編集部
デジタルトランスフォーメーション（DX）の波は、あらゆる業界に変革をもたらしています。特にITベンダーは、従来の物販中心のビジネスモデルからサービス提供へと大きく舵を切る必要に迫られています。この変革の最前線にいるのが、複写機や事務機器で知られるリコーです。
かつてのオフィスオートメーション（OA）から、今やデジタルサービスへとそのビジネスを大胆にシフトしています。リコーが目指すのは、デジタルサービス売上比率を2025年度に60％超に引き上げること。この記事では、リコーがどのようにしてビジネスモデルを転換し、新たな価値を創造しているのかを探ります。
リコーのDX戦略の概要
デジタルトランスフォーメーション（DX）の波は、企業のビジネスモデルを根本から変える力を持っています。リコーはこの変革を受け入れ、従来のオフィスオートメーション（OA）機器メーカーからデジタルサービス提供企業への転換を図っています。この戦略の核心は、デジタル技術を駆使して顧客のビジネスプロセスを最適化し、新たな価値を提供することにあります。
リコーは、デジタルサービス売上比率を2025年度には60％超に引き上げるという野心的な目標を掲げています。この目標達成のために、リコーはオフィスサービス事業の収益成長とオフィスプリンティング事業の体質強化に力を入れています。デジタルサービスの拡大により、リコーは顧客に対してより付加価値の高いソリューションを提供し、持続可能な成長を目指しています。
OAからDXへの転換の背景
リコーのビジネスモデル転換の背景には、デジタル化が進む社会の変化と顧客ニーズの進化があります。従来のオフィス環境では、紙ベースの文書管理やアナログなコミュニケーション手段が主流でしたが、デジタル技術の発展により、これらのプロセスは効率化され、よりスマートなワークスタイルが求められるようになりました。
リコーはこの変化を捉え、顧客が直面する新たな課題に対応するため、デジタルサービスへのシフトを加速させています。DXへの転換は、単に新しい技術を導入すること以上の意味を持ちます。
それは、顧客との関係を深め、ビジネスプロセスを根本から見直し、改善することにより、顧客のビジネス成果の向上に貢献することを目指しています。リコーは、この転換を通じて、顧客に新たな価値を提供し、企業としての持続可能な成長を実現する道を探求しています。
デジタルサービス売上比率の目標
リコーは、デジタルサービスの売上比率を2025年度に60％超へと引き上げることを目標に掲げています。この野心的な目標は、リコーがデジタルトランスフォーメーションを通じて、従来のオフィスオートメーション機器メーカーからデジタルサービス提供企業へとビジネスモデルを転換する過程の中心に位置しています。
2022年度で44％だったデジタルサービスの売上比率を、わずか3年間で16％以上も引き上げる計画は、リコーがデジタルサービスに対する強いコミットメントを持っていることを示しています。この目標達成に向けて、リコーはオフィスサービス事業の収益成長とオフィスプリンティング事業の持続的な体質強化に力を入れ、デジタルサービスの拡大を図っています。
この戦略的なシフトは、顧客の変化するニーズに応え、新たな価値を提供することで、リコーの持続可能な成長を支える基盤となります。
オフィスサービス事業の収益成長戦略
リコーがデジタルサービス売上比率の目標達成に向けて特に力を入れているのが、オフィスサービス事業の収益成長です。この事業領域では、グローバルな顧客基盤へのオフィスサービスの導入拡大とストック収益の積み上げを進めることが計画されています。
さらに、収益性の改善を目指し、買収を通じた自社製品の強化や、新たなサービス開発への投資も積極的に行われています。この戦略により、リコーはオフィス環境におけるデジタル化の推進と、顧客のビジネスプロセスの効率化をサポートします。
また、オフィスサービス事業の収益成長は、リコーのデジタルサービス全体の売上拡大にも寄与し、企業としてのデジタルトランスフォーメーションを加速させる重要な要素となっています。
オフィスプリンティング事業の体質強化
リコーは、オフィスプリンティング事業においても、持続可能な体質強化を目指しています。この事業領域は、成熟フェーズに移行している中で、販売モデルの見直しや価格の適性化を進めることで、市場の変化に柔軟に対応しています。
また、他社との協業や生産効率のさらなる向上を通じて、コスト競争力を高める取り組みも積極的に行われています。これらの施策は、オフィスプリンティング事業を通じて創出されるキャッシュフローを持続的に確保し、デジタルサービス事業への再投資の原資とすることを目的としています。
リコーは、この事業の体質強化を図ることで、全体のビジネスモデル転換を支え、デジタルトランスフォーメーションを成功に導く基盤を強化しています。
ワークプレイスサービスプロバイダーとしての目指す姿
リコーは、ワークプレイスサービスプロバイダーとしての新たな姿を目指しています。このビジョンのもと、ITサービス、ビジネスプロセスオートメーション（BPA）、コミュニケーションサービス（CS）を主要な注力領域と定め、これらのサービスを通じて顧客のビジネスプロセスの最適化と効率化を支援しています。
リコーが強みとするグローバルでの顧客基盤、地域密着の販売・サポート網、そして付加価値の高い製品・サービスによる知的財産（IP）を活用し、顧客に寄り添ったソリューションを提供します。この取り組みにより、リコーは顧客の「はたらく」に新たな価値をもたらし、変化するビジネス環境の中で企業としての競争力を高めています。
