EV保証スタートアップのAmberは、テスラ車向けに新たな遠隔診断サービスを開始した。
このサービスは、車両の診断情報をリモートで収集し、オーナーに潜在的な問題を事前に警告するものだ。
Amberは、この新サービスを通じてカスタマーサポートを強化し、さらなる市場拡大を目指している。

AmberのEV保証サービスが47州に拡大

EV保証スタートアップAmberは、2024年3月にスタートしたテスラ車向け保証プラン「AmberCare」を全米に拡大することを発表した。AmberCareは、テスラの電動ドライブトレインや認定サービスセンターでの修理をカバーする包括的な保証プランである。最初は10州のみで提供されていたが、今回、Lexington National Insurance Corporationとの提携により、カリフォルニアやアラスカ、マサチューセッツを除く47州で利用可能となった。

Amberは、これまでに合計318万ドルの資金を調達し、この資金を活用して事業を拡大している。なお、カリフォルニアとマサチューセッツにおいても、2024年末までにサービスが開始される見込みである。また、RivianやKia、HyundaiのEVにも同様の保証プランを提供する計画があり、特にRivian向けのサービスは年内にも開始予定である。

このような急速な事業拡大は、Amberの市場での存在感を高め、特にカリフォルニア州が米国EV市場の半数以上を占めることから、今後の成長にとって重要なステップとなるだろう。

テスラ向け遠隔診断の導入:車両のテレヘルスチェックアップ

Amberはテスラ車オーナー向けに、車両の遠隔診断サービスを導入した。このサービスは、車両のデータをリモートで取得し、潜在的な問題を検出する「テレヘルス」的なチェックアップを提供するものである。具体的には、Amberはテスラの診断ツールキットにアクセスし、車両のファームウェアコードやアラート、バッテリーマネジメントシステムの情報を取得する。

この診断によって、バッテリー故障の予兆や重大なシステムエラーを事前に検知できる点が大きな特徴である。また、AmberCareの申請者には、無料で基本的な遠隔診断を提供し、さらに詳細な診断を希望するオーナーには99ドルで有料版も提供される。

この新サービスは、特にテスラのカスタマーサポートが不足していると感じるオーナーにとって、大きな価値を提供するものであり、車両の状態を把握するための重要な手段となるだろう。

カスタマーサポートの強化とサービスの成長

Amberはカスタマーサポートの強化にも力を入れている。これまでに100人の顧客を獲得しており、顧客からの高い評価を受けている。AmberのCEOであるジョー・パク氏は、顧客からのフィードバックを重視し、特にテスラのサポート体制に不満を持つユーザーに対して、迅速かつ丁寧な対応を提供することで信頼を築いている。

Amberのサポート体制には、元テスラのシニアリモート診断技術者やサービスアドバイザーが参加しており、車両に関する深い知識と経験を活かして、顧客に対する精度の高いアドバイスを行っている。また、Amberのサービスには電話サポートも含まれており、これがテスラサポートへのアクセスの難しさに悩むユーザーにとって、重要な要素となっている。

このようなカスタマーサポートの強化により、Amberは顧客基盤を着実に拡大し、今後の市場展開に向けて順調な成長を遂げている。

今後の展開:Rivian、Kia、Hyundai向けの計画

Amberはテスラ車以外のEVにも保証サービスを拡大する予定である。2024年末までにRivian向けの保証プランが提供され、2025年の第1四半期にはKiaとHyundaiのEVにもAmberCareが利用可能となる見込みである。この動きは、Amberの事業を多様化し、より広範なEV市場に対応するための重要なステップである。

さらに、Amberはディーラーやフリートオーナー向けにも新たなビジネスラインを展開する計画を明らかにしている。車両データの遠隔診断技術を活用して、購入前の認定プログラムを提供することで、中古EVの購入プロセスにおけるバッテリー状態に関する不透明さを解消することを目指している。

このような取り組みは、EV市場全体の信頼性を高め、特にバッテリーの劣化が中古EV購入の際の主要な懸念事項となっている現状において、重要な役割を果たすと考えられる。Amberの次なるステップに注目が集まっている。

Reinforz Insight
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