編集部
三井住友トラスト・ホールディングスは、100年にわたる信託の力を背景に、社会課題の解決と持続可能な成長を目指しています。商業銀行とは異なる起源を持ち、信託ビジネスを中心に成長を続けてきた同社は、現代の多様な課題に対応するため、革新的な取り組みを進めています。
カーボンニュートラルの実現や人生100年時代の資産管理など、時代のニーズに合わせたサービス提供を目指し、新たな投資戦略と社会貢献活動に力を入れています。これらの取り組みを通じて、三井住友トラスト・ホールディングスは、次の100年も社会と共に成長していくことを目指しています。
三井住友トラスト・ホールディングスの歴史と基盤
三井住友トラスト・ホールディングスは、2024年4月に創業100周年を迎える企業です。この長い歴史の中で、同社は信託ビジネスを核として、商業銀行とは一線を画す独自の道を歩んできました。日本の信託市場が約100年前に形成された背景には、近代化に向けた産業資金の調達ニーズや第一次世界大戦による好景気がありました。
しかし、市場は混乱も見せ、信託法や信託業法の制定により、業界の健全な発展が促されました。三井住友トラスト・ホールディングスの前身は、このような時代の変遷の中で設立された信託会社にその起源を持ちます。
信託ビジネスを通じて、個人の資産管理や企業の資金調達、さらには社会インフラの構築に貢献してきた同社は、信託の力を活かした独自のサービスで市場に新たな価値を提供し続けています。この歴史と基盤は、三井住友トラスト・ホールディングスが今日に至るまでの成長を支え、次の100年への発展の礎となっています。
持続可能な成長への取り組み
三井住友トラスト・ホールディングスは、持続可能な成長を目指して、多角的な戦略を展開しています。特に注目されるのは、社会課題の解決に貢献することをビジネスの中心に据えている点です。 環境問題への取り組みでは、カーボンニュートラルの実現に向けた活動が挙げられます。例えば、技術革新を支援するために、エネルギー、環境、化学分野の専門家を採用し、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチームを組成しています。これにより、革新的技術の社会実装を促進し、環境問題の解決に貢献しているのです。
また、人生100年時代を見据えた資産管理サービスの提供も、同社の持続可能な成長戦略の一環です。長寿社会における資産管理や相続問題への対応策として、「おひとりさま信託」や「人生100年応援信託」などの新しいサービスを開発し、顧客のニーズに応えています。これらの取り組みは、社会の持続可能な発展と企業成長を両立させる三井住友トラスト・ホールディングスの戦略の核心をなしています。
信託の力で社会課題を解決
三井住友トラスト・ホールディングスは、信託の力を活用して、社会課題の解決に積極的に取り組んでいます。同社は、信託ビジネスの本質を生かし、個人の資産管理から企業の資金調達、さらには社会インフラの構築に至るまで、幅広い領域でその力を発揮しています。
特に、戦後復興期から現代にかけて、社会の変遷と共に、その時々のニーズに応える形で信託サービスを提供してきました。例えば、重厚長大産業への長期資金の提供や、私鉄の沿線拡大に伴う車両信託の提供など、社会経済の発展を支える多様な役割を果たしてきたのです。
また、企業年金の制度設計や資産運用、管理を通じて、国内の年金制度の運用・管理にも貢献しています。これらの取り組みは、信託の機能を通じて社会課題の解決に貢献するという同社の姿勢を象徴しており、持続可能な社会の実現に向けた強い意志を示しています。
カーボンニュートラルへの挑戦
三井住友トラスト・ホールディングスは、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを強化しています。同社は、環境問題への対応として、技術革新を支援するための具体的な戦略を展開しています。 これには、エネルギー、環境、化学分野の専門家を採用し、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチームを組成することが含まれます。
このチームは、革新的な技術の社会実装を促進し、カーボンニュートラルの実現に貢献することを目的としています。さらに、同社は、持続可能な社会の実現に向けて、環境に配慮した投資や資産運用にも力を入れています。
これらの取り組みは、環境問題への企業の責任と役割を重視する現代のビジネス環境において、特に重要な意義を持っています。三井住友トラスト・ホールディングスのカーボンニュートラルへの挑戦は、企業が社会的責任を果たしながら持続可能な成長を目指す姿勢の表れであり、今後の展開が注目されます。
人生100年時代の資産管理
三井住友トラスト・ホールディングスは、人生100年時代に対応するための資産管理サービスを提供しています。長寿社会における資産管理や相続問題への対応策として、「おひとりさま信託」や「人生100年応援信託」などの新しいサービスを開発し、顧客のニーズに応えています。
これらのサービスは、個人の資産を長期的に管理し、将来にわたって安定した生活を支援することを目的としています。特に、「おひとりさま信託」は、単身者が増加する社会において、自身の健康や財産管理に関する不安を解消するためのものです。一方、「人生100年応援信託」は、長寿を見据えた資産計画を立て、相続や介護などの問題に備えることを可能にします。これらの取り組みは、顧客一人ひとりのライフプランに合わせた柔軟な資産管理を実現し、人生100年時代を豊かに生きるためのサポートを提供しています。
新NISAと資産運用立国への貢献
