アメリカは今年11月に第47代大統領を選出する。共和党の候補として有力視されるのは、前大統領のドナルド・トランプである。一方、民主党の候補としては現職のジョー・バイデンが見込まれている。

6月6日、産経新聞とジャパンフォワードは、トランプ政権時代の大統領顧問であったフレッド・フレイツ氏とスティーブ・イェーツ氏にインタビューを行い、トランプ氏が再選された場合の外交政策と日本への影響について議論した。

フレイツ氏は、トランプチームが米国の同盟国やパートナーとの強力で独立した協力関係を築くことに重点を置いていると強調し、この関係が中国やロシア、イランなどのアメリカの敵対国に対する効果的な抑止力を構築すると述べた。

外交政策の全体像

フレッド・フレイツ氏は、トランプ政権が再び誕生した場合の米国の外交政策について語った。AFPI(アメリカ第一政策研究所)の設立メンバーであるフレイツ氏によれば、トランプ政権はより強硬な対中政策を追求し、米国の抑止力を強化することで中国、ロシア、イランなどの敵対国に対抗することを目指すという。特にウクライナ戦争の迅速な終結を図り、ロシアを再びヨーロッパの一員として取り込むことが重要視されている。

トランプ政権は同盟国に対しても「公平さ」を求める姿勢を強化する。特にフランスやドイツがNATOに対して2%のGDP支出を守っていないことや、ウクライナ支援において十分な貢献をしていないことが問題視されている。トランプ氏はこれらの国々に対し、より公平な負担を求める意向である。

このような強硬な外交政策は、米国とその同盟国の安全保障を強化し、敵対国に対する抑止力を高めることを目的としている。フレイツ氏は、トランプ政権が再び誕生することで、米国の外交政策がより攻撃的で取引的なものになると予想している。これにより、米国の利益を最優先に考えた外交が展開されることが期待される。

日本の防衛力の強化

トランプ政権が再び誕生した場合、日本の防衛力強化に対する期待も高まる。フレイツ氏は、日本と米国の関係が過去にないほど強固であると評価し、この関係が地域および国際的な安全保障にとって極めて重要であると強調した。特に、中国に対抗するためには米日間の強力な安全保障関係が不可欠であると述べた。

バイデン政権にも批判はあるものの、米日韓の三国間関係を推進する努力には一定の評価を与えている。この三国間関係は、中国の脅威に対抗するために重要であり、日本と韓国の歴史的な対立を乗り越えて協力関係を築くことが求められている。特に、日本の岸田首相と韓国の大統領が互いの国を訪問し、対話を通じて協力を進める姿勢を示したことが評価されている。

フレイツ氏は、日本が可能な限り強力な防衛力を持つことを期待しており、日本の憲法上の制約にもかかわらず、創意工夫を凝らして自国を防衛し、地域の同盟国と共に立ち向かう姿勢を見せることが重要であると述べた。このような強力な防衛力が、日本の安全保障だけでなく、地域および国際的な平和と安定にも寄与するだろう。

核抑止の課題

フレッド・フレイツ氏は、中国の核兵器拡充について深い懸念を表明した。近年、中国は核兵器とその運搬手段となる長距離ミサイルを大幅に増強しているが、その正確な規模は不明である。米国は中国を中距離核戦力条約や新START条約のような核軍縮協定に参加させることを目指しているが、中国はこれに応じていない。

トランプ政権が再び誕生した場合、この問題に対処するための圧力が強化される見込みである。中国が核兵器を増強し続けると、他の国々も同様の行動を取る可能性が高まり、核拡散のリスクが増大する。したがって、新たなトランプ政権は中国を核軍縮協定に参加させるための外交努力を強化することが期待される。

さらに、フレイツ氏はトランプ政権が「取引的外交」を展開することを予測している。これは敵対国に対して厳しい姿勢を取りつつも、対話を通じて問題解決を図るアプローチである。特に中国に対しては、核兵器の拡散を防ぐための新たな核軍縮協定への参加を求める交渉が重要視されるだろう。このような外交努力が実を結ぶことで、国際的な核抑止の強化が期待される。

北朝鮮による日本人拉致問題

北朝鮮による日本人拉致問題は、トランプ政権において常に重要な議題であった。フレッド・フレイツ氏は、トランプ氏が再び大統領に就任した場合、この問題に対する関心が続くことを予測している。トランプ氏は初めて拉致問題に対して声を上げた米国大統領であり、その真剣な取り組みは高く評価されている。

トランプ政権時代、北朝鮮との首脳会談では常に拉致問題が取り上げられ、日本政府と連携して解決を目指す姿勢が示された。フレイツ氏は、この問題が日本政府と北朝鮮の間で解決されるべきであるとしつつも、米国の理解と支援が不可欠であると強調している。特にトランプ氏は拉致被害者の家族と面会し、その悲劇的な状況に対する深い理解を示していた。

この問題に対するトランプ氏の関与は、日本政府にとっても大きな支えとなるだろう。再びトランプ氏が大統領に就任すれば、北朝鮮に対する圧力を強化し、拉致問題の早期解決を目指す日本政府の努力が後押しされることが期待される。このように、トランプ政権の外交政策は、同盟国である日本の安全保障と人権問題にも大きな影響を与えるだろう。

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