ブルームバーグによれば、中国最大のAI専門企業であるSenseTime Group Inc(以下、センスタイム)の株価が、ChatGPTに対抗する人工知能(AI)を開発しているとの投資家の憶測が広がったことで急上昇した。

ジェネレーティブAIに対する投資家や市場の関心や期待が高まっていることの証左だ。引き続き注目される分野であり、こうした反応が、AI技術を活用した新しいビジネスモデルやサービスがさらに登場させる可能性を高めるだろう。

参考:SenseTime Soars on Speculation It Will Create AI Rival to ChatGPT

ソフトバンクG出資のセンスタイムが12.80%上昇

出典:ブルームバーグ

ソフトバンクグループ株式会社が出資する同社が、今後数日以内に大規模AIモデルを発表するとの噂がソーシャルメディア上で拡散、火曜日に株価は約13%上昇。センスタイムの担当者は、メディアイベントへの招待状を間もなく送る予定だと述べたが、詳細については言及していない。

かつてはAI企業への投資を積極的に行ってきたソフトバンクグループだが、昨今大きなトピックとなっているジェネレーティブAIの領域ではあまりその名を耳にすることがなかった。ソフトバンクグループにとってセンスタイムが初めてこの領域に公に関与する企業となるのだろうか。

噂が誠であれば、AIによるコンピュータビジョンの分野でリーダーとして知られるセンスタイムは、既に競争が激しいジェネレーティブAIの開発に参戦することになる。MidjourneyやOpenAIのDall-EChatGPTからGoogleのBardに至るまでのジェネレーティブAIは、人類に大きな影響を及ぼすとして話題をさらっている。

▼関連記事▼
米ゴールドマン・サックス、ジェネレーティブAIが3億人の業務に雇用や業務を与える可能性に言及
Google、Bard AIのリソース強化、Google Assistantチームを再編

Googleは、ChatGPTへの対応策を緊急事項とし、一方でMicrosoftは、サム・アルトマンが率いるOpenAIへ100億ドルの投資しています。

▼関連記事▼
OpenAI創業者兼CEO:サム・アルトマンとは何者か?経歴・資産・投資先・書籍・Twitter・インタビューまとめ

センスタイムは、テキストから画像への大規模なジェネレーティブAIモデルの構築を行い、2023年半ばには事前訓練済みの大型言語モデルの開発を予定していると、3月下旬の年次業績報告書で公表している。

センスタイムは、米国財務省および商務省の制裁の下で運営されている。またバイデン政権は昨年、AIアクセラレーターチップの中国顧客への販売に制限を課しており、中国のAI開発の取り組みに対する不確実性は高まっていると見られている。現在、中国から対話型ジェネレーティブAIの競争に参画している企業の例としては、BaiduがErnie Botが挙げられる。

Baiduは、MicrosoftがChatGPTをEdgeブラウザに統合し、GoogleがBardを使って検索結果を進化させるのと同様に、Ernieを検索およびその他のソフトウェアサービスに統合する予定。

センスタイムの噂に対する考察

センスタイムがChatGPTに対抗するAIを開発するとの噂が広がっていることは、AI業界において興味深い展開だろう。本当であれば、Baiduに加えて新たな中国企業が大規模なAIモデルを開発し、世界的な競争相手であるOpenAIやGoogleなどの巨大企業と競うことになり、AI技術の進歩や革新に大きな影響を与える可能性があります。

ただし、SenseTimeが米国の制裁下で運営されていることといった課題が存在する。これらの制約が、同社の大規模AIモデル開発における長期的な成功にどのような影響を与えるかは不透明だ。

また、ジェネレーティブAIの開発競争がますます激化している中で、センスタイムがどのように独自の技術やサービスで他社と差別化を図るかは重要。例えば、独自の言語モデルやテキストから画像への生成モデルなど、他社とは異なる機能や特徴を持たせることで、市場での競争力を高めることができるかがカギとなるが、どうか。

またAI技術の発展は国際競争の観点からも重要なトピックだ。今はOpenAIが抜けているが、中国が独自のAI技術を開発し、国際市場で競争力を持つことで、技術力やイノベーションの面で世界のリーダーとなる可能性も無いとは言い切れない。その動向に注目したい。

Reinforz Insight
ニュースレター登録フォーム

最先端のビジネス情報をお届け
詳しくはこちら

プライバシーポリシーに同意のうえ