リコーのこの目指す姿は、デジタルトランスフォーメーションを通じて、より良いワークプレイスの実現に貢献することを目標としています。
ITサービス、BPA、CSの注力領域
リコーがデジタルトランスフォーメーションを推進する中で、特に注力しているのがITサービス、ビジネスプロセスオートメーション（BPA）、そしてコミュニケーションサービス（CS）の3つの領域です。これらのサービスは、顧客のビジネスプロセスをデジタル化し、効率化することを目的としています。
ITサービスでは、クラウドやセキュリティ、ネットワークインフラの構築といった技術的な支援を提供し、企業のIT環境を最適化します。BPAでは、業務プロセスの自動化を通じて作業の効率化を図り、人的リソースをより価値の高い活動に振り向けることができます。
CSでは、コミュニケーションツールの提供を通じて、企業内外のコラボレーションを促進し、ビジネスの迅速な意思決定を支援します。リコーはこれらのサービスを融合させることで、顧客企業のデジタル変革を全面的にサポートし、新たなビジネス価値の創出を目指しています。
グローバル顧客基盤と地域密着の販売・サポート網
リコーがデジタルトランスフォーメーションの推進において大きな強みとしているのが、グローバルに広がる顧客基盤と、地域に密着した販売・サポート網です。世界140万社に及ぶ顧客基盤は、多様な業界と規模の企業に対する深い理解と豊富な経験をリコーにもたらしています。
この広範な顧客基盤を支えるのが、地域ごとに展開された販売・サポート網です。各地域の特性を熟知した専門スタッフが、顧客一人ひとりのニーズに合わせたきめ細やかなサービスを提供することで、顧客満足度の向上を図っています。
このグローバルかつ地域密着型のネットワークは、リコーがデジタルサービスを提供する上での大きな競争力となっており、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを地域の文化やビジネス環境に合わせて柔軟に支援する基盤となっています。
提供価値「“はたらく”に歓びを」
リコーがデジタルトランスフォーメーションを進める中で、特に強調しているのが「“はたらく”に歓びを」提供するという価値観です。このスローガンは、ただ単に効率的なワークプレイスを提供することを超え、働く人々がその仕事に喜びを感じられるような環境を実現することを目指しています。
リコーは、デジタルサービスを通じて、働く人々のクリエイティビティを解放し、コミュニケーションを活性化させることで、より生産的で満足度の高いワークプレイスを創出しようとしています。この取り組みは、リコーがデジタルサービスにおいて重視しているBPA（ビジネスプロセスオートメーション）やCS（コミュニケーションサービス）の領域において、具体的なサービス展開として現れています。
リコーのこのアプローチは、単に業務のデジタル化を推進するだけでなく、働く人々の心に響く、より深い価値を提供することを目指しています。
リコースマートインテグレーション（RSI）の役割
リコースマートインテグレーション（RSI）は、リコーが提供するデジタルサービスの中核をなすプラットフォームです。このプラットフォームは、顧客が直面する様々なビジネス課題に対して、柔軟かつ効率的なソリューションを提供することを可能にします。
RSIを通じて、リコーはビジネスプロセスオートメーション（BPA）やコミュニケーションサービス（CS）の領域でのサービス提供を強化し、顧客の「はたらく」を支援しています。このプラットフォームは、リコーのデジタルサービス戦略の中心に位置づけられ、顧客に対して高い付加価値を提供するための重要なツールとなっています。
RSIを活用することで、リコーは顧客のビジネスプロセスを最適化し、生産性の向上やコミュニケーションの効率化を実現しています。リコーのこの取り組みは、デジタルトランスフォーメーションを通じて新たなビジネスモデルへの転換を目指す企業の姿勢を象徴しています。
BPAとCS領域への経営資源の集中
リコーは、ビジネスプロセスオートメーション（BPA）とコミュニケーションサービス（CS）の領域に経営資源を集中しています。これらの分野は、デジタルトランスフォーメーションを推進する上で中心的な役割を果たし、顧客のビジネスプロセスの効率化と最適化を実現します。
BPAは、煩雑な業務プロセスを自動化し、業務の効率を大幅に向上させることが可能です。一方、CSは、コミュニケーションの質を高め、チームワークの向上を支援します。リコーはこれらの領域において、リコースマートインテグレーション（RSI）をはじめとする先進的なデジタルツールを活用し、顧客に対して高い付加価値を提供しています。
このような取り組みにより、リコーは顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートし、新たなビジネス価値の創出に貢献しています。
まとめ – リコーのデジタルトランスフォーメーションへの挑戦
リコーのデジタルトランスフォーメーションは、従来のオフィスオートメーション機器メーカーからデジタルサービス提供企業への大胆な転換を示しています。デジタルサービス売上比率を2025年度に60％超へ引き上げるという野心的な目標のもと、オフィスサービス事業の収益成長やオフィスプリンティング事業の体質強化を進め、BPAとCS領域への経営資源の集中を図っています。
これらの戦略的な取り組みは、リコーが顧客の「はたらく」に歓びを提供し、持続可能な成長を目指す姿勢を明確にしています。リコーのデジタルトランスフォーメーションへの挑戦は、変化するビジネス環境において、常に顧客のニーズに応え、新たな価値を創造し続ける企業の姿勢を示しています。