世界保健機関(WHO)によると、自殺は依然として世界的な問題であり、特に低・中所得国で深刻である。2021年のデータによれば、OECD諸国の中で男性の自殺率が特に高いのは韓国とリトアニアであり、女性の自殺率では韓国と日本が上位に位置している。

一方で、アフリカ地域では自殺率が最も高く、2019年にはレソトで10万人あたり87.5人が自殺している。これらの数値は、特にデータが不十分な地域では実態を過小評価している可能性があることを示唆している。

世界自殺予防デーのテーマである「自殺に関する語りを変える」という取り組みが、今後どのように影響を与えるのか注目される。

世界の自殺率の現状と地域差

出典:statista

自殺は世界中で深刻な社会問題となっており、地域ごとに大きな違いが見られる。2021年のデータによると、OECD諸国では男性の自殺率が女性を大きく上回っているが、この傾向は高所得国だけに限らない。世界保健機関(WHO)の報告では、2019年の時点でアフリカ地域が世界で最も高い自殺率を記録しており、10万人あたり11.2人が自殺している。これは同年の世界平均である9.0人を大きく上回る数値である。

特にレソトでは10万人あたり87.5人、エスワティニでは40.5人と極めて高い自殺率が報告されている。これらの国々では、社会的および経済的な問題が自殺の主要な要因となっているが、データの不足が深刻さを過小評価している可能性もある。自殺問題は決して高所得国に限られたものではなく、低・中所得国でも急を要する課題であることが改めて浮き彫りになっている。

性別による自殺率の違い

自殺率には性別による顕著な違いが存在し、ほとんどの国で男性の自殺率が女性を大きく上回っている。この傾向は特に韓国やリトアニアで顕著で、2021年のデータによれば、韓国では男性が10万人あたり34.9人、リトアニアでは33.1人の自殺が報告されている。一方、女性の自殺率が比較的高い国としては韓国が15.2人、日本が10.2人とされている。

男性の自殺率が高い背景には、社会的孤立や経済的困難、精神的ストレスが関与していると考えられる。また、男性が助けを求めにくいという文化的要因も問題視されている。一方で、女性の場合は心理的支援の利用が比較的多いことが自殺率の低さに寄与しているとされる。これらのデータは、性別による自殺防止策の違いが求められる現状を示している。

OECD諸国での自殺率トップの国々

OECD諸国の中で最も自殺率が高いのは韓国とリトアニアである。韓国では、特に男性の自殺率が高く、10万人あたり34.9人が命を絶っている。この数値は他の高所得国と比べても群を抜いており、経済的不安や長時間労働、社会的孤立などが要因として挙げられている。リトアニアでも同様に高い自殺率が報告されており、特に高齢者の自殺が問題となっている。

一方、日本では女性の自殺率が高く、10万人あたり10.2人という数値が示されている。日本では精神的な問題や職場でのプレッシャーが大きな要因とされており、特に若年層での自殺が増加傾向にある。これらの国々のデータは、各国の社会的背景や経済状況が自殺率に大きな影響を与えていることを示している。

低・中所得国における自殺問題の深刻さ

低・中所得国における自殺問題は、深刻さを増しているが、その実態はしばしば見過ごされがちである。WHOの報告によれば、2019年の自殺者の77%が低・中所得国で発生しているにもかかわらず、これらの地域では自殺に関するデータの収集や報告が不十分であり、実態が正確に把握されていない。これは、精神保健サービスの不足や自殺に対する社会的なスティグマが大きな障壁となっていることが原因である。

特にアフリカ諸国では、貧困や失業、社会的不安定が自殺の主要なリスク要因とされているが、適切な対策が取られていない。データの不足は政策決定の遅れを招き、支援の手が届かない人々の増加につながっている。低・中所得国における自殺防止の取り組みは、データの改善とともに、文化的背景を考慮した支援策の強化が求められる。

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