ChatGPTが世間の話題をさらっている中、海外では経営に活用する事例も出てきている。

ポルトガルのスタートアップ企業AIsthetic Apparelは、AIチャットボットのChatGPTをCEOに据え、わずか1週間で利益を上げた。AI-CEOの活用により、AIが生成したデザインのTシャツ販売に注力し、革新的なアプローチで年間40万ユーロの利益を見込んでいる。

AIsthetic Apparelの斬新な取り組み

同社によれば、人工知能チャットボットのChatGPTがスタートアップ企業のCEOに就任し、画期的な成果を達成しているという。イタリアでは一時的にChatGPTの利用が制限されているが、この斬新な取り組みにより、同社はわずか1週間で利益を上げたという。

【同社LinkedInページ】

創業者のジョアン・F・サントス氏は、自身のスタートアップ企業AIsthetic ApparelのCEOにChatGPTを任命し、なんと自身はアシスタントの役割を担っている。彼はAIからの指示に従って、たとえそれがリスクを伴うように見えても、毎日1時間の時間を確保し、与えられたタスクを実行した。

サントス氏とChatGPTは、「相談」の末に画像系ジェネレーティブAIであるMidjourneyによって生成されたAIデザインのTシャツを販売することに焦点を当てると決めた。企業名とロゴも、ChatGPTによって提案および作成されたもの。

【AIsthetic Apparelのロゴ】

出典:AIsthetic Apparel

ChatGPTは、オンラインストアの開設や、Midjourneyのデザインを印刷するためにPrintfulと提携するなど、10項目のビジネスプランを策定。さらに、ChatGPTにより画像の説明文も作成

チームは、ChatGPTが提示した10のビジネスプランに取り組み、マーケティング戦略を実施。サントス氏はLinkedInで企業の計画を発表し、大きな関心を集めた。LinkedInの発表後、数十名の投資家からのメッセージが寄せられ、出資に参加することに関心を示したという。

事業拡大のための資金調達に向け、ChatGPTは投資家を選出。サントス氏は、最初の投資額1000ドルで始めて、25%の企業持ち株と引き換えに2500ドルを調達することに成功した。

その後、AIthetic Apparelとしてブランドを立ち上げ、記事執筆時点では、Shopifyで制作されたページで3種類のTシャツが販売されている。

同社の商品紹介ページ

1枚あたり35ユーロ(約5,200円)のTシャツを販売するAIsthetic Apparelは、5日間でなんと1万ユーロ以上の売上を上げたという。現在の売上傾向が続くと、年間利益が40万ユーロ、企業評価が400万ユーロに達するとChatGPTは予測している。

AIsthetic Apparelの優位性:持続的に利益を生み出せるか

AIsthetic Apparelの事業は、すでに短期間で利益を生み出しており、その成功が今後も続く蓋然性は十分にあると考えられる。

AI技術の更なる進化により、AIが生成するデザインの質が向上していくことにより、消費者に魅力的な商品を提供し続けることができ、売上や利益を維持・向上を実現することも考えられる。またAIsthetic Apparelは、AI-CEOの指導の下でコストが低減された効率的な経営が行われている。

加えて、実験的な位置づけにはなるが、AIを活用した意思決定や戦略立案が、人が時間をつかって考える従来の手法では見逃されがちな施策を迅速に実行することにもつながるかも知れない。

さらに、AIとファッションを組み合わせた斬新なビジネスモデルは、SNSを始めとするメディアで消費者の関心を引き付ける要素があります。このような独自性が、企業のブランディングやマーケティングにおいて有利に働くと考えられる

対話型AIは経営を担えるのか

AIsthetic Apparelの取り組みは、AI技術がビジネス界に与える影響の試金石となりうる面白い試みだ。AIチャットボットがCEOに就任することで、従来の経営手法に囚われず、新しい視点やアプローチで企業を急成長させるかの実験になりそうだ。

この取り組みが成功すれば、人工知能が企業経営や意思決定においても、有益な情報や戦略を提供できる可能性が見えるかも知れない。また、創業者がアシスタントの役割に徹し、AIからの指示に忠実に従ったことも興味深い。これにより、人間とAIが共同で働く新しい働き方のモデルが提案されているとも言える。

さらに、AIが生成したデザインのTシャツを販売することで、クリエイティブな分野でもAIの活用が広がる可能性を示している。これにより、今後のファッション業界やデザイン業界において、AIがより重要な役割を果たす、その証左となるかも知れない。

総じて、AIsthetic Apparelの取り組みは、AI技術がビジネスやクリエイティブ分野でどのように活用されうるかを示す面白い事例であり、今後の技術革新や企業経営に対して、一石を投じる取り組みと言えよう。

Reinforz Insight
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