Microsoftは、同社のクラウド型生産性スイート「Microsoft 365」におけるAIアシスタント「Copilot」の新たなアップデートを発表した。「Wave 2」と称されるこのアップデートでは、個別アプリのAI機能強化や自律エージェントの作成、さらにはAI主導のコラボレーションワークスペースが導入される。これにより、業務の自動化と効率化がさらに加速する見込みである。

Microsoft 365 Copilotの進化と拡張機能

Microsoft 365に搭載されているAIアシスタント「Copilot」は、2024年に入り700以上の更新と150を超える新機能を追加し、進化を続けている。その中でも注目すべきは、「Wave 2」と呼ばれる最新のアップデートである。Microsoftは、このアップデートによって、ユーザーが個々のアプリケーション内でAI機能をより効果的に活用できるよう設計した。

「Wave 2」では、Microsoft Teams、Excel、Word、PowerPointなど、主要なMicrosoft 365アプリケーションにAIの自動化機能が追加された。特にExcelでは、自然言語クエリを使用して非数値データの整理が容易になり、PowerPointでは「ナラティブビルダー」機能により、プレゼンテーション作成が迅速化されている。こうした拡張機能は、AIの力を活用してユーザーの業務効率を飛躍的に向上させる。

Microsoftは、AIを駆使した自動化とコラボレーションの新時代を開こうとしており、この進化はユーザーのワークフローを劇的に変える可能性を秘めている。「Wave 2」の機能強化は、日常業務にAIを組み込み、よりインテリジェントな作業環境を提供するものである。

AIエージェントによる業務自動化の新時代

「Wave 2」の最大の目玉となる機能の一つが、AIエージェントの導入である。この機能により、ユーザーは自律的にタスクを処理できるエージェントを作成し、Microsoft 365のワークフローに組み込むことが可能となる。エージェントは、タスクの優先順位を判断し、必要に応じてサポートを求めることができる。

エージェントは「Copilot Studio」で作成され、SharePointやDynamics 365などの組織データを活用してトレーニングされる。たとえば、エージェントはメールの返信やサポートチケットの作成などの業務を自動化することができる。これにより、日常的なタスク処理の時間を大幅に削減し、従業員がよりクリエイティブな業務に集中できる環境が整えられる。

また、MicrosoftはAIエージェントの普及を目指しており、今後は多くの企業でエージェントが日常的に利用されると予想している。将来的には、エージェントの数がドキュメントやSharePointサイトの数と同じくらい増える可能性があるという。この動きは、AIを用いた業務自動化の新たなステージを切り開くものである。

新機能「Copilot Pages」がもたらすコラボレーションの革新

Microsoftは「Wave 2」で、新たに「Copilot Pages」というコラボレーション機能を導入した。この機能は、Copilotが生成したチャット内容を共有可能な編集ファイルとして変換するものであり、人間とAIの対話が具体的な作業結果に直結する形となっている。これにより、組織内のコミュニケーションが大幅に効率化される。

「Copilot Pages」は、従来のテキストチャットを単なる会話の履歴として残すだけでなく、それをもとにして新たなアクションを実行できるプラットフォームを提供する。たとえば、ユーザーが会議の議事録を作成したり、プロジェクトの進行状況を追跡する際に、AIが自動で重要なデータを抽出し、共有可能な形式にまとめてくれる。

さらに、この機能は「BizChat」(旧Business Chat)を活用し、ユーザーのカレンダーやメール、ドキュメントなどのデータを自然言語で検索・活用することが可能だ。これにより、組織内のデータ共有や意思決定がより迅速かつスムーズに行われるようになる。「Copilot Pages」は、企業にとって新たな作業スタイルを提供する革新的なツールである。

アプリごとのCopilot新機能

「Wave 2」では、各アプリケーションに特化した新機能も次々に追加されている。まず、ExcelではPythonによるデータ解析ができる機能がパブリックプレビューとして登場しており、ユーザーは簡単な自然言語クエリで高度なデータ分析を行うことができる。また、PowerPointには「ナラティブビルダー」という機能が追加され、組織データを引き出して迅速にプレゼンテーションを作成することが可能となった。

Teamsでは、これまでの会議トランスクリプトの要約に加え、会議チャットの要約機能も一般提供されている。この機能により、会議の流れを簡単に振り返ることができ、重要なメッセージを見逃すことがなくなる。さらに、OneDriveにも新機能が追加され、ファイルの検索や要約、比較がより簡単に行えるようになっている。

Outlookには「prioritize my inbox」という新しい機能が追加される予定であり、これによりユーザーは重要なメールを効率的に優先処理できるようになる。また、Wordでも会議やメールからのデータ取得が可能になり、より包括的な文書作成をサポートする。これらの新機能は、ユーザーの日常業務を一層効率化するために設計されている。

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