンテンツをより簡単に共有できる仕組みを作っている。具体例として、実世界で看板や掲示板などを設置するように、ARとVRの中にデジタルコンテンツを簡単に配置できる仕組みを構築した。
また、デジタルコンテンツとして残したコメントや写真に対して、他のユーザーが「いいね」などのリアクションをすることも可能だという。これにより、同時間にAR空間やVR空間の共有をしたユーザー同士で新しいスタイルのコミュニケーションを創出できることが期待される。
将来このビジョンが実現すれば、離れていても同じモノを共有する新たな「体験」が構築されるであろう。
会社概要
株式会社博報堂DYホールディングス
- 所在地:東京都港区赤坂5丁目3番1号 赤坂Bizタワー
- 資本金:107億円(2022年3月31日現在)
- 事業内容: 広告関連マーケティング・コミュニケーションサービス全般
- URL: https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/
- 登壇者:目黒 慎吾 テクノロジー・センター 研究開発1グループ 上席研究員/テクノロジスト
株式会社MESON
- 所在地:東京都渋谷区神南1-5-6 H¹O渋谷神南5F
- 代表者:小林 佑樹
- 事業内容: メタバースやWeb3などに関するサービス開発
- URL: https://www.meson.tokyo/
- 登壇者:竹内 誠一郎 XR Creative Studio ディレクター