メタ、ジェネレーティブAIを広告作成に活用

マーク・ザッカーバーグ率いるMetaは、今年末までにジェネレーティブAIを活用して企業向けの広告を作成することを目指していると発表した。Microsoft、Google、Adobeなど主要なテクノロジー企業に続き、MetaもジェネレーティブAI領域の競争に加わる格好だ。

MetaがジェネレーティブAIを活用した企業向け広告作成を目指すのは、イノベーションと競争力の追求が背景にある。またMetaもこの分野での競争を繰り広げることで、ジェネレーティブAI技術の発展と広告業界の効率化に貢献する可能性がある。

Metaが広告分野でジェネレーティブAIツール提供を検討

日経アジアとのインタビューで、MetaのCTOアンドリュー・ボズワース氏は、企業がターゲットに向けた広告イメージを作成するのを助けるAIを使用したツールを提供することを検討していると述べている。

「今年中に技術の商用化が始まると考えている。数ヶ月前に新しいチーム、ジェネレーティブAIチームを作ったが、彼らは非常に忙しい。私とマーク・ザッカーバーグも最も時間を費やしている分野」とボズワース氏は同誌に語っている。

2月に、ザッカーバーグ氏はCPOクリス・コックス氏の下でAIツールに焦点を当てた新チームを発表。この発表では、WhatsAppやMessengerでのAIによるチャットや、Instagramのフィルターの開発も行っていることが明らかにされた。

Metaのメタバースに関する取り組みは予想通りには進んでいない一方で、ジェネレーティブAIを通じて仮想世界を創造するアイデアを引き続き推進しているようだ。

▼関連記事▼
Meta（旧Facebook）が目指すメタバースの未来とは？【徹底解説】

メタバースへのジェネレーティブAIの応用

ボズワース氏は、OpenAIのGPT-4やGoogleのPaLMのような大規模言語モデル（LLM）が3Dモデルの作成を支援すると考えている。「以前は、3Dを作成したい場合、コンピューターグラフィックスとプログラミングを学ぶ必要があった。将来的には、作成したい世界をただ説明するだけで、大規模な言語モデルがその世界を生成してくれるかもしれない。これにより、より多くの人々がコンテンツ作成にアクセスしやすくなるだろう」と答えている。

メタバース事業は、同社が長期的な戦略を描いているが、足許の収益状況を踏まえ、広告収益の増加は急務。2月に実施された2022年第4四半期の投資家向け電話会議で、ザッカーバーグは「2023年の経営テーマは『効率化の年』であり、より強力で敏捷な組織になることに焦点を当てる」と述べている。

▼関連記事▼
メタバースの本格普及化へ、日本IBMが提言レポートを発表
メタバースに将来性は無いのか？【本当にオワコンなのか】

ジェネレーティブAIは今後どのようなインパクトを及ぼすか

メタの取り組みや思想を紐解くと、ジェネレーティブAI技術が今後のコンテンツ制作や広告業界に大きな影響を与える可能性が高いことがわかる。

同時に、Metaをはじめとする企業がジェネレーティブAIを活用し、効率化やイノベーションを追求することで、広告やマーケティング分野における革新が期待される。また、ジェネレーティブAIによる3D世界の生成が実現すれば、従来技術や知識を持たない人々でもコンテンツ制作にアクセスできるようになり、クリエイティビティの幅が広がることは確実だ。

ジェネレーティブAIの普及により、クリエイターやマーケターは、従来は手間がかかったり専門知識が必要だったりしたタスクを迅速かつ効率的に実行できるようになるだろう。

一方で、より多くの企業や個人が独自のコンテンツやブランドメッセージを簡単に伝えられるようになり、競争が活発化することを意味する。その結果、各企業はさらに革新的なアプローチや戦略を模索しなければならなくなるかもしれない。

また生成AIの急速な発展に伴い、偽情報の拡散や悪用のリスクも増大する。これに対処するためには、企業や政府、技術者が協力して倫理的なガイドラインを策定し、適切な規制や監視体制を構築する必要があるだろう。

ジェネレーティブAIを利用する際には、データのセキュリティやプライバシー保護を最優先に考慮し、利用者の信頼を確保することも重要。将来的には、生成AI技術が持続可能かつ倫理面に配慮した上で発展し、多くの産業や個人に利益をもたらすことが期待される。

▼関連記事▼
米AI倫理団体、ChatGPTがFTCルール違反と主張し調査を求める