大日本印刷株式会社(DNP)が「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」の企業賞アドバンス部門で大賞を受賞しました。この受賞は、社員一人ひとりの多様性を強みとして活かすDNPの取り組みが高く評価された結果です。
2023年には同部門の準大賞を受賞しており、今回の大賞受賞は、DNPが多様性と包摂性(D&I)に対する取り組みをさらに深化させた証しと言えるでしょう。持続可能な社会と豊かな生活の実現に向けて、新しい価値の創出に努めるDNPの姿勢が、この受賞を通じて再確認されました。
大日本印刷とは:歴史と現在
大日本印刷株式会社(DNP)は、1876年の創業以来、印刷技術の革新をリードしてきた企業です。情報通信、生活・産業資材、エレクトロニクスなど、多岐にわたる分野で事業を展開し、日本のみならず世界中でその技術が活用されています。特に、デジタル化が進む現代においても、印刷とデジタルの融合による新たな価値の創出に挑戦し続けています。
社会の持続可能性に貢献する製品やサービスの開発に注力し、環境保護や社会問題の解決に向けた取り組みも積極的に行っています。また、従業員の多様性を尊重し、それぞれの能力を最大限に活かすことで、革新的なアイデアやソリューションを生み出す土壌を育んでいます。このような背景から、DNPは業界内外から高い評価を受けており、その経営姿勢は多くの企業にとって模範とされています。
「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」とは
「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」は、特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(J-Win)が主催する、日本企業の多様性と包摂性(D&I)の取り組みを評価し表彰するイベントです。2008年の創設以来、女性や障がいを持つ人々、異文化背景を持つ人々など、多様な従業員が活躍する企業文化の醸成に貢献してきた企業や団体を対象に、その努力と成果を称えています。
アワードは、具体的な成果を上げている企業を顕彰することで、日本全体のダイバーシティ&インクルージョンの推進を加速させることを目的としています。受賞企業は、D&Iに関する取り組みが社内外に広く認知される機会を得るとともに、そのリーダーシップが業界全体のベンチマークとなり、他の企業の取り組みにも好影響を与えています。大日本印刷がこの賞を受賞したことは、同社のD&Iに対する強いコミットメントと、具体的な成果が高く評価された証拠です。
受賞の背景:2023年の準大賞からの進化
大日本印刷が「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」で大賞を受賞した背景には、2023年に同アワードの準大賞を受賞して以来、さらに進化を遂げた多様性と包摂性への取り組みがあります。2023年の受賞は、同社が多様性と包摂性を経営戦略の一部として位置づけ、具体的なアクションを起こし始めたことの初めての大きな認知でした。
それから1年、大日本印刷は社内の多様性をさらに深く理解し、それを企業文化として根付かせるための施策を加速。特に、女性や障がいを持つ従業員、LGBTQ+のコミュニティなど、さまざまな背景を持つ人々が互いの違いを尊重し合い、その違いを強みとして活かせるような環境作りに注力しました。このような取り組みが、さらなる評価を受けることとなり、2024年の大賞受賞につながったのです。
多様性と包摂性(D&I)への取り組みの詳細
大日本印刷の多様性と包摂性(D&I)への取り組みは、単に多様な人材を受け入れるだけでなく、それぞれの個性や能力が最大限に発揮されるような環境を整えることに重点を置いています。具体的には、性別、年齢、国籍、障がいの有無など、さまざまな属性に基づく偏見をなくすための「アンコンシャス・バイアス研修」を全従業員が受講。
また、女性がリーダーシップを発揮しやすい環境を作るためのメンタリングプログラムや、次世代の女性リーダーを育成するための研修プログラムも実施しています。これらの取り組みは、従業員一人ひとりが自身の多様性を認識し、互いの違いを尊重する文化を醸成することを目指しています。
さらに、多様性を経営の中核に位置づけ、企業戦略としても積極的に推進。これらの取り組みにより、大日本印刷は多様な人材が活躍し、新しい価値を生み出す組織へと進化を遂げています。
経営トップのコミットメント
大日本印刷の多様性と包摂性(D&I)への取り組みは、経営トップの強いコミットメントから始まっています。代表取締役社長をはじめとする経営層は、D&Iを単なる社会的責任ではなく、企業成長のための戦略的投資と位置づけています。この考えに基づき、経営トップ自らがD&I推進のための方針を定め、全社員に対してその重要性を説いています。
また、D&Iに関連する各種プログラムや施策の立案にも積極的に関与し、その実行を監督しています。経営トップのこのような姿勢は、社内におけるD&Iの推進を加速させるとともに、社外に対しても大日本印刷のD&Iに対する真摯な取り組みを示しています。経営層の強いリーダーシップの下、D&Iは企業文化の一部として社内に浸透し、従業員一人ひとりが多様性を尊重し合う風土が育まれています。
