日本IBM(日本アイ・ビー・エム)は、メタバース関連のサービス提供を手掛ける事業者に向けた「過剰な期待に沸くメタバース市場、その先にある真のポテンシャルとは?」というレポート(参照:https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/metaverse-japan-report)を公開した。
同レポートは、IBMのシンクタンクIBV(IBM Institute for Business Value)が行なった調査内容から国内のメタバース市場の概況や役割を分析し、まとめたものだ。主にB2B・およびB2B2C(B2B2C=Business to Business to Consumer)領域での事業者の取り組むべき方向性を示している。
また、国内の個人消費者を対象にウェブアンケート調査も実施し、B2C領域での個人のメタバースに対する受容性や潜在的ニーズについても言及している。
2023年は「エンタープライズ・メタバース元年」と予測
レポートでは、メタバースの構成要素として、VR(Virtual Reality:仮想現実)に加えAR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)も定義し、メタバースの役割について以下の3つの視点から考察している。
・「コミュニケーション」と「コミュニティー」の2つの観点でのメタバースの価値
・メタバース体験者の感想とB2B2Cエコシステム拡大の可能性
・未来への期待とB2Bメタバースの革新
これらを踏まえ、2023年はメタバースの提供を検討したり実施したりする企業や事業者が急速に増加し、「エンタープライズ・メタバース元年」になると日本IBMでは予測している。
メタバースサービス提供者への提言
さらに、メタバースに取り組むサービス提供者へ4つの課題を提言している。
・メタバースに限定されない包括的技術力とエコシステムの形成
B2B/B2B2C領域のメタバースは、企業の業務効率化やDX化の一環として推進することが前提となるとし、サービス提供者にとって必要なのはITとビジネスを融合した総合力を得ること、包括的な技術力や幅広いエコシステムを形成することである。
・「企業の課題解決ありき」の実績
顧客の求める本質的な課題解決には、サービス提供者側が「メタバースありき」の姿勢ではなく、課題解決を行うための手段の1つとしてメタバースを活用する必要があり、そのためのビジネスパートナーの選定が重要である。
・顧客のデジタル組織強化とマインドセット変革
アジャイル型経営(スピーディーで変革に対応した経営)を定着させることが重要であり、ビジネス環境の変化に柔軟な対応をすることや経営層の意識変革を意識することが不可欠となる。
・社会課題解決とサステナビリティー実現を前提とした メタバースの推進
中長期的な視点での課題解決や、サステナビリティーを重要視するビジネスパートナーと連携して進めることが必要である。
日本IBM株式会社 会社情報
- 所在地:〒103-8510 東京都中央区日本橋箱崎町19-21
- 代表者:代表取締役社長執行役員 山口 明夫
- 資本金:1,053億円
- 事業内容: 情報システムに関わる製品、サービスの提供
- URL: https://www.ibm.com/jp-ja/about?lnk=fab_jpja