2022年11月、大手暗号資産取引所である「FTXトレーディング」が経営破綻した。未だ被害の全貌は明らかになっておらず、仮想通貨業界は混乱が起きている。
そこで、暗号通貨関連のニュースサイトを運営している「CoinWire」が、1万人以上の投資家やユーザーを対象に、アンケート調査を行った。
CoinWireが仮想通貨業界に関するアンケート調査を実施
2022年12月に「CoinWire」が実施したアンケートの調査結果がつい先日公表された。このアンケートは、仮想通貨業界に携わる1万人以上の投資家を対象としている。
仮想通貨業界は、大手仮想通貨交換会社の「FTXトレーディング」が2022年11月に破綻したことを受けて、大きな混乱が生じていた。破綻によって業界の衰退も恐れられていたが、いざ調査結果を見てみると、仮想通貨・ブロックチェーン・分散型ウェブ関連の動向には、ポジティブなイメージを持つユーザーが多いことが分かった。
この意外な結果の背景には、メタバースによる生活変化への期待が大きく影響している。
現在、多くの業界で注目されているメタバースには、無限の可能性が隠されているのかもしれない。
FTXの経営破綻が世界に大きな影響を与えた
そもそも、今回のアンケート調査はFTXの破綻による世界の混乱が関係している。FTXのずさんな経営体質や管理が報じられたことにより、世界各国でクリプト関連に対する規制強化への動きが強まる可能性もある。世界に対する影響はさらに増えるとみられており、被害の全体像が明らかになるまでは約1年かかるそうだ。
既に関係各所に被害が広がっており、2023年3月に行われたアメリカ最大のスポーツイベントでは、仮想通貨関連企業4社が流す予定だった広告も打ち切られてしまった。
このような業界の現状を、ユーザーや投資家はどのように捉えているのか解明するため、2022年年末に調査が行われた。今回の調査元であるCoinWireは、仮想通貨関連の最新情報を提供しているため、より詳細なデータが期待できるだろう。
「Crypto Report 2022」を大公開
CoinWireは調査結果を「Crypto Report 2022」として公表した。
調査の対象は、1万人以上のクリプトユーザーや投資家。市場状況や動向分析の他、資金調達状況などについてもアンケート調査している。
今回のアンケート結果について、詳しく見ていこう。
〈メタバースの今後について〉
回答者の69%は、メタバースがエンタメの形を大きく変化させると回答した。メタバースの普及により、ソーシャルライフの変化を期待する声もある。
さらに65%の回答者は、メタバースが社会との交流に対するアプローチの在り方も変化させると考えていた。その他に、ファイナンス・ビジネス・教育分野への影響も期待しているようだ。
〈Web3のゲーム業界への普及について〉
回答者の約9割がWeb3という言葉を聞いたことがあると答えたが、51.4%の回答者は、Web3は誇大に煽り立てられているだけの存在と考えているようだ。
ただし、Web3の資金調達実施数は33%と多く、ロックチェーンゲーム企業への投資は堅調である。
また、ゲーム会社がWeb3ゲームに関心を持つだろうと予想している回答者が67%いる一方で、78%の回答者は、「Play-To-Earn(=ゲームでお金を稼ぐ)」がWeb3ゲームを表す用語として広まっているために、既存のゲーム会社の参入を妨げているのではないかと考えているようだ。
〈プラットフォームの動向〉
最も使用されたプラットフォームは、「イーサリアム」「BNB Chain」「Polygon」の3つ。
一方で、関心の高い新しいプラットフォームは、高いセキュリティが期待の「Sui」が注目されていた。
〈DeFiに対する不安や期待〉
回答者の5人に3人は、銀行や政府を通さずに利用できるDeFiに不安を抱えている。セキュリティリスクや複雑さが気になるよう。
しかし回答者の58%は、今後の規制整備や資金調達によっては、DeFiの大規模導入につながると期待しているそうだ。
今回のアンケート結果を見てみると、現在もFTXによる混乱は続いているが、これらが落ち着けば、暗号資産やブロックチェーンなどのテクノロジーに対する前向きな風潮が強まる可能性もある。仮想通貨業界に賑わいが戻る未来もそう遠くないかもしれない。