働き方改革により、リモートワークが一般化されつつあるなかで、対面でのコミュニケーションに物足りなさや孤独感を抱くケースも増加しています。
ビデオ会議やチャットツールが普及したことで仕事を進めやすくなったものの、組織として仕事の進捗管理などには課題が残っています。
そこで注目を集めているのが、メタバースのビジネス活用です。VRヘッドセットを用いた没入感のある会議だけでなく、アバターで会議に参加し、複数人が同時接続してリアルに近いコミュニケーションを取ることもできます。
本記事では、メタバース会議のメリットデメリットや、おすすめのメタバース会議システムを7つ紹介します。メタバース会議に限らず、バーチャルオフィスとして活用できるおすすめサービスもまとめました。
自社にメタバース会議・オフィスの導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
メタバース会議とは
メタバース会議とは、仮想空間上で行われる会議の総称です。
VRヘッドセットを装着し、仮想空間のなかでアバターを操作しながら会議に参加するのが一般的です。しかし、VRヘッドセットが必須というわけではなく、PCやスマホからでも気軽に参加できます。
Metaやマイクロソフトが手がける「Horizon Workrooms」「Mesh for Microsoft Teams」などが、メタバース会議として最も認知されています。
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Meta(旧Facebook)が目指すメタバースの未来とは?【徹底解説】
マイクロソフトのメタバース戦略とは?開発が進むツールや参入理由を紹介
ビデオ・Web会議との違い
Zoomなどのビデオ・Web会議との違いは、大きく分けて以下の3点です。
- 実在感のあるコミュニケーションがとれる
- 話し相手のリアクションがわかりやすい
- 会話のテンポがスムーズ
メタバース会議の場合、アバターとしてメタバース空間にアクセスするため、「そこにいる」感覚がビデオ会議よりも強く打ち出されます。また、ビデオ会議の場合は一人が話すとその他の参加者は聞き手にならざるを得ず、対話が一方通行になりがちです。
この点、メタバース会議なら複数での会話も可能で、聞き手のリアクションもはっきりと見て取れます。
ビデオ会議に比べて意思疎通がスムーズ・シームレスになるため、会話のテンポも改善されるという違いもあります。
メタバース会議のメリット3選
ビデオ・Web会議ではなく、メタバース空間で会議を行うメリットは、大きく分けて以下の3点です。
- 会議に臨場感が出る
- コミュニケーションを円滑にとれる
- 会議の生産性が向上する
会議に臨場感が出る
VRヘッドセットを使ったメタバース会議の場合、臨場感やその場にいる感覚を得られます。
VRヘッドセットを使うと、話し手の声は会議参加者の位置に合わせて自動で調整されるため、オフライン会議とほぼ同じ感覚で対話が可能です。
また、会議の参加者全体で議論をするだけでなく、同じ空間でグループに分かれて対話できるため、Web会議では実現が難しい会議形式にも対応できます。
もちろんヘッドセットを装着することで、上下左右を見渡せばその方向を見れるようになり、没入感があるのは言うまでもないでしょう。
コミュニケーションを円滑にとれる
メタバース会議なら、通常のビデオ会議に比べてコミュニケーションを円滑にとれます。
ビデオ会議の場合、状況によってはビデオをオフにして参加するケースもあり、コミュニケーションが一方通行になるケースが往々にしてあります。
しかし、メタバース会議ならアバターで参加でき、細かい表情やボディーランゲージが再現可能になりました。その結果、言葉のニュアンスや心境を読み取りやすくなり、コミュニケーションが円滑にとりやすくなるのです。
メタバース会議に限らず、メタバースオフィスの導入は、リモートワークの孤独感や仕事中のちょっとした雑談も可能にするため、導入する企業が増えています。
会議の生産性が向上する
メタバース会議なら、会議の生産性を向上させられます。
通常のビデオ会議の場合、ホワイトボードに書き込んだりブレインストーミングなどでアイデア出しをしたりすることはできませんでした。
Web会議は取り扱う内容や種類には一定程度の限界があったものの、メタバース会議なら、ホワイトボードを共有しながら会議を進めることもできます。
対面のオフライン会議に近い形で会議を進められ、バーチャル上でも生産性の高い会議を進行できるのはメタバース会議ならではのメリットです。
メタバース会議のデメリット3選
