Microsoftが発表した最新のCopilot+ PCは、AI機能において驚異的な性能を誇るものの、人気ゲームとの互換性に問題を抱えている。この新型PCは、IntelからQualcomm製のチップに切り替えたことで、一部のゲームが正常に動作しないという報告が上がっている。

特に『Fortnite』のようなゲームにおいては、チップセットの違いが原因で、ゲームプレイが不安定になることが確認されている。MicrosoftとQualcommは、この問題に対する改善策に取り組んでいるが、解決までには時間がかかる見通しである。

AI性能に優れた新型Copilot+ PC

Microsoftが発表したCopilot+ PCは、AIを中心に設計された次世代PCである。この新モデルは、新しいシリコンを採用し、1秒間に40兆回以上の演算を行う能力を持つ。また、CPUやGPUだけでなく、高性能なニューラルプロセッシングユニット(NPU)を備え、AIモデルの処理を強化している。これにより、AIによる機能が大幅に向上し、従来のPCよりも20倍のパフォーマンス、100倍の効率を発揮することができる。

具体的には、AIを活用した「Recall」機能でファイルやデータの検索が迅速に行えるほか、画像作成や編集を可能にする「Cocreator」といった高度な機能が提供されている。また、これらのPCはChrome、Spotify、Zoom、WhatsApp、Adobe Photoshopといった主要なアプリケーションを、ARMプラットフォーム上でネイティブに実行できる点も大きな特徴である。これらの要素が組み合わさり、Copilot+ PCはAI機能において他のPCを大きく上回る性能を発揮している。

だが、このAI性能の高さが、すべての分野において優れているわけではない。特に、ゲーム分野においては、その実力が不完全であることが指摘されている。

ゲームプレイに影響を与える新しいチップセット

Copilot+ PCの大きな変革点のひとつが、従来のIntel製チップからQualcomm製のチップへの切り替えである。この変更はAIの処理を最適化するために行われたが、これがゲームプレイに悪影響を及ぼしている。Fortniteや他の人気ゲームは、主にIntel製チップ向けに開発されており、新しいチップセットでは十分に対応できない部分がある。

そのため、ゲームをプレイする際には、ソフトウェアエミュレーションを介してゲームを動かさなければならない場合がある。このエミュレーションによって、一部のゲームが正しく動作しなかったり、バグが発生する可能性が高くなる。特にグラフィックスが複雑なゲームや、リアルタイムでの処理が求められるゲームでは、パフォーマンスが著しく低下することが確認されている。

AI性能に優れたチップセットの導入によって、ゲームプレイに影響が出ることは意外かもしれないが、この問題は今後のソフトウェアのアップデートや、新しいハードウェアの導入によって改善される可能性がある。

人気ゲームとの互換性問題が発生

Copilot+ PCは、AI性能において他を凌駕する一方で、ゲームに関しては互換性の問題が浮上している。Fortniteや他の人気ゲームが動作しない理由は、Qualcomm製のチップとゲームの開発環境との間にある互換性の欠如に起因する。これにより、PCゲーマーの間で大きな不満が生じている。

特に、アンチチートソフトウェアが組み込まれているゲームでは、互換性の問題が顕著である。Fortniteのようなゲームでは、このアンチチートソフトが正しく動作しないことで、ゲーム自体がクラッシュしたり、動作しないケースが報告されている。この問題に対処するため、QualcommはEpic Gamesと連携して、より良い互換性を実現するための取り組みを進めているが、完全な解決には時間がかかる見通しである。

また、Copilot+ PCのゲーム互換性についての研究も進行中で、1300以上のゲームがテストされた結果、その半数程度が正常に動作していることが確認されている。しかし、残りのゲームについては、まだ十分な検証が行われておらず、実際にどの程度互換性があるかは不透明な部分が多い。

今後の改善に向けた対応策

MicrosoftとQualcommは、この互換性問題に対応するため、複数の解決策を模索している。Qualcommは、ゲーム向けの最適化を行い、特にアンチチートソフトウェアとの互換性向上を目指している。また、Intelも独自のAI対応チップを開発中であり、この新しいチップセットがリリースされれば、Copilot+ PCにおけるゲームプレイの問題が解消される可能性がある。

一方で、Microsoftはゲーマーに対して、ゲームに最適化された他のPCを使用するよう推奨している。特にグラフィックス要件の高いゲームに関しては、現在のCopilot+ PCでは十分なパフォーマンスを発揮できないため、専用のゲーミングPCが推奨される。

さらには、自作PCという選択肢もある。自作PCであれば、ユーザーが自身のニーズに合わせて最適なハードウェアを選定できるため、ゲームプレイにおける制約を回避することが可能である。

Reinforz Insight
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