G7諸国のデジタル領域に関わる閣僚は、各国が人工知能(AI)のの規制の在り方を検討し、共通のルールを定めていくことに合意した。

G7各国の大臣がAI規制の在り方を議論

AI技術の発展を後押しするオープンで支援的な環境を維持し、民主的価値に基づいているべきだと、G7大臣は日本での2日間の会議の後に発表された共同声明で述べた。

大臣らは、「堅牢な」AIを実現するための政策手段がG7加盟国間で異なるかもしれないと認めつつも、プライバシー問題やセキュリティリスクを懸念してAIを規制する主要国の取り組みにおいて、今回の合意は画期的なものといえる。

特に規制当局が懸念するのは、昨年11月の発売以降、史上最速で普及が拡大しているChatGPTのような生成AIツールの人気である。

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日本政府は声明で、「将来のG7における生成AIに関する議論を計画し、規制、知的財産権(著作権を含む)の保護、透明性の促進、デマ情報への対抗など、このグループ外の国による情報操作も含めた問題をカバーする」と述べている。

G7のメンバーであるイタリアは、個人データの使用に関する規則の違反の可能性を調査するために、国内でのChatGPTの使用を禁止した。この措置により、他のヨーロッパの規制当局も市民のプライバシーに関する潜在的な違反を調査するよう促されている。

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欧州連合の技術規制責任者であるマルグレーテ・ヴェスタゲールは、AIの著作権に関して、「今年中に政治的合意に達する」と述べ、例えばAI生成画像や音楽における表示要件などを提案した。一方、今年のG7の議長国である日本は、AI開発者に対して前向きな姿勢を取り、政府と産業界の導入を支援することを約束している。

日本は、G7からAI技術に関して「積極的で包括的な規制ではなく、柔軟なガバナンスに関する合意」を得ることを望んでいると、産業大臣の西村康稔は金曜日の閣僚会議に先立って述べた。5月末には、日本が広島でG7サミットを主催し、菅義偉首相が世界の指導者たちとAIの規則について議論する予定である。

G7の議論・合意が意味するもの

G7諸国がAIの規制に関して合意に達したことは、技術の進歩と社会への影響を考慮して適切なバランスを見つける試みとして重要である。民主的価値に基づく規制が策定されることで、AI技術が透明で倫理的な方法で開発・運用される可能性が高まる。ただし、規制の過程で、革新的な発展が阻害されないよう注意を払うことが重要である。

生成AIツールの急速な普及、特にChatGPTのようなツールは、デマ情報の拡散や情報操作、知的財産権の侵害、プライバシーに関する懸念を引き起こす可能性がある。このため、適切な規制が整備されることで、技術の利点を享受しつつ、潜在的なリスクを最小限に抑えることができる。

各国間での政策手段の違いやアプローチの多様性は、AI技術の規制に対する柔軟性をもたらすとともに、最善の方法を見つけるために異なるモデルを試す機会を提供する。この協力の精神は、国際的な技術開発と規制において、共通の目標に向けた連携を促す可能性がある。

しかし、規制が適切に策定・施行されるためには、国際社会が継続的な対話と協力を維持することが不可欠である。また、AI技術がさらに進化することを考慮し、規制が柔軟かつ適応的であることが求められる。今回のG7諸国の合意は、AI規制に関する国際的な協力の第一歩であり、今後の展開が注目される。

Reinforz Insight
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