編集部
OpenAIの新しいAIモデル「Strawberry」が、今後2週間以内にリリースされる見通しである。
このモデルは、従来のAIとは異なり、応答に10〜20秒の時間をかけることで、より精度の高い回答を提供することを目指している。
一方で、シンプルな質問に対しても反応が遅れる場合があり、すべての利用シーンで優位性が発揮されるかは未知数である。
「Strawberry」とは何か？その特徴と進化
OpenAIの新しいAIモデル「Strawberry」は、これまでのAIモデルとは異なる特徴を持っている。最大の違いは、応答の際に10〜20秒の「思考時間」を設ける点である。従来のAIが即座に回答を返すのに対し、Strawberryはこの時間を活用してより慎重に考慮した上で回答を生成する。
この遅延は、特に複雑な問題や段階的な思考を必要とするタスクにおいて効果を発揮するとされている。たとえば、数学の問題やプログラミングのタスク、あるいはビジネス関連の複雑な戦略立案などにおいて、正確で論理的な回答を導き出すことが期待されている。また、このAIは過去の対話を記憶し、ユーザーに応じたパーソナライズされた応答を提供することも可能であると言われている。
しかし、これらの高度な機能はリソースを消費するため、応答速度が遅くなるケースもある。シンプルな質問に対しても時間をかけることがあり、そのためすべてのシーンで利用価値が高いわけではない。これにより、ユーザーは必要に応じて従来の高速なモデルと使い分ける可能性がある。
ChatGPTにおける「Strawberry」の役割と導入時期
Strawberryは、OpenAIが提供するチャットボットサービス「ChatGPT」に新たな風を吹き込む存在である。報道によると、このモデルは今後2週間以内に正式リリースされる可能性が高いとされており、当初の予定よりも早まる見込みである。
ChatGPTのユーザーは、複数のAIモデルから選択できるようになり、Strawberryもその一つとしてリストに追加される見通しである。ただし、このモデルがどのように提供されるかについてはまだ詳細が明らかにされていない。Strawberryは、他のAIモデルとは独立したオプションとして提供される可能性があり、価格体系も異なる可能性がある。たとえば、ユーザーが1時間あたりに送信できるメッセージ数に制限が設けられ、その上限を超える場合は追加料金が発生する高額プランが用意されるという。
また、有料ユーザーであるChatGPT Plusの利用者は、無料ユーザーに先駆けてStrawberryにアクセスできるとされている。これにより、Strawberryが市場にどのように受け入れられるかが試されることになる。次期ChatGPT 5の登場まで、このStrawberryがChatGPTの進化をリードすることになるだろう。
制約と課題：遅延と応答精度のバランス
Strawberryの導入において、最大の課題はその応答時間の遅延である。Strawberryは複雑な問題に対しては的確な回答を提供できるが、シンプルな質問に対しても10〜20秒の遅延が発生することが指摘されている。このため、特に短時間での回答を求められるシーンでは不満が生じる可能性がある。
初期のテストユーザーからも、Strawberryがすべての状況で既存のChatGPTモデルに対して優位性を発揮するわけではないとのフィードバックがある。特に簡単な質問に対しては、遅延に見合ったメリットが感じられない場合もあり、ユーザーがストレスを感じることが懸念されている。また、Strawberryの記憶機能に関しても一貫性に欠ける点が見られており、パーソナライズされた応答が期待通りに提供されないこともある。
この遅延と応答精度のバランスは、今後のアップデートやユーザーからのフィードバックを通じて改善されることが期待される。とはいえ、こうした課題が完全に解消されるまでには時間がかかる可能性があるため、初期ユーザーは利便性と性能のバランスを考慮しながら使用する必要がある。
今後の展望：GoogleのAI「Gemini」との競争
Strawberryの登場により、AI分野における競争がさらに激化することが予想される。特に、Googleが開発したAI「Gemini」との対立が注目されている。Geminiは、すでにGoogleのPixel 9シリーズにデフォルトで搭載されており、Googleの各種アプリやサービスに深く統合されている。
Geminiはマルチモーダル対応のAIであり、テキストだけでなく画像や音声などのさまざまな形式に対応する点で、Strawberryとは異なるアプローチを取っている。これにより、より多様なタスクをこなすことができ、すでにユーザーからの支持を集めつつある。
OpenAIのStrawberryがどこまで競争力を持つかは、今後の改善とアップデート次第である。しかし、GoogleのGeminiは着実にそのシェアを拡大しており、AI市場の覇権争いはさらに熾烈を極めるだろう。Strawberryは、次期ChatGPT 5が登場するまでのつなぎとしての役割を果たす一方で、AIの進化の最前線に立ち続けるための重要なステップとなる。