NVIDIAは最新の安定版ドライバー「560.35.03」をLinuxユーザー向けにリリースした。このドライバーは、先月からリリースされていた560シリーズの改良点を統合したものであり、特にWayland環境における複数の重大なバグが修正されている。また、古いGPUへの対応強化や、VRR(可変リフレッシュレート)機能の改善も含まれている。
新ドライバー「560.35.03」の主な改良点
NVIDIAがリリースした最新の安定版ドライバー「560.35.03」は、これまでの560シリーズの改良点を統合した初の正式リリースである。主な改良点としては、GPUが対応する場合、デフォルトでオープンなGPUカーネルモジュールを採用する点が挙げられる。これにより、Linux環境でのドライバーの柔軟性と安定性が向上した。
また、最新のドライバーでは、特にWayland環境での動作が大幅に改善されており、VRR(可変リフレッシュレート)がVolta以前のGPUでもサポートされるようになった。これにより、対応ディスプレイでの描画品質が向上し、よりスムーズな映像体験が可能となる。これらの改良は、最新の技術と過去のGPUとの互換性を両立させることで、幅広いユーザーに恩恵をもたらしている。
このドライバーは、安定性を求めるLinuxユーザーにとって重要なアップデートとなっており、NVIDIAの最新技術を最大限に活用するためには欠かせない存在である。
Wayland環境での重要な修正内容
今回の「560.35.03」ドライバーでは、Wayland環境における複数の重大なバグが修正されている。まず、555.58バージョンで発生したDVI出力がHDMIモニターと正しく動作しない問題が解決された。このバグは特定の環境でのみ発生していたが、多くのユーザーにとって厄介な問題であった。
さらに、KDE Plasma ShellがWaylandコンポジター上でアプレットをホバーまたは開く際にフリーズする問題も修正された。これにより、日常的な操作がよりスムーズに行えるようになり、ユーザーエクスペリエンスが向上した。加えて、複数のモニターを使用している際に、ウィンドウの表示がフリーズする問題も解決された。
これらの修正により、Waylandを使用するLinux環境での安定性が大幅に改善され、より信頼性の高いデスクトップ体験が可能となっている。
古いGPUへの対応とVRRの改善
新たにリリースされた「560.35.03」ドライバーは、古いGPUにも対応を強化しており、特にVRR(可変リフレッシュレート)機能がVolta以前のGPUで利用可能になった。この対応により、古い世代のGPUを使用しているユーザーでも、最新のディスプレイ技術を享受することができるようになった。
従来、VRR機能は新しいGPUに限定されていたが、今回のアップデートでその制限が緩和され、より広範なハードウェア環境で利用できるようになった。これにより、対応ディスプレイでの映像がさらに滑らかになり、ゲームや動画視聴時の体験が向上する。
このような改良は、NVIDIAが古いハードウェアを切り捨てず、可能な限り最新技術を提供し続けるという姿勢を示しており、多くのLinuxユーザーにとって歓迎すべきニュースである。
KDE Plasma Shellやマルチモニターでのバグ修正
「560.35.03」ドライバーでは、KDE Plasma Shellやマルチモニター環境に関連する複数のバグが修正されている。特に、KDE Plasma Shellを使用している際に、アプレットにカーソルを合わせたり、アプレットを開いたりする時に発生していたフリーズの問題が解決された。この修正により、Plasmaユーザーはより快適にシステムを操作できるようになった。
また、マルチモニター環境でウィンドウの表示がフリーズする問題も修正された。この問題は、Waylandのダイレクトスキャンアウト機能を使用している時に発生していたものであり、複数のモニターを使用して作業するユーザーにとって深刻な障害となっていた。
これらのバグ修正により、KDE Plasma Shellやマルチモニター環境での安定性が向上し、NVIDIAドライバーを使用するLinuxユーザーにとって、より信頼性の高いデスクトップ環境が提供されるようになった。