京セラ株式会社は、2024年2月15日に業界最高クラスの吐出性能を実現し、多様なインクに対応可能な循環型インクジェットプリントヘッド「KJ4B-EX1200-RC」を開発し、4月より販売を開始することを発表しました。この新製品は、商業印刷やパッケージ印刷など幅広い印刷用途に対応し、高速かつ高画質な印刷を可能にします。

また、環境負荷の低減にも貢献することから、持続可能な社会の実現に向けた京セラの取り組みを象徴する製品と言えるでしょう。本記事では、この革新的な「KJ4B-EX1200-RC」の特長や開発背景、そして京セラが描く未来の印刷技術について詳しく紹介します。

はじめに:京セラが切り開く新時代の印刷技術

2024年2月15日、京セラ株式会社は、商業印刷やパッケージ印刷など幅広い印刷用途に対応するインクジェットプリントヘッドの新製品「KJ4B-EX1200-RC」を発表しました。この製品は、業界最高クラスの吐出性能を実現し、多様なインクに対応可能な循環型ヘッドとして注目を集めています。

デジタル印刷の需要が高まる中、京セラはこの新技術により、印刷の高速化、高画質化、そして環境負荷の低減を目指しています。従来の印刷技術では対応が難しかった速乾性インクや多様なメディアへの適応も可能にし、印刷業界に新たな可能性をもたらすことが期待されています。

この新製品の開発により、京セラは印刷技術の未来を切り開き、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

「KJ4B-EX1200-RC」の概要と主な特徴

「KJ4B-EX1200-RC」は、200.0mm×58.5mm×79.3mm(幅×奥行×高さ)のサイズに、101.6m/分の印刷速度と1200dpiの高解像度を実現したインクジェットプリントヘッドです。最大駆動周波数は80kHz、最大液滴量は4.0pL、最小液滴量は2.0pLと、高速かつ高精細な印刷が可能です。

特に注目すべきは、ノズル近傍循環機構を採用している点です。この機構により、速乾性インクなど多様なインクに対応し、幅広い用途での使用が可能になります。また、水冷仕様が標準となっており、連続印刷と印刷特性の安定性を確保しています。

このように「KJ4B-EX1200-RC」は、高い生産性と汎用性を兼ね備え、商業印刷やパッケージ印刷市場での液滴量最適化による幅広いメディア対応を可能とすることで、印刷業界の新たなスタンダードを築くことが期待されています。

高速・高画質を実現する技術の秘密

京セラの「KJ4B-EX1200-RC」インクジェットプリントヘッドは、その高速・高画質印刷を実現するために、独自の技術が数多く採用されています。特に、高い駆動周波数と最大液滴量の増加により、生産性の大幅な向上を実現しています。

このプリントヘッドは、80kHzの駆動周波数で動作し、従来品と比較して約43%増の4.0pLまで液滴量を向上させることができました。これにより、より速く、より高い解像度での印刷が可能になり、商業印刷やパッケージ印刷市場での要求に応えることができます。

また、インク流路設計の最適化とヘッド構造の見直しにより、吐出安定性が高められています。これらの技術革新により、「KJ4B-EX1200-RC」は、高速でありながら高画質な印刷を実現し、幅広いメディアに対応することが可能になりました。このような技術の進化は、印刷業界における生産性の向上だけでなく、新たな印刷の可能性をも広げています。

多様なインクに対応可能な循環型ヘッドのメリット

「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドの最大の特長の一つは、多様なインクに対応可能な循環型ヘッドを採用している点です。この循環型ヘッドは、ノズル近傍でインクを循環させることにより、ノズルの乾燥を防ぎ、インク成分の沈降を抑制します。

これにより、速乾性インクを含む多様なインクでの安定した印刷を可能にし、幅広い用途での使用が実現できます。さらに、この循環機構により、再稼働時のヘッドクリーニングなどのメンテナンス作業を削減でき、運用コストの低減にも寄与します。

また、水冷仕様が標準であり、連続印刷時の安定性を高めることができます。このように、循環型ヘッドを採用することで、高い生産性と安定した印刷品質を維持しつつ、さまざまな印刷ニーズに応えることが可能になります。これは、印刷業界において多様化する印刷物への対応力を高め、新たな市場の開拓にも繋がる重要な技術革新です。

環境への配慮:循環型プリントヘッドの持続可能性

京セラの「KJ4B-EX1200-RC」は、環境への配慮と持続可能性を重視した製品設計が特徴です。この循環型プリントヘッドは、インクの使用効率を最大化し、廃棄物を最小限に抑えることで、環境負荷の低減に貢献します。インクの循環システムにより、ノズルの詰まりや乾燥を防ぎ、インクの無駄遣いを減らすことができます。

また、高速で効率的な印刷が可能になることで、エネルギー消費の削減にも繋がります。さらに、多様なインクに対応できるため、環境に優しい水性インクなどの使用も可能になり、印刷業界のグリーン化を推進します。

京セラは、このような環境配慮型の技術開発により、持続可能な社会の実現に向けた企業の責任を果たしています。この循環型プリントヘッドの採用は、印刷業界における環境負荷の低減だけでなく、企業の社会的責任(CSR)活動の一環としても高く評価されています。

商業印刷からパッケージ印刷まで、幅広い用途への適応

「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドは、その高い汎用性により、商業印刷からパッケージ印刷、さらには衣服や食品包装、住宅建材など、さまざまな印刷用途に対応可能です。このプリントヘッドの開発により、従来の印刷技術では難しかった高速印刷と高画質印刷を同時に実現し、より広範なメディアへの適用が可能になりました。

