欧州のプライバシー監視機関であるEDPB(European Data Protection Board)は、人工知能に関するプライバシー規制の共通ポリシーへの重要な第一歩として、ChatGPTに関するタスクフォースを設立したと発表した。

これは、先月イタリアが単独でChatGPTを規制する動きに続くもので、ドイツのデータ保護当局も同様の措置がとられる可能性があると述べている。スペイン当局も、ChatGPTによる潜在的なデータ違反について予備調査を開始すると発表している。

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欧州プライバシー監視機関、タスクフォース立ち上げで情報交換と協力を促進

ChatGPTは、さまざまな問い合わせに迅速に回答する能力で注目を集めたAIプログラムで、1億人以上の月間アクティブユーザー獲得を達成し、史上最速の成長を遂げるアプリになったが、安全性、プライバシー、倫理、雇用に対する脅威についての疑問も提起されている。

専門家や米国政府、他の欧州諸国政府も、ChatGPTや類似のAI製品の急速な普及について懸念を表明している。EDPBは、専門タスクフォース立ち上げによって各国のデータ保護当局によって実施される可能性のある措置について情報交換し、協力を促進する。

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EDPBは、欧州連合内でデータ保護規則を監督する独立した機関であり、国内のデータ保護監視機関で構成されている。今後、各国のデータ保護監視機関が協力し、ChatGPTや類似のAI技術に関するプライバシー保護の方針を策定、統一する動きが期待されるが、時間がかかることが予想される。

また欧州各国はOpenAIに対して罰則を科すことや、特定の企業に影響を与える規則を作成することを目指しているわけではなく、透明性のある一般的なポリシーを作成することが目標としている。

ChatGPTタスクフォース設立:取り組みの重要性と今後の展望

欧州データ保護委員会(EDPB)によるChatGPTタスクフォースの設立は、人工知能(AI)に関するプライバシー規制における重要な一歩と取れる。この取り組みは、AI技術の急速な発展と普及に伴い、個人情報保護やプライバシーに対する懸念が増大する中で、一層の重要性を帯びている。

タスクフォース設立は、AI技術の急速な発展により、個人情報を扱う機会が増え、それに伴い個人情報漏洩のリスクが高まっていることが背景。特に、ChatGPTのようなAIプログラムは、1億人以上の月間アクティブユーザーが利用する中で、個人情報やプライバシーに関わるデータ蓄積も膨大だ。

各国政府や専門家からの懸念が高まる中で、欧州各国が連携し、共通の対応策を策定することは、破壊的なインパクトをもたらしかねない次世代AIの浸透にあたり、政府対応の潮流を形作る動きの一つとなりうる。適切なプライバシー規制が整備されることで、AI技術の発展と普及がより安全かつ効果的に進められることが期待される。

Reinforz Insight
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