編集部
2023年、マッチングアプリ市場は新たな局面を迎えています。コロナ禍を経て、マッチングアプリは単なる出会いの場から、社会的な役割を果たす存在へと変貌を遂げています。特に、政府が掲げる異次元の少子化対策において、マッチングアプリは重要な役割を担い始めています。
この記事では、マッチングアプリの市場動向、政府との連携強化、そして今後のトレンドについて詳しく掘り下げていきます。マッチングアプリが社会に与える影響と、それが少子化対策にどのように貢献しているのかを明らかにしていきます。
2023年上半期のマッチングアプリ市場の振り返り
2023年度のマッチングアプリ市場は、788億円の見通しで、2028年には860億円に拡大すると予測されています。コロナ禍を経て、マッチングアプリは急速に認知され、利用が拡大しました。特に2023年上半期は、withコロナ生活の一区切りとなり、多くの業界が活気を取り戻し始めた時期です。
この時期、マッチングアプリは「パートナーが見つかる、結婚する」という確かな実績を社会に示し、その存在感を強めました。2022年に結婚した人の5組に1組がマッチングアプリをきっかけにしており、これはマッチングアプリが恋活・婚活市場において重要な役割を果たしていることを示しています。
政府による異次元の少子化対策とマッチングアプリ
2023年、政府は異次元の少子化対策を掲げ、その一環としてマッチングアプリへの注目が高まっています。政府の方針は、結婚後の支援だけでなく、未婚男女に対する「出会いの創出」にも焦点を当てています。この動きにより、内閣や地方自治体もマッチングアプリを活用した出会いの場の提供に力を入れています。
株式会社ネクストレベルの調査によると、マッチングアプリの認知度は2017年の50%から現在は約100%に上昇。特に26歳〜40歳の年齢層では、59%の人がマッチングアプリを「当たり前の出会いの手段」と認識しています。このように、マッチングアプリは少子化対策の一環として、政府との連携を強化し、新たな社会的役割を果たし始めているのです。
マッチングアプリの認知度と利用拡大
マッチングアプリの市場は、近年顕著な成長を遂げています。株式会社ネクストレベルの調査によれば、マッチングアプリの認知度は2017年の50%から現在では約100%に急上昇しています。この数字は、マッチングアプリが日常生活における一般的な出会いの手段として定着していることを示しています。
特に、26歳から40歳の年齢層では、59%の人々がマッチングアプリを「当たり前の出会いの手段」と認識しており、これはマッチングアプリが多様な年齢層に受け入れられていることを意味します。このような認知度の高まりは、マッチングアプリ業界にとって大きな成果であり、今後の市場拡大に向けた強固な基盤を築いています。
新規参入サービスの特徴：特化型サービスの台頭
マッチングアプリ市場における新規参入サービスは、特化型の傾向が強まっています。株式会社バチェラーデートの調査によると、新規参入サービスは、ユーザーのニーズに応じた多様な出会い方を提案しています。例えば、メタバース内でのアバターを使った出会い、ゲームを通じた出会い、動物占いでのマッチング、2対2での出会いなど、ユニークなコンセプトが目立ちます。これは、ユーザーが「出会い方にこだわりたい」「出会いの母数を広げたい」というニーズに対応するための動きです。
また、バチェラーデートの利用実態調査によると、ユーザーは平均で3〜3.5個のアプリを併用しており、王道のマッチングアプリと特化型サービスの両方を活用していることが明らかになっています。このような特化型サービスの台頭は、マッチングアプリ市場の多様化を促し、ユーザーに新たな出会いの選択肢を提供しています。
マッチングアプリのサービス生存率と業界の動向
マッチングアプリ業界は、サービスの生存率という点で特に注目されています。2023年上半期のデータによると、新規リリースされたマッチングアプリの中で、約60％が1年以内にサービスを継続しています。これは、マッチングアプリ市場が依然として競争が激しい業界であることを示しています。
また、中小企業庁の「小規模企業白書」によると、中小企業の1年企業生存率は約95.3％であることから、マッチングアプリ業界の厳しさがうかがえます。この状況は、新規参入者にとっては高い障壁となっており、市場に残るためには、ユーザーのニーズを正確に把握し、適切なサービスを提供することが求められています。
AIの活用と安心安全機能は業界横断の取り組み
マッチングアプリ業界におけるAIの活用と安心安全機能の強化は、業界全体の重要なトレンドとなっています。ほとんどのマッチングアプリ企業がAIを導入し、不審ユーザーの検知、本人確認、お相手のレコメンドなどに活用しています。特に、Chat GPTのような技術の登場により、プロフィール添削や会話サポートなど、AIの活用範囲はさらに広がっています。これにより、ユーザーはより効率的かつ安全に恋活・婚活を進めることが可能になります。
また、安心安全の取り組みとして、ユーザー間のメッセージの中で不審な行動を検知し報告できる機能や、過去に問題を起こしたユーザーに関する通知機能などが導入されています。これらの取り組みは、ユーザーの質の維持と安全な利用環境の確保を目的としており、マッチングアプリがさらに信頼されるサービスとなるための重要なステップです。
