編集部
スターリンクは、ブラジル政府の命令に従い、X（旧Twitter）のアクセスをブロックすることを決定した。
これは、エロン・マスクの「フリースピーチ絶対主義」との矛盾を浮き彫りにしている。
ブラジル最高裁判所はXの制限を維持しており、スターリンクは法的措置に踏み切る構えだ。
ブラジル政府とスターリンクの対立背景
エロン・マスクが所有する衛星インターネット企業スターリンクは、ブラジル政府と深刻な対立を抱えている。背景には、ブラジル政府がX（旧Twitter）上での虚偽情報拡散に対応するため、Xへのアクセス制限を命じたことがある。ブラジルの最高裁判所は、SNSプラットフォーム上でのフェイクニュースを問題視しており、特定のアカウントのブロックを要求していたが、Xはこれに応じなかった。このため、ブラジル政府はXを運営するマスクに対し、罰金を科すとともに、スターリンクの財産を凍結する措置に踏み切った。
マスクは自らを「フリースピーチ絶対主義者」と位置付け、プラットフォーム上での言論の自由を守る姿勢を強調していたが、ブラジル政府の対応に対しては反発した。しかし、スターリンク側が資産凍結を受けたことで事態は一転。最終的に、スターリンクは命令に従い、Xへのアクセスを遮断する決断を下すこととなった。この動きは、マスクとブラジル政府の対立がさらに激化する可能性を示唆している。
凍結された資産と法的闘争の詳細
スターリンクは、ブラジル政府による資産凍結に強く反発し、法的手続きを開始した。ブラジル政府は、Xが特定のアカウントをブロックしないことを理由に約300万ドルの罰金を科しており、支払いを強制するためにスターリンクの金融資産を凍結した。これに対し、スターリンクは即座にブラジル最高裁判所に対して異議申し立てを行い、資産凍結が「違法」であると主張している。
スターリンクは声明で、「資産凍結の違法性を訴えるために法的手続きを進めるが、命令に従い、Xへのアクセス遮断も実施する」と述べた。ブラジル政府が求める制裁措置に対する法的闘争は、今後も長期化する可能性が高い。スターリンク側は、ブラジル国内での活動を維持するために法廷闘争を余儀なくされているが、同時にXへのアクセス遮断という措置を取らざるを得なかった。この法的闘争は、今後のマスクとブラジル政府の関係に深い影響を与えるだろう。
ブロック命令とその影響
ブラジル最高裁判所は、Xがフェイクニュースの拡散を防止するための措置を取らなかったとして、プラットフォームのアクセス制限を命じた。これにより、インターネットサービスプロバイダーやモバイルアプリストアは、Xへのアクセスを9月4日までにブロックする義務を負っている。違反者には毎日高額な罰金が科される可能性があり、VPNを利用してプラットフォームにアクセスしようとするユーザーも厳しい罰則を受けることになる。
スターリンクは当初、ブラジル政府の命令に従うことを拒否していたが、最終的にはアクセス遮断を受け入れることとなった。この決定は、インターネットの自由やプラットフォーム運営に関する倫理的な議論を巻き起こしている。特に、エロン・マスクが強調してきた「フリースピーチ絶対主義」が、この事例において揺らぐこととなった。Xのブラジルにおけるブロックは、今後他国でも同様の措置が取られる可能性を示唆しており、グローバルな影響も考えられる。
マスクのフリースピーチ哲学との矛盾
エロン・マスクは長年、自身を「フリースピーチ絶対主義者」として位置付け、Xを通じてあらゆる意見の表明を擁護してきた。しかし、今回のブラジルでのXアクセス遮断命令への対応は、その信念との明らかな矛盾を生じさせている。マスクは以前、Xが政府の要求に屈することなく言論の自由を守るべきだと主張していたが、今回の事例では、スターリンクの資産凍結というプレッシャーに屈する形で、アクセス遮断を受け入れた。
この決定は、Xの運営において経済的な圧力がフリースピーチの優先順位を上回る可能性を示している。さらに、他国においても同様の要求がなされる場合、マスクがどのような対応を取るかが注目される。ブラジルでの対応が今後のプラットフォーム運営の前例となる可能性があり、特に政府との対立が起こる際に、企業としての柔軟性が求められる場面が増えるだろう。