編集部
Android 15では、性能クラス15に準拠するデバイスに対し、Ultra HDRの対応が義務化されることが明らかになった。JPEG_Rフォーマットを使用することで、デバイスはHDR対応と非対応の両方のディスプレイに適応する画像表示が可能になる。この要件は主にハイエンド端末に適用されるが、今後のカメラアプリ開発にも大きな影響を与えるだろう。
Android 15の性能クラス15とは？
Android 15で導入される性能クラス15は、主にハイエンドデバイス向けに設定された新たな基準である。このクラスは、従来のAndroidシステムにおける基本的な要件を超えた、より高度なハードウェアとソフトウェアの能力を求めるものであり、アプリ開発者が端末の性能を迅速に把握し、最適な体験を提供するための基準として機能する。
性能クラスは、Android 12から導入され、バージョンごとに異なる要件が設定されてきた。たとえば、Android 12では主にデバイスの基本的な処理能力が評価されていたが、Android 15ではHDRビデオのコーデックサポートやAV1デコーディングのハードウェアアクセラレーションなど、より高度なマルチメディア機能も重視されている。
これにより、開発者は性能クラスに応じてアプリを最適化し、ユーザーは自分のデバイスが最新の技術に対応しているかを確認できる仕組みとなっている。特に、性能クラス15に対応するデバイスは、画像や動画の表示において従来よりも高い品質を提供できるようになるだろう。
Ultra HDR対応が必須に：JPEG_Rフォーマットの導入
Android 15における最大の新機能のひとつが、JPEG_Rフォーマットを用いたUltra HDR対応の義務化である。性能クラス15に準拠するデバイスは、背面と前面の主要カメラでUltra HDRをサポートし、JPEG_R形式での画像出力がデフォルト設定となる。この新しい画像形式では、HDR対応のディスプレイでより鮮明で明るい画像が表示される一方で、HDR非対応のディスプレイでも適切にSDR（標準ダイナミックレンジ）の画像が表示される。
JPEG_Rフォーマットの導入により、Androidデバイス間での画像表示の一貫性が向上し、異なるデバイス間での互換性も確保される。従来、OEM各社が独自のHDRフォーマットを採用していたため、互換性の問題が発生することがあったが、このフォーマットの標準化により、その問題は解決される見込みだ。
また、このUltra HDR対応はカメラアプリだけでなく、サードパーティのカメラアプリにも波及する可能性があり、Android全体でのHDR対応の強化が期待される。
高性能端末のみが対応する新しい要件
性能クラス15の要件は、すべてのAndroidデバイスに適用されるわけではない。これは主にハイエンドデバイスを対象としており、最新の技術に対応できる高性能なハードウェアを搭載した端末に限定される。
Android 15がリリースされても、性能クラス15の要件を満たす端末は一部に限られる見込みであり、多くの中価格帯やエントリーモデルのデバイスではこの基準に適合しない可能性が高い。特に、カメラ性能や映像処理能力が重視されているため、これらの分野で特に優れたハードウェアを持つデバイスが性能クラス15に対応することになるだろう。
しかし、GoogleはOEMに対して、性能クラス15の基準を目指すことを推奨しており、将来的にはより多くのデバイスがこの高い基準に適合する可能性もある。これにより、ユーザーはより広範なデバイスで、Ultra HDRなどの最新技術を享受できるようになると予測されている。
カメラアプリとサードパーティアプリへの影響
Android 15でのUltra HDR対応は、カメラアプリやサードパーティアプリにも大きな影響を与えるだろう。性能クラス15に準拠するデバイスでは、デフォルトのカメラアプリがJPEG_RフォーマットでのUltra HDR出力をサポートすることになる。これにより、デバイスのカメラ性能が大幅に向上し、より高品質な画像を提供できるようになる。
さらに、この機能はカメラアプリだけでなく、InstagramやSnapchatなどのサードパーティの写真共有アプリにも影響を与える可能性がある。これらのアプリがUltra HDR対応の画像を適切に処理できるようにするためには、アップデートが必要となるだろう。
この変化により、Androidエコシステム全体でHDR対応の写真や動画の品質が向上し、ユーザーはより高品質な視覚体験を享受できるようになることが期待される。特に、プロフェッショナルな写真撮影や映像制作を行うユーザーにとって、この技術は大きな進化となるだろう。