特に、速乾性インクや多様なインクへの対応能力は、パッケージ印刷市場において大きなメリットをもたらします。パッケージの多様化、短納期化のニーズに応えることができるだけでなく、環境に配慮した素材への印刷も可能になります。

このように「KJ4B-EX1200-RC」は、印刷業界における新たなニーズに応えるためのキーテクノロジーとして、幅広い分野での利用が期待されています。京セラは、このプリントヘッドを通じて、印刷の可能性を広げ、さまざまな業界の発展に貢献していくことを目指しています。

高耐久性による長期間の連続印刷をサポート

京セラの「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドは、その高耐久性により長期間の連続印刷を可能にします。このプリントヘッドは、高速印刷時でも安定した性能を維持し、長時間にわたる運用でも品質の低下を最小限に抑える設計が施されています。

特に、循環型インクシステムは、ノズルの詰まりや乾燥を防ぎ、プリントヘッドの寿命を延ばす効果があります。また、水冷システムによる温度管理は、連続使用時のプリントヘッドの過熱を防ぎ、安定した印刷品質を維持します。これらの技術により、「KJ4B-EX1200-RC」は、印刷業界で求められる高い生産性と信頼性を実現しています。

印刷現場では、ダウンタイムの削減と効率的な運用が常に求められるため、このような高耐久性を持つプリントヘッドの導入は、生産性の向上に直結します。京セラは、このプリントヘッドを通じて、印刷業界のニーズに応えるとともに、オペレーターの負担軽減と省人化を促進することで、業界の発展に貢献しています。

開発背景:デジタル印刷市場のニーズと課題

「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドの開発背景には、デジタル印刷市場の拡大と、それに伴う新たなニーズと課題があります。デジタル印刷は、その柔軟性と効率性から、近年、商業印刷やパッケージ印刷をはじめとする多様な分野での利用が急速に拡大しています。

この市場の成長には、即時性や少量多品種の印刷ニーズの増加が大きく寄与しています。しかし、これらのニーズに応えるためには、高速かつ高品質な印刷が可能で、かつ多様なインクやメディアに対応できるプリントヘッド技術が求められます。

また、環境への配慮という観点から、インクやエネルギーの使用効率の向上、廃棄物の削減など、持続可能な印刷技術の開発も重要な課題となっています。京セラはこれらの市場ニーズと課題に対応するため、「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドの開発に至りました。

このプリントヘッドは、高速・高画質印刷という基本性能はもちろん、多様なインクへの対応能力や環境負荷の低減といった現代の印刷業界が直面する課題に対する解決策を提供します。

「drupa 2024」での展示予定と見どころ

京セラは、2024年5月28日から6月7日にドイツで開催される国際印刷・メディア産業展「drupa 2024」に出展し、「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドを展示する予定です。この展示会は、世界中から最新の印刷技術やメディア関連のイノベーションが集まる場であり、京セラの最新技術が国際舞台で披露される絶好の機会となります。

「KJ4B-EX1200-RC」の展示は、特に商業印刷やパッケージ印刷をはじめとする幅広い分野で活用できる高性能な循環型プリントヘッドとして、その性能や応用例を紹介することで、来場者に直接その魅力を伝えることができます。

また、このイベントは、業界関係者が最新トレンドを共有し、未来の印刷技術の方向性を探る場としても重要です。京セラの出展は、印刷技術の未来に対する同社のビジョンと、持続可能な社会への貢献を示す重要なステップとなるでしょう。

京セラの印刷技術に対するビジョンと今後の展望

京セラは、「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドの開発を通じて、印刷技術の未来に対する明確なビジョンを示しています。このビジョンは、高速・高画質な印刷の実現、多様なインクとメディアへの対応、環境負荷の低減という三つの柱に基づいています。

京セラはこれらの技術革新を通じて、印刷業界の持続可能な発展を支えるとともに、デジタル印刷の可能性を広げていきます。今後、同社は「KJ4B-EX1200-RC」の技術をさらに進化させ、より多くの印刷用途に適応できる製品の開発に注力する予定です。また、グローバル市場におけるニーズの変化に応じて、新たな印刷ソリューションの提供を目指します。

京セラの印刷技術に対する取り組みは、印刷業界に新たな価値をもたらし、企業や消費者にとっての印刷の意義を再定義することに貢献するでしょう。このように、京セラは印刷技術の革新を通じて、より良い未来の実現に向けて前進しています。

まとめ:「KJ4B-EX1200-RC」が切り開く新たな可能性

京セラが開発した「KJ4B-EX1200-RC」プリントヘッドは、高速・高画質印刷という基本性能の追求だけでなく、多様なインクへの対応能力や環境負荷の低減という現代の印刷業界が直面する課題に対する解決策を提供します。

このプリントヘッドは、商業印刷やパッケージ印刷など、幅広い用途に適用可能であり、印刷業界における新たなスタンダードを築く可能性を秘めています。また、循環型インクシステムの採用は、インクの無駄遣いを減らし、長期間の連続印刷をサポートすることで、生産性の向上と運用コストの削減に貢献します。

さらに、環境への配慮という観点からも、持続可能な印刷技術の開発は業界全体の重要なトレンドとなっており、「KJ4B-EX1200-RC」はその最前線を走る製品と言えるでしょう。京セラのこの革新的なプリントヘッドは、印刷技術の未来を形作る重要な一歩であり、印刷業界だけでなく、広く社会に新たな価値を提供することが期待されます。

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