日本企業の約20%が今会計年度に過去最高の純利益を予測していることが、日経の分析で明らかになった。特にサービス業が外国人観光客の急増から恩恵を受けている。
一方で、自動車メーカーや電力会社、鉄鋼メーカー、石油会社など一部の業種は利益の減少を見込んでいる。

観光ブームとニッチビジネスが牽引

日本企業の約20%が今会計年度に過去最高の純利益を予測している。これには観光業界の復活とニッチビジネスの成功が大きく寄与している。外国人観光客の急増が、日本のサービス業に新たな成長機会を提供している。特に、ホテル業界やテーマパーク業界では、訪日外国人の増加に伴い、宿泊料金や入場料の単価が上昇している。

例えば、ドーミーインブランドを運営する共立メンテナンスは、2年連続で過去最高益を見込んでいる。同社は国内需要の強さと国際観光客の増加が収益を押し上げていると述べている。また、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドや富士急行も同様に、外国人観光客の増加が利益を後押ししている。

さらに、ハローキティで知られるサンリオは、25年ぶりの過去最高益を予測している。キャラクターグッズの販売が好調であり、特に北米やアジアでのライセンス事業が成長していることが要因である。観光業界とニッチビジネスの強さが、日本企業の全体的な収益向上に寄与していることは明白である。

サービス業界の好調さ

サービス業界は、日本企業全体の中でも特に好調である。今会計年度に過去最高益を予測している企業の多くがサービス業に属している。その中でも、外国人観光客の需要をうまく取り込んでいる企業が目立つ。例えば、京王電鉄や相鉄ホールディングスはホテル部門での業績向上を見込んでいる。

また、国内で30%の市場シェアを持つ消防設備メーカーのホーチキは、安定した収入源である点検やメンテナンス業務の増加により、過去最高益を見込んでいる。駐車場管理システムを提供するアマノも、キャッシュレス決済端末の需要増加が利益を押し上げている。

さらに、日本唯一の衛星運営企業であるスカイパーフェクトJSATホールディングスも、政府や企業向けにデータ回線や衛星画像を販売する事業が好調で、利益の増加を予測している。サービス業界の強さは、日本経済全体にとって重要な成長エンジンとなっていることが伺える。

一部業種の利益減少

一方で、一部の業種は利益の減少を予測している。特に自動車メーカーや電力会社、鉄鋼メーカー、石油会社などが該当する。これらの業種は、為替レートの変動や原材料費の高騰、そして国際経済の影響を受けやすい。自動車業界では、円高と中国経済の減速が大きな影響を及ぼしている。

例えば、自動車業界の利益は20%減少すると予測されている。鉄鋼業界と石油業界もそれぞれ23%と31%の利益減少を見込んでいる。これらの業界では、為替レートの変動が特に大きな問題となっており、円高が輸出利益を圧迫している。

しかし、これらの業界が利益を回復させるためには、為替レートが再評価される必要がある。円安に転じれば、利益が回復し、再び成長軌道に乗る可能性がある。現状では、これらの業種は厳しい経済環境に直面しているが、今後の動向に注視する必要がある。

為替レートと景気の影響

為替レートと国際経済の動向が日本企業の収益に大きな影響を与えている。特に円高は輸出企業にとって大きな打撃となっている。為替レートの変動は企業の収益予測に直接影響を与え、経営戦略の再考を迫られる要因となっている。

例えば、大和アセットマネジメントのチーフストラテジストである戸賀志健介は、為替レートが円安に再評価されれば、企業の利益が増加し、過去最高益を予測する企業が増えると指摘している。また、バンク・オブ・アメリカ証券日本のチーフ日本株ストラテジストである阿久津雅志も、企業が四半期報告で予測を上方修正する可能性が高いと述べている。

さらに、国際経済の影響も無視できない。特に中国経済の減速が、日本の製造業にとって大きな懸念材料となっている。これらの要因が複合的に作用し、日本企業の収益に大きな影響を与えている。為替レートと国際経済の動向に注視し、適切な経営戦略を立てることが求められる。

Reinforz Insight
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