2023年1月5日~1月8日、アメリカ西部ラスベガスで開催された世界最大級の家電・IT見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」には、インターネット上の仮想空間「メタバース」が体験できる仮想現実(VR)用製品が多数出展された。
IT見本市「CES」
T見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」はコロナ禍中で2021年はオンライン開催、2022年はオンラインとリアルのハイブリッド開催となり、出展を断念した企業も多かった。
2023年は通常通りに開催し、コロナ禍前に近い来場者があった。
日本企業からも36社出展。ゲームだけでなく、業務での使い道も視野に入れて、各社がVR製品の開発を進めている。なかでも、パナソニックホールディングスが現実空間で作業しやすいコントローラーを発表し、シャープは初めて試作品を展示した。
シフトールが「Flip(フリップ)VR」を発表
パナソニックホールディングの傘下にあるShiftall(シフトール、東京)は、手で握らずに使えるという新型のVR用コントローラー「Flip(フリップ)VR」を発表。VRコントローラーは、メタバース上で体の動きを再現するのに必要だが、そのほとんどが手で握る形式である。新型のコントローラーが発売されれば、現実空間で別の物を持つことができないという悩みが解決されるかもしれない。
「FlipVR」は手の甲に装着し、手首をひねると操作パネルが手の甲側にフリップでき、VR体験をしながら飲み物などの物をつかむこと、楽器の演奏やキーボードの操作なども可能になる。イベントや仕事などさまざまな用途での活用を想定している。
また、Shiftallは昨年出展したメガネ型のVRゴーグル「MeganeX(メガーヌエックス)」に、5.2Kの解像度の有機ELディスプレーを搭載し、24万9900円で2023年3~4月頃発売すると発表。担当者は「ゲームだけでなく、メタバース上でのデザイン制作などの業務でも使ってもらいたい」としており、ビジネス向けのモデルも発売を予定している。
軽量化したVRゴーグルの試作をシャープが展示
シャープは重さ175グラムに軽量化したVRゴーグルの試作を展示した。ゴーグルに搭載したカメラで、コントローラーがなくても手の動きを認識してVRコンテンツを操作可能である。製品化は未定だが、気軽に利用できることを目指し、シャープ担当者によると「VRの市場は確実に育つとみており、早期に参入の検討を進めたい」とのこと。
VR機器の競争が激化
CESではこのほか、台湾の宏達国際電子(HTC)が性能を高めた新型VRゴーグル「VIVE XR Elite」を2月に発売を発表。ソニー・インタラクティブエンタテインメントもゴーグル「プレイステーション VR2」を2月発売予定で、今後ますますVR機器の競争が激しくなってくるだろう。
りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「VR機器はゲームだけでなく、業務効率化のため仕事での利用が広がっている。市場の成長にあわせて企業の開発競争も加速するだろう」と話した。
会社概要:パナソニック
- 会社名:パナソニックホールディングス株式会社
- 本部所在地:大阪府門真市大字門真1006番地
- 会社解説:日本の電機メーカーグループであるパナソニックグループの統括持株会社
- 設立:年月日:1918年3月7日
- 事業概要:白物家電、住宅設備、車載などの分野に重点を置き、AI技術・ICT技術、ロボティクス・メカトロニクス技術の研究
- URL:https://holdings.panasonic/jp/
会社概要:シフトール
- 会社名: 株式会社Shiftall(シフトール)
- 所在地:東京都中央区日本橋馬喰町2-6-10 東京大和化成ビル4F
- 会社解説:パナソニックのグループ会社で、IoT製品を中心に独自ブランドを展開するイノベーションカンパニー。
- 設立:年月日:2018年2月13日
- 事業概要:IoT 独自ブランドの製品を含む家電製品・ガジェット類の企画・開発・販売、依頼に基づいたIoT製品を含むさまざまな家電製品・ガジェット類の企画・設計・開発・量産の支援、並びに共同開発・共同販売。
- URL:https://ja.shiftall.net/
会社概要:シャープ
- 会社名: シャープ株式会社
- 本社所在地:大阪府堺市堺区匠町 1番地
- 会社解説: 電気通信機器・電気機器のメーカー
- 設立:年月日:1912年9月15日
- 事業概要:電気通信機器・電気機器および電子応用機器全般ならびに電子部品の製造・販売など
- URL:https://corporate.jp.sharp/