Apple Intelligenceは、iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS 15.1のベータ版で利用可能となり、今秋には一般ユーザー向けにリリースされる予定だ。本記事では、iPhone 15 Pro、M4 iPad Pro、M1 MacBook Airという3つのデバイスを用いて、その性能を比較した結果を紹介する。処理速度や応答性において、デバイスごとの違いがどのように現れるかを検証した。
Apple Intelligenceの概要と対応デバイス
Apple Intelligenceは、最新のiOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS 15.1の開発者向けベータ版で利用可能な新機能である。正式リリースは今秋を予定しており、Appleユーザーにとっては大きな期待を集めている。Apple Intelligenceの主要な機能には、Siriの高度なAI対応、写真メモリムービーの作成、ウェブページの自動要約機能などが含まれる。
対応デバイスに関しては、iPhoneではiPhone 15 Proシリーズのみが対応しており、iPadとMacではM1チップ以上を搭載したモデルが必要となる。M1チップは2020年に初めて登場したもので、現在ではより高性能なM4チップも利用可能である。対応デバイスの範囲が限定されているのは、AI機能の処理に多大な計算能力が必要なためであり、これによりユーザーがどのデバイスを使っても一貫した品質を享受できるように設計されている。
今後、正式リリースに向けてさらに多くのデバイスが対応する可能性もあるが、現時点では対応機種は限られている。これにより、特にハイエンドのデバイスを持つユーザーがその性能を最大限に引き出せるようになっている。この点でAppleは、最新のハードウェアとソフトウェアの統合によって、最適なユーザーエクスペリエンスを提供しようとしているのである。
写真メモリムービー作成におけるデバイス間の性能差
Apple Intelligenceの中でも注目すべき機能の一つが、写真メモリムービーの作成機能である。ユーザーが指示を出すと、AIがライブラリ内の写真やビデオを自動で選び出し、指定したテーマに基づいたムービーを作成する。この機能を使うには高い処理能力が要求されるため、デバイス間でのパフォーマンスの違いが顕著に現れる。
筆者が行ったテストでは、「私の誕生日」というテーマでムービーを作成した。結果として、iPhone 15 Proでは19秒、M4 iPad Proでは15秒でムービーが完成した。一方で、Macではこの機能は現時点でサポートされていないため、テストは行えなかった。
この結果から、iPad Proの処理能力がiPhone 15 Proを上回っていることが明らかとなった。ただし、その差はわずかであり、両者の性能は非常に近いことが分かる。また、M4チップ搭載のiPad Proが特に高速であることが確認でき、最新のプロセッサが写真やビデオの処理において優れたパフォーマンスを発揮することが示された。
このように、写真メモリムービーの作成機能は、デバイスの処理能力によって体感速度に差が出る機能であり、特に高性能なデバイスでその真価を発揮することが分かる。
Siriとその他のタスクにおける応答速度
Apple Intelligenceの中でも、Siriの応答速度に関しては特筆すべきポイントがある。筆者がテストを行った結果、Siriの反応速度はデバイス間でほとんど差がないことが確認された。iPhone 15 Pro、M4 iPad Pro、そしてM1 MacBook Airのいずれにおいても、Siriは即座に応答し、ユーザーの要求に迅速に対応した。
この結果は、Siriがどのプラットフォームでも一貫して高いパフォーマンスを発揮するように設計されていることを示している。また、Siri以外の小規模なタスク、例えばSafariでのウェブページの自動要約や短文の校正・リライト機能においても、各デバイス間で大きな差は見られなかった。
特に、短いテキストの校正やリライト機能では、すべてのデバイスでほぼ同等の速度で処理が行われた。100文字程度の短いメールの校正では、iPhone、iPad、Macすべてで2秒以内に完了し、リライト機能でもほぼ同様の結果が得られた。
このように、Siriやその他の軽量なタスクに関しては、Apple Intelligenceはどのデバイスでも同様に迅速かつ効率的に動作することが確認された。
プロセッサー負荷の高いタスクでの違い
Apple Intelligenceは、より高度なタスクを処理する際に、デバイスの性能差が明確に現れる。特に長文のリライトや、より複雑なAI機能を利用する場合、デバイス間で処理時間に差が生じることが確認された。
筆者は、600文字の記事のリライト機能をテストした結果、iPhone 15 Proでは21秒、M4 iPad Proでは16秒、M1 MacBook Airでは20秒を要した。この結果から、iPad Proが最も高速であり、次いでMacBook Air、そしてiPhoneの順で処理時間が長くなったことが分かる。
この差は、各デバイスに搭載されているプロセッサーの性能に起因する。特に、M4チップ搭載のiPad Proは、最新のプロセッサーであることから、他のデバイスよりも高い処理能力を発揮している。一方で、iPhone 15 Proも十分な性能を有しているが、やや処理速度が劣る点が見受けられた。
このように、Apple Intelligenceを用いた高度なタスク処理においては、デバイスのプロセッサー性能が直接的に処理速度に影響を与えることが分かった。特に、プロセッサー負荷の高いタスクでは、最新の高性能デバイスを使用することで、よりスムーズで効率的な作業が可能となる。