メタバース会議には、当然デメリットも存在します。とくに以下の3点は、メタバース会議導入のハードルになるでしょう。
- 専用機器の導入にコストがかかる
- 長時間の作業・装着は不向き
- 設定や操作に時間がかかることも
専用機器の導入にコストがかかる
メタバース会議の導入には、VRヘッドセットが欠かせません。
メタバース会議用のプラットフォームは無料で利用できるものの、没入型の会議をするには専用機器の導入コストがかかります。そのほかにも、起動させるパソコンのスペックが足りない場合、パソコンを買い替える必要があるでしょう。
Zoomなどのビデオ会議システムなら導入コストは月額利用料で済むため、導入による費用対効果は慎重に検討する必要があります。
長時間の作業・装着は不向き
VRヘッドセットを長時間装着して作業すると、普段以上の目の疲れや装着による痛みを感じたり、酔ったりすることもあります。
1時間程度で終了する会議なら実現可能性は比較的高いものの、VRヘッドセットを長時間装着して仕事をするといった使い方は、ややハードルが高いと言わざるを得ません。
機器の軽さや装着性能などに関しては今後解消されていくことが期待されますが、現時点では限定的な利用を前提に、適切な配慮が必要になるでしょう。
設定や操作に時間がかかることも
メタバース会議においては、会議を始めるまでの設定や操作に時間がかかることもあります。
そもそもVRヘッドセットを日常的に使っているわけではなく、IT機器に苦手意識のある人の場合はより一層抵抗感を抱く可能性も否めません。
メタバース会議を導入する際は、機器のレンタルや少人数のデモ操作を繰り返し、全社的な取り組みが可能か慎重に検討しましょう。
総じて導入に対するハードルの高さがあると言わざるを得ないのが、メタバース会議のデメリット・注意点です。
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Meta(旧Facebook)が手がけるメタバース会議システムの特徴
Meta(旧Facebook)は、「Horizon Workrooms」という、アバターとしてVR空間で会議に参加できるバーチャル会議室サービスを開発。VRヘッドセット「Meta Quest」を使うと、没入感のあるメタバース会議を行えます。
2023年2月時点でHorizon Workroomsは無料で利用でき、物理的なデスクや互換性のあるキーボードをバーチャルルームに持ち込むことも可能。VR空間からワンクリックでパソコン全体にアクセスでき、パソコン画面の共有もできます。
VRヘッドセットがなくても、パソコンのビデオ通話からアクセス可能で、その場合はビデオスクリーンに上映される形で会議に参加。VRでは最大16人が同時接続可能で、ビデオ参加含めて最大50人まで対応しています。
なお、Metaの手がけるメタバースビジネスは、「Meta(旧Facebook)が目指すメタバースの未来とは?【徹底解説】」で詳しく解説しています。
マイクロソフトが手がけるメタバース会議システムの特徴
マイクロソフトは、「Mesh for Microsoft Teams」という、コミュニケーションツール「Teams」をメタバースに拡張したサービスを開発。
発表は2021年11月で、Horizon Workroomsを追いかける形で開発を進めています。2022年3月にはMeta社との連携も果たし、機能の拡充や相互運用性を高めてネットワーク効果を期待する動きもみられます。
ヘッドセットは必須ではなく、パソコンやスマホからでもアクセス可能で、アバターは用途に応じて使い分け可能。Officeアプリケーションをビデオ会議しながら共有でき、オンライン上で文書を共同執筆することもできます。
ほかにも、「ドロップインスペース」と呼ばれる雑談スペースが用意され、廊下などでのちょっとした雑談を再現。
マイクロソフトの手がけるメタバースビジネスは、「マイクロソフトのメタバース戦略とは?開発が進むツールや参入理由を紹介」で詳しく解説しています。
メタバース・バーチャルオフィスを導入できるおすすめアプリ5選
メタバース会議を行えるサービスは、上記の巨大テック企業以外でも開発が進められています。なかでも、以下の5サービス・アプリは、バーチャルオフィスの導入も可能です。
- oVice
- MetaLife
- RISA
- Fabeee Metaverse Package
- CYZY SPACE
oVice(オヴィス)
「oVice」は、オフィスやイベントだけでなく、コミュニティ利用などにも対応可能なバーチャルオフィス提供サービスです。
