東京大学大学院工学系研究科とソニーグループ、リクルートなどの参画企業各社は、2023年3月1日メタバース工学部の活動の一環として、DE&I社会の実現にむけた産学連携による人材育成のため、行動宣言をした。
行動宣言は、 Diversity(ダイバーシティ)の学びとEquity(エクイティ)の学び、Inclusion(インクルージョン)の学びの3つの項目から成る。各項目の内容は以下の通りだ。
【Diversity(ダイバーシティ)の学び】
我々は、年齢、ジェンダー、社会的立場、居住地などに関わらず、意欲あるすべての人が学べるように行動します。持続的な成長を果たすには、多様な価値観や能力を持つ人材を活かすことが欠かせませんが、日本は管理職に占める女性比率が諸外国に比べて低いなどの大きなジェンダーギャップをはじめ、様々な画一性が存在します。我々は、いまよりもずっと多様な人材が活躍できるように社会を変える必要があるという認識のもと、大学と企業が力を合わせて多様な人材が学びやすい環境を整えることを宣言します。
引用元:東京大学工学部/工学系研究科 プレスリリース
【Equity(エクイティ)の学び】
我々は、公正(Equity)な学びを広く社会のために提供すべく行動します。これまで大学は所属する学生に、企業は所属する社員に向け、学びを提供してきました。世界が小さい時代、それは機能しましたが、もはや世界は複雑につながっており、自己組織だけではなく社会全体を強化する必要があります。我々は、あらゆる人々が公正かつ自由に学びの機会を享受できる社会が重要であるという認識のもと、大学と企業のそれぞれが持つ教育リソースを最大限に活用し、それらを融合し、新しい学びの場を広く社会に提供することを宣言します。
引用元:東京大学工学部/工学系研究科 プレスリリース
【Inclusion(インクルージョン)の学び】
我々は、包摂性のある学びを実現すべく行動します。これまで我々は、大学では学術を修め、企業ではビジネスを身につけるというようにそれぞれの役割を限定して捉えてきました。社会的な価値の見直しが急速に進む現代におけるこれからの学びには、固定化された役割分担に捕らわれない柔軟性と包摂性が求められていると考えます。我々は、大学や企業という立場を超えて、人材の流動性を高め、お互いに教えあい学びあう包摂性のある学びを作り出すことを宣言します。
引用元:東京大学工学部/工学系研究科 プレスリリース
メタバース工学部の活動内容
メタバース工学部は、東京大学大学院工学系研究科によって2022年秋に設立された。目的は「すべての人が最新の情報や工学の実践的なスキルを獲得して未来社会を構想できる人材の育成への貢献」。これまで、デジタル技術を駆使した教育コンテンツである「ジュニア講座」や「リスキリング講座」を開講した。また、工学キャリアに関する「総合情報サイト」の構築も進めている。
中高生をメインターゲットとした工学教育プログラム「ジュニア講座」では、13の講座を開講。中高生の受講が約6割、残りの約4割は大学生・大学院生、保護者、教諭、一般の社会人などの約3000人が受講したという。このことから、多様な立場の多くの人々に新しいことを学ぼうという意欲があることが伺える。
学びなおしによるDX人材の育成が目的の「リスキリング講座」では4講座を開講した。法人会員16社から参加の約700人と、1講座あたり50数人から1,500人超までの社会人、学生が受講。好評だったことから、4月以降も開講予定だ。
メタバース工学部は、こうした活動をしていく中で確かな手ごたえを感じ、さまざまなフィードバックをもとに、DE&I社会の実現に向けて流れを加速していきたいとしている。今後さらに東大と参画企業が力を合わせ、人材育成に取り組んでいく。
組織情報
東京大学大学院工学系研究科
工学部長・工学系研究科長:染谷隆夫氏
参画企業(法人会員種別・50音順)
鹿島建設株式会社/ソニーグループ株式会社/DMG森精機株式会社/株式会社丸井グループ/三菱電機株式会社/株式会社リクルート
株式会社荏原製作所/株式会社経営共創基盤/日本電気株式会社/野村證券株式会社
株式会社関水金属/一般社団法人チームスキル研究所/株式会社トイ/株式会社トポロジ