OpenAI、イタリアのデータプライバシー要求に譲歩しChatGPTの利用禁止を解除

3月、イタリアのプライバシー規制当局は、ChatGPTに年齢確認の制御がなく、AIツールのアルゴリズムを訓練するためのオンラインユーザーデータ収集を肯定する「法的根拠」がないとして、OpenAIのChatGPTを一時的に禁止していた。

規制当局はOpenAIに4月30日までにこれらの問題を解決するよう求め、先週金曜日、OpenAIは予定より早く要求された変更の多くを実装したと発表した。Associated Pressが確認している。

OpenAIのChatGPTがイタリアで利用可能に

「ChatGPTはイタリアのユーザーに再び利用可能である」とOpenAIの声明では述べている。OpenAIは、イタリアのデータ保護機関に譲歩し、ChatGPTをイタリアで利用可能とするためにいくつかの取り決めを行ったと、The Wall Street Journalが報じている。

OpenAIは、ChatGPTがユーザーデータを処理する方法についてユーザーにより適切に情報受け取り、ユーザーがオプトアウトしてChatGPTの訓練アルゴリズムからデータを削除できるようにオンラインフォームを作成することに同意した。

次に、OpenAIは、イタリアのユーザーに登録時に生年月日を提供するよう求め、13歳未満のChatGPTユーザーを特定しブロックしたり、18歳未満のユーザーに親の許可を求める方針に同意した。

ただし、禁止が解除されたからといって、イタリアの規制当局の調査が終了したわけではない。OpenAIは、ツールの仕組みやデータ共有からオプトアウトする方法を説明する広報キャンペーンを開始するなど、要求された残りの事項の実装に取り組むことが期待されていると、WSJが報じている。

政府の対応とOpenAIのフィードバック

イタリアの一時的なChatGPTの利用禁止は、同ツールが史上最速で成長するアプリとなった直後、ChatGPTへのアクセス制限を求める最初の国家的対策の先例となった。わずか2ヶ月で、ChatGPTは1億人の月間アクティブユーザーを獲得し、TikTok（9ヶ月かかって同水準に達した）やInstagram（2.5年かかった）を上回った。

リリース以来、ChatGPTは政府や国際機関によってデータ漏洩後に懸念が表明されると、より多くのユーザー保護に関わる機能を導入し進化している。現在、ChatGPTはチャット履歴を無効にし、トレーニングを拒否し、データをエクスポートすることができる。

イタリアのデータ保護当局に迅速に譲歩したことで、OpenAIは世界中のユーザーを引き続き獲得する意欲がある見て取れる。一部の生成AIに批判的な意見を持つ専門家は、イタリアがそうしたように、世界中の政府が迅速に介入し、規制当局が追いつくまでAI開発を完全に「一時停止」するよう求めている。

急速に進化するAI技術と国際的な規制のバランス

イタリアでのChatGPTの一時的な禁止とその解除に関するニュースは、AI技術の規制に関する国際的な議論と懸念を浮き彫りにしている。OpenAIがイタリアのデータ保護当局の要求に迅速に対応し、その結果、禁止が解除されたことは、AI開発企業と規制当局間の協力的な関係が実現可能であることを示している。

しかし、イタリアの規制当局の調査がまだ続いていることから、今後もOpenAIはデータプライバシーとユーザー保護に関する要求を満たすために努力を続ける必要がある。

一方、各国政府がどのようにAI技術を規制すべきかという問題が引き続き議論されており、法律の適用範囲や規制方法にはまだ明確な統一見解がない。イタリアのような国では、AI技術の規制が強化される一方で、アメリカでは、現行法がAI技術に対して適用可能であるとの立場を取っている。このような状況は、国際的なAI技術の規制に関して、一貫性のあるアプローチが必要であることを示唆している。

また、AI技術の急速な発展と普及が、立法者にとって適切な法律や規制の策定を困難にしていることを示している。AI技術が日々進化し続けるため、規制当局は柔軟で効果的な規制方法を検討し、新たな技術や問題に迅速に対応できる必要があるだろう。