アップル、スペインの小売店で120人をレイオフ—労働条件の大幅な変更が影響

アップルは、スペイン国内の主要3店舗で120人の従業員を解雇したと報じられている。このレイオフは、労働条件の大幅な変更によるものであり、長年勤務していたベテラン社員が対象となった。新たに雇用された若手のパートタイム労働者が増加する一方で、従来の専門性を持つスタッフが削減される形となっている。

スペイン国内3店舗での大量解雇

アップルは、スペイン国内の主要3店舗、すなわちマドリードのプエルタ・デル・ソル、バルセロナのパセイグ・デ・グラシア、バレンシアの店舗において、約120人の従業員を解雇した。この解雇は、アップルが近年進めている業務再編の一環であり、特に長期間勤務していたベテラン社員がその対象となっている。これにより、店舗の人員構成が大幅に変化し、従来のフルタイムの専門スタッフが減少する一方、パートタイムの若手従業員が新たに雇用されることとなった。

この解雇は、アップルが新たに導入した労働条件の変更に伴うものであり、解雇された従業員には「契約終了書」に署名することが求められた。この書類には、訴訟権の放棄および守秘義務の遵守が含まれており、これに署名しない場合、従業員は解雇手当を受け取ることができないという状況に置かれていた。解雇された従業員の多くが長年にわたり会社に貢献してきたことから、この決定は現地で大きな反響を呼んでいる。

労働条件の変更と従業員への影響

今回の解雇は、アップルが行った労働条件の大幅な変更が原因である。この変更は、従業員にとって大きな負担を強いるものであり、特に家族や個人的な生活と仕事の両立が難しくなる内容であったとされている。新たな契約の下では、勤務時間やシフトのスケジュールが四半期ごとにアルゴリズムによって自動的に決定されるようになり、従業員の自主性が大幅に削減された。

さらに、今回の労働条件の変更により、従業員のキャリアパスも大きく変わることが懸念されている。特に、専門的な知識や経験を持つフルタイム従業員が減少することで、店舗全体のサービスの質が低下する可能性が指摘されている。また、若手のパートタイム従業員が増加することで、従来の従業員が築いてきた職場文化が崩壊する危険性もある。このような変化は、アップルがこれまで築いてきたブランドイメージにも影響を与える可能性がある。

新たな雇用契約とアルゴリズムによる勤務スケジュール

今回の労働条件の変更に伴い、アップルは新たに約40人のパートタイム従業員を雇用した。これらの新規雇用者は、週に20〜24時間の契約で働くことになるが、その勤務時間はアルゴリズムによって決定される。このアルゴリズムは、アップルが独自に開発したものであり、店舗の業務効率を最大化するために作られている。しかし、このシステムは従業員の希望や生活リズムを考慮せずにスケジュールを組むため、不満が高まっている。

従業員は、自分たちの生活リズムに合わせた柔軟な働き方を求めているが、アルゴリズムによるスケジュール管理はそれを許さない。これにより、従業員の間でのストレスやモチベーションの低下が懸念されている。さらに、アルゴリズムによって決定されるスケジュールは、従来の経験豊富なスタッフが提供していた質の高いサービスを維持することが難しくなる可能性もある。アップルは、労働条件の変更が会社全体の生産性を向上させると説明しているが、実際の現場ではその効果に疑問が呈されている。

労働組合とアップルの合意の背景

今回の労働条件の変更および従業員の解雇に関しては、アップルとスペインの主要労働組合であるFeticoおよびCC OOとの間で合意が行われた。合意に至った背景には、アップルの「生産性および組織的なニーズ」に応じた企業再編があったとされている。労働組合は、従業員の権利を守るために交渉を行ったが、最終的には解雇を避けられなかった。

合意内容には、解雇された従業員に対する補償が含まれており、勤続年数に応じて20日分の給与が支給されることとなっている。しかし、労働組合の一部からは、この補償が不十分であるとの批判が出ており、今後の対応が注目されている。また、労働条件の変更に伴う労働環境の変化が、他の従業員にどのような影響を与えるかについても、引き続き議論が続く見込みである。アップルは今回の措置を通じて、グローバルな競争力を強化することを目指しているが、その一方で現地の労働市場に与える影響は小さくない。