oViceの利用者は1日約70,000人にのぼり、利用企業は2,300社以上。バーチャルな環境ながら、互いの出社状況はもちろん、会議中や作業中の業務状態も可視化でき、リアルタイムの音声会話で情報共有などがスムーズに行えます。
物理的な場所に制約がなくなるため、本社・支社、国内海外を問わず、多彩な人材をチームにジョインさせることも可能です。
「隣で話しているようなバーチャル空間」が特徴で、テレワークでも実際にオフィスにいるような感覚を味わえます。
14日間の無料トライアルもあり、推奨人数10名以下の「Basic」なら月額5,500円から導入できます。
MetaLife
「MetaLife」は、オフィスやイベントスペース、教室として利用できるコミュニケーションツール。
チームの全員がアバターとなって、ひとつのスペースに参加します。誰かに話しかけたいときは、アバターを近づけるだけでOK。「あの…ちょっといいですか?」をオンラインでも実現しています。
ホワイトボードを使った会議はもちろん可能で、昔ながらのアドベンチャーゲーム風のビジュアルがかえって新鮮です。
25名までの利用なら費用はかからないため、没入感のある会議体験というより、手軽にバーチャルオフィスを体験したいという方はMetaLifeを試してみましょう。
なお、最大同時接続数が50名までのビジネスプランは、月額22,000円で利用可能です。
RISA
「RISA」は、リモートワークシーンにおける「いつでも会話できるオフィスコミュニケーション体験」を提供するサービス。
作業中や電話中といった社員の状況をアバターで把握でき、複数のフロアを作成して、数千人で利用することも可能です。
フロアの作成から1週間は無料でトライアルでき、同時接続数5名までのスモールプランなら月額4,000円で利用可能です。RISAの場合はユーザー数自体に制限がないため、人の出入りが多い企業などは利用しやすい料金体系と言えるでしょう。
Fabeee Metaverse Package(ファビー メタバース パッケージ)
「Fabeee Metaverse Package)」は、DX支援などを手がける「Fabeee株式会社」が手がける独自メタバースプラットフォーム構築サービスです。
PC・スマートフォン・VRヘッドセットのすべてに対応し、最大20名までの同時接続が可能。社内イベントに限らず、外部のユーザーを招待してイベントを開催することもできます。
音声チャットはもちろん、メタバース内に設置されたホワイトボードやディスプレイに資料を投影でき、会議室としての利用はもちろん可能です。
メタバースプラットフォームの構築サービスであるため、今までのバーチャルオフィス空間の提供とは仕様が異なります。
バーチャルオフィスにとどまらず、メタバース展示会などへの利用も視野に入れている場合は、Fabeee Metaverse Packageの利用を検討しましょう。
CYZY SPACE(サイジースペース)
「CYZY SPACE」は、ソーシャルVRとAIチャットボット事業を展開する「株式会社METABIRDS」が提供するVR展示場の作成サービス。
スマホやWebブラウザからでも利用可能で、バーチャル展示会以外にも、学会やワークプレイスとしても活用でき、利用用途は多岐に渡ります。
基本プランの場合、ひとつのルームあたりアバターは25名まで接続可能で、閲覧のみであれば100名まで対応可能です。ルームの作成数は任意の数に対応しているため、用途に応じて作成することもできます。
1ヶ月の無料トライアルつきで、月額11,000円から利用可能。同社の培った独自の仮想空間提供サービスで、利便性の高いバーチャルオフィスを構築できるでしょう。
メタバース会議の導入でさらなる働き方改革と生産性向上を
メタバース空間での会議は、従来型のビデオ会議に比べて一定の導入ハードルがあります。しかし、話者の細かい身振り手振りや表情が伝わりやすく、臨場感のある会議でコミュニケーションを円滑にとりやすいというメリットがあります。
資料の共有もスムーズで、1対多のコミュニケーションではなく、会議内でグループに分かれて対話ができるのも、メタバース空間ならではといえるでしょう。
メタバース会議に特化したサービスはMetaやマイクロソフトが有名ですが、バーチャルオフィスの提供はさまざまな企業がしのぎを削っています。
メタバース会議やバーチャルオフィスの導入を検討している方は、本記事を参考に無料トライアルから始めてみてはいかがでしょうか。
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