東京カンテイによれば、2024年3月、東京23区の中古マンション70㎡の価格が0.5%上昇し、7,242万円となった。これにより7ヶ月連続の価格上昇が記録された。特に都心部では、前年同月に比べて1割以上の価格上昇が続いており、不動産市場における地域間の格差が鮮明になっている。
首都圏全体では価格が前月比0.6%下落し、4,680万円となった。この地域差は、都市部の強気な姿勢と周辺県の市場縮小が影響していることが示唆されている。
東京23区、再び価格上昇―7,242万円に
2024年3月の東京23区における中古マンションの平均価格は7,242万円に達し、前月に比べて0.5%の上昇が確認された。この結果は、23区内の不動産市場が依然として堅調であることを示している。市況の好転は、投資需要の増加と住宅購入者の活動的な姿勢が背景にある。
この連続上昇は、新築市場の高騰が影響している部分も大きい。新築住宅の供給不足が続く中、購入者の関心が中古市場にシフトしており、特に駅近や利便性の高いエリアの物件が価格を押し上げる要因となっている。
都心部、前年同月比で1割以上の高騰続く
東京都心部では、特に港区、千代田区、渋谷区といったエリアで顕著な価格上昇が見られ、一部では前年同月比で10%以上の増加が確認されている。これらの地域は、高級住宅市場や外国人投資家の間での評価が高く、持続的な人気が価格上昇を支えている。
不動産専門家によると、このような価格上昇は今後も続く可能性が高いとされている。都心部の土地が限られている中で、新たな開発が難しいため、既存の物件が価値を増しているのが現状である。
首都圏全体では前月比マイナス、詳細な地域差異を分析
首都圏全体で見ると、2024年3月の中古マンション価格は前月比で0.6%下落し、平均価格は4,680万円となった。この下落は東京都以外の県、特に神奈川県、埼玉県、千葉県での価格の落ち込みが影響している。これらの地域では新築市場の魅力が相対的に低下し、中古市場への影響が出始めている。
特に神奈川県では前月比1.3%の大幅な下落を記録し、新築市場への需要が中古に回っていないことが明らかになった。埼玉県と千葉県もそれぞれ1.1%、0.7%と下落しており、郊外への人口移動やライフスタイルの変化が原因と考えられる。
近畿・中部圏、状況は一変―下落傾向に
近畿圏と中部圏の市場状況はさらに厳しく、特に大阪府や愛知県での価格下落が目立っている。近畿圏では築年数の経過した物件の割合が増えており、前月比で平均価格が1.4%下落し、年初来の最低値を更新した。これは投資としての魅力が減少していることが一因である。
一方、中部圏では愛知県が前月比0.8%の下落を見せており、この地域の中古マンション市場も冷え込みが進んでいる。これらの地域の市場では、新築へのシフトや地域経済の変動が影響していると分析されている。
不動産市場の不均衡:都心の輝きと郊外の陰り
東京23区の中古マンション市場が、太陽のように輝き続けている一方で、郊外エリアは雲の影に隠れてしまっている。都心部での価格上昇は、星のように遠い目標をも追い求める投資家たちにとっては夢のような話である。しかし、郊外への目が行き届かないことで、地価の均衡が崩れ、市場全体に微妙なひずみが生じている。
この価格の分裂は、不動産市場の二極化をさらに強調しており、特定の地域のみが経済的な恩恵を受ける一方で、他の地域は見過ごされがちである。都心のマンションが天高く価格を伸ばす中、郊外はその影響をほとんど受けていないのが現実だ。
不動産市場のこのような動きは、将来的にさらなる地域間格差を生む可能性がある。特に郊外の住宅市場が持続的に価値を失うことは、長期的な視点で見ると地域社会にとって大きな損失となるだろう。