2023年下半期のトレンドキーワード予測
2023年下半期のマッチングアプリ市場におけるトレンドキーワードは、ユーザーの多様化とニーズの細分化に焦点を当てています。特に、ミドルエイジ層の利用者増加や、官民連携によるマッチングサービスの強化が注目されています。
また、タイパ恋活・婚活の台頭や、メタバース・ゲームを通じた新しい出会いの形、脱ルッキズムによる内面重視のマッチングなどがキーワードとして挙げられます。これらのトレンドは、マッチングアプリ市場がより広範なユーザー層に対応し、多様な出会いのニーズに応える方向へと進化していることを示しています。
ミドルエイジ層のマッチングアプリ利用増加
マッチングアプリの利用者層は、若年層だけでなく、ミドルエイジ層にも広がっています。omiaiと婚活メディアの共同調査によると、40代以上の世代でもマッチングアプリは「当たり前になっている出会いの手段」と認識されています。30代以上限定の「アンジュ」や、50代中心の「R50Time」など、ミドルエイジを対象としたサービスが登場しています。
これは、マッチングアプリが若者だけでなく、幅広い年齢層に受け入れられていることを示しており、今後も利用者層の拡大が期待されます。アンジュの事業責任者は、30代向けサービスにリニューアルしてから登録数が300%増加したとコメントしており、マッチングアプリ市場の多様化と成熟が進んでいることが伺えます。
官民連携（PPP）マッチングの強化
2023年に政府が掲げた異次元の少子化対策の一環として、官民連携（Public-Private Partnership、PPP）によるマッチングサービスの強化が進んでいます。これまでにも、民間のマッチングアプリ事業者と地方自治体が恋活・婚活イベントの連携やシステムの統合を行ってきましたが、政府の新たな方針により、この動きはさらに加速しています。
官民連携によるマッチングサービスは、民間のノウハウと公的機関の信頼性を組み合わせることで、より効果的な出会いの機会を提供しています。このような連携は、マッチングアプリが少子化対策の一端を担う期待が高まっていることを示しており、今後も追随する動きが見られると予測されます。
タイパ恋活・婚活の台頭
アフターコロナ時代において、仕事や趣味、恋愛においても効率と質を求めるニーズが高まっています。この流れの中で、タイパを重視した恋活・婚活が注目されています。ユーザー自身がマッチングアプリ疲れを感じる中、より効率的で自分に合ったスタイルでの出会いが求められています。
Teeeを運営する松林氏は、「平日の仕事終わりや休日の約束の前にサクッと・真剣に出会う、日常に溶け込んだ出会いの提供が重要」とコメントしています。このように、タイパ恋活・婚活は、忙しい現代人のライフスタイルに合わせた、新しい出会いの形としての地位を確立しつつあります。
メタバース・ゲーム恋活の可能性
デジタル技術の進化に伴い、メタバースやゲームを通じた恋活が新たなトレンドとして注目されています。特に、Z世代（15〜24歳）を中心に、メタバースやゲーム内での自然な出会いが求められています。SHIBUYA109Lab.の長田所長によると、恋愛は人生に不可欠だと考えるZ世代は少ないものの、恋愛に対する関心は高いとのことです。
このような背景から、メタバースやゲーム内での出会いは、従来の恋愛観とは異なる新しい形の恋活・婚活の場として期待されています。例えば、スマホゲーム形式の「恋庭」やバーチャル空間のシェアハウス「One Roof」など、長い時間をかけて自然に関係を築くことができるプラットフォームが登場しています。
脱ルッキズム：内面重視の出会いへ
最近のマッチングアプリ業界では、外見やデモグラフィックなどの条件よりも、内面を重視した「価値観マッチング」がトレンドとなっています。これは「脱ルッキズム」と呼ばれ、共通の趣味やコミュニティを利用した出会いや、各種診断を活用したマッチングが増えています。
例えば、アバターを使って実際の顔を知らない状態で出会う「Memoria」や、写真にスタンプで顔を隠す「konkon」など、外見ではなく内面を重視するアプローチが見られます。Memoriaを運営する佐藤氏は、「アバターで顔が見えないからこそ、相手にどう見られているかを気にせずリラックスして会話を楽しむことができる」と述べています。この動きは、恋活・婚活市場において、より深い人間関係を築くための新たな方法として注目されています。
マッチングアプリと少子化対策：新たな時代の幕開け
2023年のマッチングアプリ市場は、政府の少子化対策との連携強化、技術革新、そしてユーザーの多様化により、大きな変革期を迎えています。市場規模の拡大、新規参入サービスの特化型傾向、AIと安全機能の業界横断的な取り組みなど、マッチングアプリ業界は急速に進化しています。特に、政府との官民連携によるマッチングサービスの強化は、少子化対策の新たな可能性を示唆しています。
この動きは、マッチングアプリが単なる出会いの場から、社会的な課題解決の一翼を担う重要なプラットフォームへと変貌を遂げていることを示しています。ミドルエイジ層の参入増加、メタバースやゲームを通じた新しい出会いの形、内面を重視する脱ルッキズムの流れなど、ユーザーのニーズに応じた多様なサービスが登場しています。これらのトレンドは、今後のマッチングアプリ市場のさらなる成長と発展を予感させます。