トミーヒルフィガーは、メタバースファッションウィーク中に初めてのマルチメタバースハブを公開する。3月28日から31日にかけて、Decentraland、Roblox、Spatial、DressX、Ready Player Meといった主要なメタバースプラットフォームを統合したスペースをオープンする。複数の海外報道機関が報じた。
これにより、異なるプラットフォーム間でアクセスが可能となり、ユーザーがどのように反応するか把握できるようになるという。
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トミーフィルフィガーによるマルチメタバースの概要
このマルチメタバースハブは、メタバース開発者であるEmperia社によってデザインされた。消費者は、POAP(イベントに参加した証としてもらえるNFTバッジ)やNFTの収集、DressXでデジタルファッションの発掘、Web3アーティストVinnie Hagerのアート作品を鑑賞、AR仮想試着、フォトブース、AIファッション創作コンペティション(その優勝者はトミーヒルフィガーが選びます)を楽しむことができる。
また、この巨大なメタバースハブから、ユーザーはデジタルトミーヒルフィガージャケットを着たまま、さまざまなメタバースを探検することができるという。
PVH傘下のブランドであるトミーヒルフィガーは、これまでもメタバースやNFTの取り組みを進めている。2022年9月には、実際のニューヨークファッションウィークと並行してRobloxでショーを開催。ショーの出席者は無料のNFTを入手した。12月には、トミーヒルフィガーがアメリカのファッションデザイナー7人と共に、アメリカファッションデザイナー協議会(CFDA)の60周年を記念してNFTをリリースしている。
PHV社のシニアディレクターであるSpiers Ware氏によれば、「今回の取り組みはテストと学習が目的。ファッションと技術の交差点での機会を探求することで、コミュニティが私たちに何を期待しているかをテストし、発見する」と述べている。
メタバースにおける複数プラットフォーム連携の重要性
トミーヒルフィガーのマルチメタバースハブの取り組みは、ファッションブランドがデジタル空間でのイノベーションと相互運用性を追求していることを示している。この試みは、複数のメタバースプラットフォームを統合し、ユーザー体験を向上させるとともに、ファッションブランドのデジタルプレゼンスを強化することを目指している。
相互運用性の実現は、メタバースの普及と成長にとって重要であり、ユーザーが簡単に異なるプラットフォーム間を移動できるようにすることで、より広い範囲の消費者に魅力的なデジタル環境が提供される可能性がある。また、トミーヒルフィガーのマルチメタバースハブは、異なるプラットフォームでのブランドの認知度を向上させるとともに、消費者とのエンゲージメントを促進する機会を提供するだろう。
さらに、この取り組みは、ファッションブランドがデジタルマーケティング、eコマース戦略、およびWeb3技術との統合を模索しているとも取れる。データ分析により、ユーザーの行動や興味を把握し、それに基づいてマーケティング戦略や製品開発を改善することで、ブランドの競争力を高められる可能性がある。
また、仮想空間からリンクされたeコマースチャネルおよびデジタル経由(例えばDressX経由)の購入オプションを提供することにより、消費者に対して異なる形態で製品を提供するための幅を持たせることができる。つまり、メタバースが「デジタルと物理的な世界の間の境界を曖昧」にし、オムニチャネル戦略を強化する一手となるかもしれない。