「203030」目標とその戦略
大日本印刷が掲げる「203030」目標は、2030年までに役員クラスの女性比率を30%にするという野心的な目標です。この目標達成に向けて、同社は女性のキャリア開発支援やリーダーシップ研修など、女性従業員が経営層に進出しやすい環境を整備しています。
また、女性だけでなく、多様なバックグラウンドを持つ従業員がリーダーとして活躍できるよう、意識改革や組織文化の変革にも力を入れています。これらの取り組みは、単に数値目標を達成するためだけではなく、企業全体のイノベーション能力を高め、持続可能な成長を実現するための戦略的なものです。
大日本印刷は、この「203030」目標を通じて、多様性と包摂性が経営における重要な価値であることを社内外に示し、業界全体の変革を牽引しています。
DNPグループD&I推進委員会の役割
大日本印刷(DNP)グループでは、多様性と包摂性(D&I)の推進を組織的に支えるために「DNPグループD&I推進委員会」を設置しています。この委員会は、D&Iに関する方針や進捗、および各部門の推進活動を共有し、全社活動を推進する役割を担っています。
委員会は、各部門トップのコミットメントのもと、グループ全体のダイバーシティ経営の中期ビジョン実現に向けた共通のKPI(重要目標達成指標)に対し、部門ごとの課題を洗い出し、自立した施策を行っています。
このようにして、DNPグループは組織全体でD&Iの推進を図り、それぞれの活動の成果を報告し合うことで、グループ内への水平展開を図り、組織の連携を強化しています。この委員会の存在は、DNPグループがD&Iを単なる一時的な取り組みではなく、経営戦略の一部として位置づけ、長期的な視点で取り組んでいることを示しています。
アンコンシャス・バイアス研修の実施
大日本印刷では、多様性と包摂性(D&I)の理解を深め、より公平な職場環境を実現するために、「アンコンシャス・バイアス研修」を実施しています。この研修は、無意識のうちに持ってしまう偏見や先入観に気づき、それを乗り越える方法を学ぶことを目的としています。
経営トップを含む全役員から階層別に、国内のグループ社員約3万人を対象として行われており、多様なバックグラウンドを持つ従業員が互いに理解し合い、尊重する文化の醸成に貢献しています。研修を通じて、従業員は自身の無意識の偏見に気づき、それを克服するための具体的なステップを学びます。この取り組みは、DNPが多様性を真に理解し、包摂的な職場環境を実現するための重要なステップとなっています。
次世代経営女性リーダーの育成
大日本印刷では、次世代の女性リーダーを育成するために、多角的なアプローチを採用しています。具体的には、女性従業員がキャリア開発を進める上で直面する様々な課題に対応するためのプログラムや研修を提供しています。これには、メンタリングプログラムやリーダーシップ研修が含まれ、女性が経営層に進出するためのサポート体制が整っています。
また、実際のプロジェクトへの参画や、未経験の役割への挑戦など、実践的な経験を積む機会も豊富に用意されています。これらの取り組みは、女性が自らのキャリアを積極的に形成し、将来の経営リーダーとしての資質を磨くための基盤を提供しています。大日本印刷のこのような取り組みは、性別に関わらず、全ての従業員が平等にチャンスを得られる企業文化の構築に貢献しています。
社会からの評価と今後の展望
大日本印刷の多様性と包摂性(D&I)への取り組みは、社会から高い評価を受けています。特に、「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」での大賞受賞は、同社のD&Iに対する継続的な努力と成果を象徴するものです。この受賞を契機に、さらに多くの企業がD&Iの重要性を認識し、自社の取り組みを見直すきっかけになることが期待されています。
大日本印刷は、今後もD&Iを経営の中核に据え、持続可能な社会の実現に貢献していく方針です。具体的には、グローバルでの多様性のさらなる推進、障がいを持つ従業員やLGBTQ+コミュニティの支援強化など、さまざまな施策を展開していく予定です。これらの取り組みを通じて、大日本印刷は社会全体の多様性と包摂性の向上に貢献していきます。
多様性と包摂性の未来への影響
大日本印刷の多様性と包摂性(D&I)への取り組みは、単に企業内の文化を変革するだけでなく、社会全体に対しても大きな影響を与えています。D&Iが経営戦略として位置づけられることで、企業価値の向上はもちろん、より革新的で持続可能な社会の実現に向けた動きが加速しています。
大日本印刷のような大手企業が率先してD&Iに取り組むことで、他の企業や業界にもその重要性が広がり、日本企業全体の競争力強化に寄与しています。また、多様な人材が活躍できる社会は、新しいアイデアやソリューションの創出を促し、経済全体の活性化にもつながります。大日本印刷の取り組みは、これからの多様性と包摂性が持つ未来の可能性を示しており、その動向は多くの人々にとって注目の的となっています。