三井住友トラスト・ホールディングスは、新NISAの導入と資産運用立国の実現に向けた取り組みに積極的に関与しています。同社は、個人が保有する約3000兆円とも言われる資産の活用を促進するため、「貯蓄から投資へ」のシフトを支援しています。この動きは、2024年1月に開始された新NISA制度の導入によって加速されており、三井住友トラスト・ホールディングスは、グループ全体でこの新しい制度を最大限に活用することを目指しています。
具体的には、三井住友信託銀行では、スマートライフデザイナーというアプリを活用したコンサルティングチャネルの多様化を進め、三井住友トラスト・アセットマネジメントや日興アセットマネジメントでは、NISAでの運用に適した商品開発を加速させています。これらの取り組みは、資本市場のインフラ機能を強化し、資産運用残高の増加を目指すとともに、日本の資産運用市場の成長に貢献しています。
技術革新と社会実装の促進
三井住友トラスト・ホールディングスは、技術革新とその社会実装を促進するために、独自の取り組みを進めています。同社は、エネルギー、環境、化学などを専門とする博士号を持つ研究者を採用し、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチームを組成しています。このチームの目的は、革新的な技術の開発を支援し、それらが社会に実装されることを促進することにあります。
三井住友トラスト・ホールディングスは、このような技術革新が社会課題の解決に貢献すると考えており、特にカーボンニュートラルの実現や人生100年時代の課題解決に向けた技術開発に注力しています。同社のこの取り組みは、技術革新を通じて社会にポジティブな影響を与えることを目指しており、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップとなっています。
次世代金融教育への取り組み
三井住友トラスト・ホールディングスは、次世代に焦点を当てた金融教育に力を入れています。同社は、確定拠出年金導入企業の新入社員向け教育や、高校生の金融教育に対応した出張授業、教員向けの講演会開催など、その活動を多岐にわたって展開しています。 これらの取り組みは、金融リテラシーの向上と、将来の賢明な資産運用を促進することを目的としています。
特に、高校生への金融教育は、若い世代が社会に出る前に、金融の基本的な知識を身につけることができる重要な機会を提供します。三井住友トラスト・ホールディングスのこのような教育活動は、金融の知識を広め、より多くの人々が賢明な金融判断を下せるようにすることで、社会全体の経済的な健全性を高めることに貢献しています。
プライベートアセット市場の拡大
三井住友トラスト・ホールディングスは、プライベートアセット市場の拡大に向けた積極的な取り組みを進めています。同社は、非上場株式や不動産などのプライベートアセットへの投資を通じて、インフレへの備えとしてだけでなく、投資分散の選択肢を広げることを目指しています。現在、日本のプライベートアセット市場はグローバルシェアの約3％程度とされており、同社はこの市場の拡大余地が大きいと見ています。
そのため、自らが投資の先導役となり、脱炭素領域など社会に貢献するビジネスへの投資を行うとともに、新たに資産運用戦略投資枠を設定しています。これらの取り組みは、プライベートアセット市場の「民主化」を実現し、より多くの個人投資家が参入しやすい環境を整備することを目指しています。
ROE10%以上の早期達成へ
三井住友トラスト・ホールディングスは、2030年度までにROE（自己資本利益率）10％以上の達成を目標としています。この目標は、同社が掲げる中期経営計画の一環であり、資産運用立国構想の追い風を受けて、成長戦略の取り組みを加速させることで、ROE目標の前倒し達成を目指しています。
同社は、資本市場のインフラ機能を発揮し、資産管理残高の増加などを通じて、収益拡大を図ることで、この目標達成に向けて努力しています。また、連結配当性向40％という目標も設定しており、持続的な成長を通じて安定的な増配を目指す姿勢を示しています。
次の100年に向けた展望
三井住友トラスト・ホールディングスは、グループ創業100周年を迎えるに当たり、「託された未来をひらく」というブランドスローガンを策定しました。 このスローガンは、顧客や社会から「信じて託される」ことに誇りを持ち、「未来への願い」に応える存在であり続けたいという強い意志を表しています。同社は、社会課題に立ち向かい、新たな価値の創出に果敢に挑戦していく姿勢を明確にしています。
例えば、グリーン社会の実現に向けた取り組みとして、岡山県で受託している「森林信託」があります。これは、林業従事者の高齢化や所有者不明林の問題を解決し、長期的な林業再生や地域活性化を目指すものです。同社のこれらの取り組みは、100年という長い時間をかけて築き上げた信頼を基に、社会課題への取り組みにおいて強みを発揮できるとの確信に基づいています。
《まとめ》三井住友トラスト・ホールディングスの挑戦: 次の100年へ向けた持続可能な成長戦略
三井住友トラスト・ホールディングスは、100年の長い歴史を持ち、信託の力を活用して社会課題の解決に取り組んできました。持続可能な成長を目指し、カーボンニュートラルの実現、人生100年時代の資産管理、新NISAを通じた資産運用立国への貢献など、幅広い分野で革新的な取り組みを進めています。
技術革新と社会実装の促進、次世代金融教育への取り組み、プライベートアセット市場の拡大など、同社の活動は多岐にわたります。これらの取り組みを通じて、三井住友トラスト・ホールディングスは、新たな100年に向けて社会と共に成長し続けることを目指しています。
「託された未来をひらく」というブランドスローガンのもと、同社は顧客や社会からの信頼に応え、未来への願いに応える存在であり続けることを目指しています。これからも、社会課題の解決に向けた取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことでしょう。