米誌ウォールストリート・ジャーナルは、米ウォルト・ディズニー・カンパニーがメタバース部門を解散し従業員を50名解雇したと報じた。

参考:Disney Eliminates Its Metaverse Division as Part of Company’s Layoffs Plan

大規模リストラの一環でメタバース部門を解散

同社は、合計50名のチームを組織し、消費者向けのメタバース体験と次世代のストーリーテリングにフォーカスを当てていた。ディズニーのメタバース部門は、ディズニーの膨大な知的財産を新しい技術で、ユーザーとコンテンツを共有する方法を模索していた。

今回のメタバース部門解散はディズニー社は採用している大規模なリストラ策の一環。同社は、今後2か月間で従業員数を約7,000人削減する計画を発表している。メタバース部門は、元ディズニー消費者製品部門のエグゼクティブであるマイク・ホワイト氏が率いていた。

報道によれば、50名の従業員が解雇されたことが明らかになったが、ホワイト氏は現在の役割が不明ながらも留任している模様。今回の解雇により、ディズニーのメタバース戦略は不透明さが更に増している。

ディズニーのメタバース計画中座は、テクノロジー業界において企業が戦略の再評価を行う一例に過ぎない。メタバースはまだ発展途上の技術であり、その潜在能力を十分に活用するには時間がかかる可能性が示唆されている。

現時点では、ディズニーはメタバース領域以外に人工知能や他の技術開発にフォーカスを当てていると言われているが、今後、ディズニーはメタバースの計画を再構築する可能性がある。

ディズニーのメタバース部門解雇から見えること

ディズニーのメタバース計画の棚上げは、エンターテインメント業界における興味深い示唆を示している。メタバースが今後のデジタルエンターテインメントの未来を形作るという期待がある一方で、ディズニーのような大手企業が一時的にその開発を停止することで、メタバースの普及と成熟にはまだ課題があることが透けて見える。

ディズニーは、エンターテイメント分野で世界的に有名な企業であり、その膨大な知的財産を活用して、メタバースにおいて革新的な顧客体験を提供するとの期待がある。

しかし、米国を中心にレイオフの流れが強まる中、また現在の生成系AIを中心とするAI技術の急速な進歩を踏まえ、ディズニーはそのリソースを他の革新的なプロジェクトに注力することを選択したのかも知れない。

この事例から、エンターテインメント業界においては、企業がどの技術に投資すべきかという戦略的決断が非常に重要であることが示唆される。ディズニーがメタバース戦略の実行を一時停止したことで、他の企業も自社の技術戦略を見直すきっかけとなる可能性がある。

メタバースは依然として将来性のある体験および技術であり、そのポテンシャルを最大限に活用するために、企業は柔軟な戦略を継続的に検討することが求められている。

ディズニーのメタバース計画の中座は、革新的な技術とエンターテインメントの融合における、未だ解決されていないパズルの一部を浮き彫りにしていると言えるだろう。

Reinforz Insight
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