編集部
日本全国でオレンジジュースのブランドが相次いで販売を中止している。原因は、オレンジの不作と円安による輸入コストの急騰である。日本の主なオレンジ輸入先であるブラジルでの不作が続き、さらに円安が状況を悪化させているため、企業はオレンジジュースを手頃な価格で提供することが難しくなっている。
森永乳業は、サンキストブランドの100％オレンジジュース200ミリリットルカートンの販売を在庫がなくなり次第中止する予定だ。アサヒ飲料も昨年12月にビレリーズオレンジ1.5リットルボトルの出荷を停止した。明治雪印メグミルクも昨春、ドールブランドの100％オレンジジュースの出荷を停止している。
一方、国内産のみかんジュースは好調である。今年4月、協同乳業は14年ぶりに和歌山県産の100％温州みかんジュース900ミリリットルカートンを再発売し、関東甲信越地方で販売を開始した。この商品は直接的にオレンジ価格の高騰とは関係ないが、国内産果汁の魅力を消費者に伝える良い機会と期待されている。
オレンジジュース販売中止の背景
日本全国でオレンジジュースのブランドが相次いで販売を中止している。その背景には、世界的なオレンジの不作と円安による輸入コストの急騰がある。日本のオレンジジュース市場は、主にブラジルからの輸入オレンジに依存しており、その供給が大きく影響を受けている。ブラジルでは近年、気候変動による異常気象が頻発し、オレンジの収穫量が大幅に減少している。
この不作の影響で、輸入オレンジの価格が急騰している。2020年には1リットルあたり259円だった輸入オレンジジュースの価格が、2023年には491円にまで跳ね上がった。この価格上昇は、日本国内のオレンジジュースメーカーにとって大きな負担となっている。特に、安価な価格で提供することを前提にしている商品にとっては、採算が取れない状況に陥っている。
さらに、円安がこの状況を一層悪化させている。輸入品のコストが円安によってさらに増加し、企業はオレンジジュースを適正な価格で提供することが難しくなっている。このような状況から、多くのメーカーがオレンジジュースの販売中止を決断せざるを得ない状態にある。
ブラジル産オレンジの不作と価格上昇
ブラジルは日本へのオレンジ輸出の主要国であり、その収穫量の変動は日本のオレンジジュース市場に直結する。近年、ブラジルでは異常気象が続いており、特に干ばつや洪水などがオレンジの生産に大きな打撃を与えている。この結果、オレンジの収穫量は減少し、その価格は急激に上昇している。
2020年には1リットルあたり259円だった輸入オレンジジュースの価格が、2023年には491円に達している。この価格上昇は、オレンジジュースの原料となるオレンジの供給不足と輸送コストの増加が主な要因である。ブラジル国内の生産者も、収穫量の減少に伴い価格を引き上げざるを得ない状況にあり、その影響が輸出価格にも反映されている。
また、ブラジル国内のインフラの問題も一因となっている。輸送網の整備が不十分な地域では、オレンジの収穫後の輸送に時間とコストがかかる。これらの要因が重なり、オレンジジュースの価格は高騰している。日本国内のメーカーは、この高騰した価格を消費者に転嫁することが難しくなっており、販売中止の決断に至っている。
円安の影響と各社の対応
円安の影響は、オレンジジュース市場にも大きな影を落としている。日本円の価値が下がることで、輸入品のコストが増加し、特に価格に敏感な商品にとっては大きな打撃となっている。オレンジジュースも例外ではなく、輸入コストの増加が販売価格に反映され、消費者にとって手の届かない商品となりつつある。
森永乳業は、サンキストブランドの100％オレンジジュース200ミリリットルカートンの販売を在庫がなくなり次第中止する予定だ。アサヒ飲料も昨年12月にビレリーズオレンジ1.5リットルボトルの出荷を停止した。明治雪印メグミルクも昨春、ドールブランドの100％オレンジジュースの出荷を停止している。これらの企業は、円安によるコスト増加に対応するための戦略を見直している。
一部の企業は、国内産果汁を使用した商品の開発や販売に力を入れ始めている。例えば、協同乳業は14年ぶりに和歌山県産の100％温州みかんジュースを再発売し、国内市場でのシェア拡大を目指している。このように、円安の影響を受けない国内産の果汁を活用することで、企業は新たな市場開拓を図っている。
国内産みかんジュースの新たな展開
一方で、国内産の果汁を使用した商品が注目を集めている。特に、みかんジュースがその代表例である。協同乳業は今年4月、和歌山県産の100％温州みかんジュースを14年ぶりに再発売し、関東甲信越地方で販売を開始した。この商品は、国内産果汁の魅力を消費者に伝えるための重要な試みである。
みかんジュースは、その品質と風味が高く評価されており、輸入オレンジジュースに代わる選択肢として消費者に受け入れられている。特に、輸入品の価格が高騰する中で、比較的安定した価格で提供できる点が大きな魅力となっている。また、国内産果汁を使用することで、輸送コストや輸入関税の影響を受けずに済むという利点もある。
協同乳業は、みかんジュースの販売地域を拡大する計画を立てており、次年度には関東甲信越以外の地域でも販売を開始する予定である。このような取り組みは、国内農業の振興にも寄与し、地域経済の活性化にもつながると期待されている。国内産果汁を活用した商品が市場で成功を収めることで、他のメーカーも追随する可能性が高く、日本の果汁市場に新たな風を吹き込むことが期待されている。