編集部
損害保険ジャパンは、SOMPOリスクマネジメントやアニモと共に、AIを活用した生産設備の異常検知サービス「レオセントキット powered by ANIMO Cloud」を発表した。
このサービスは、従来の振動センサーでは捉えられなかった超音波を用い、異常を早期に検知する仕組みを提供する。
2024年9月より、トライアル実証評価サービスとして、より多くの企業がこの技術を体験できるようになっている。
AIとIoTで生産設備の異常検知を革新
損害保険ジャパンとSOMPOリスクマネジメント、アニモが協力し、AIとIoT技術を活用した新たな異常検知システムが開発された。従来の技術では検知が難しかった超音波領域の異常音を、クラウドで収集・解析することで、設備の故障予兆を的確に捉えることができる。この「レオセントキット powered by ANIMO Cloud」は、生産現場における回転機器の異常検知を主な目的としている。
生産設備のIoT化はこれまで高コストや手間が課題とされてきたが、今回のシステムはその導入を大幅に簡素化することで、多くの企業にとって現実的な選択肢となる。技術者の高齢化や人手不足が進む中、これらの課題を解決する手段として、AIやIoTの導入は不可欠であり、このサービスがその第一歩となることが期待される。
トライアル実証評価サービスが提供され、企業はこの技術を手軽に体験できる環境が整いつつある。これにより、AI技術の活用が一層促進され、企業の競争力向上にも寄与するだろう。
超音波センサーが可能にする早期故障発見
レオセントキットの最大の特徴は、超音波センサーを活用した異常検知機能である。従来の振動センサーでは捉えきれなかった超音波帯域のデータを収集し、それをクラウドで解析することで、異常の早期発見が可能となる。特に、生産設備の回転機器から発生する微細な異音を迅速にキャッチすることができる点が革新的である。
これにより、機器の異常が拡大する前に対応が可能となり、故障による生産ラインの停止や修理コストの削減につながる。従来、異常音の検知は熟練技術者の経験に頼る部分が大きかったが、このシステムは人間の聴覚に依存しないため、技術者の不足や高齢化といった課題にも対応できる。
超音波センサーが捉えるデータは、クラウドを通じてリアルタイムで解析されるため、遠隔監視も可能であり、24時間体制での監視が実現する。この技術は、風力発電設備などでも活用が期待され、広範な応用が見込まれる。
レオセントキットによる生産効率の向上とコスト削減
レオセントキットは、生産効率の向上とコスト削減に直結するソリューションである。生産設備に取り付けられた超音波センサーが、従来では見逃されがちだった異常音を検知し、クラウドでの解析を経て迅速な対応を可能にする。このシステムにより、異常発生前にメンテナンスを実施できるため、予期せぬ故障による生産停止や、修理にかかる膨大なコストを防ぐことができる。
また、このシステムは、省人化にも貢献する。従来は技術者が現場で直接確認していた異常を、遠隔でリアルタイムに監視・解析できるため、人的リソースの節約が可能となる。さらに、クラウドを通じて蓄積されたデータは長期的な分析にも利用でき、設備の寿命を延ばすためのメンテナンス計画にも役立つ。
このように、レオセントキットは、生産現場の効率化とコスト削減を同時に実現し、多くの企業が直面する課題に対して有効な解決策を提供する。
トライアル評価サービスで広がるAI活用の可能性
損害保険ジャパンは、SOMPOリスクマネジメントとアニモと協力し、レオセントキットのトライアル実証評価サービスを2024年9月より開始した。このサービスは、有償ではあるが、企業が手軽にAIと超音波センサーの導入効果を体験できる貴重な機会を提供する。特に、生産設備の異常検知や予兆保全をAI技術で支援するサービスのため、今後多くの企業がこの技術を導入するきっかけとなるだろう。
トライアル評価サービスでは、利用期間や台数に応じた柔軟なプランが用意されており、異常検知の精度やAI化の可能性についての報告書も提供される。これにより、各企業は自社の設備に最適な導入方法を見極めることができる。
今後、さらなる協業や技術進化が進むことで、AI技術の普及が一層加速することが期待される。トライアル評価サービスは、これからの生産設備のAI化において、重要な役割を果たすことになるだろう。