編集部
インドの自動車市場では、電動化への移行が進む中、ハイブリッド車が実用的な移行手段として注目を集めている。マルチスズキとトヨタは、この動向に対応するため、次世代ハイブリッドパワートレインの開発に力を入れており、複数の新型モデルが登場予定である。
この二社は、既存のラインナップに新しいハイブリッドモデルを追加することで、燃費性能の向上と排出ガス削減を狙う。特に、7人乗りのSUVやミドルクラスのモデルが次々と発表され、ファミリー層を中心に高い関心を集めている。
インド市場を狙うマルチスズキとトヨタのハイブリッド戦略
インド市場において、マルチスズキとトヨタはハイブリッド車に注力している。両社は、電動化の進む市場においてハイブリッド技術を移行期の重要なステップと位置付け、次世代のハイブリッドパワートレインを搭載した新型車両の投入を進めている。特に、マルチスズキは既存モデルに強力なハイブリッドシステムを導入し、コストパフォーマンスと燃費のバランスを追求することで、多くの消費者にアピールしている。
トヨタもまた、インド市場でのハイブリッド車のラインアップ拡充に向けた動きを強化しており、これまでの技術力を生かして燃費性能と環境性能の向上を目指している。両社は、幅広い価格帯とモデル展開で、異なるニーズに応える多彩な選択肢を提供することを目指しており、ハイブリッド車の普及における重要な役割を担っている。こうした戦略は、ガソリン車から電気自動車へのスムーズな移行を消費者に促し、次世代モビリティ市場において優位に立つことを狙っている。
7人乗りSUV「グランドビターラ」と「ハイライダー」の新型モデル
マルチスズキとトヨタは、既存のSUVモデル「グランドビターラ」と「ハイライダー」に7人乗りの新型モデルを追加する予定である。この新しい3列シートのバージョンは、ファミリー層をターゲットにした広いキャビンと利便性を強化し、競争の激しいインド市場でのシェア拡大を目指す。デザイン面でも現行の5人乗りモデルと一線を画し、エクステリアとインテリアにわたるデザインの刷新が図られる見込みだ。
これらのモデルは、タタ・サファリやヒュンダイ・アルカサルといった競合車種と直接競合することになるが、ハイブリッド技術の導入により燃費性能や環境性能で優位に立つことが期待されている。また、ファミリーユーザー向けの新機能や安全装備の追加が見込まれており、既存の5人乗りモデルとは一線を画す商品性を持つ。これにより、マルチスズキとトヨタのSUV市場における競争力はさらに強化されるだろう。
トヨタの新型ハイブリッド「フォーチュナーMHEV」と「ハイラックスMHEV」
トヨタは、「フォーチュナー」と「ハイラックス」の両モデルに新たなハイブリッドバージョンであるMHEV（マイルドハイブリッド）を導入する予定である。この新型ハイブリッドシステムは、2.8Lディーゼルエンジンに48ボルトのマイルドハイブリッド技術を組み合わせたもので、燃費効率の向上と排出ガスの削減を図る。特に、ハイブリッド化によってパフォーマンスの向上も期待され、オフロード性能と経済性を両立させる新たな選択肢として注目されている。
フォーチュナーMHEVは2025年の発売を予定しており、ハイラックスMHEVもそれに続く見通しである。これらのモデルは、既存のディーゼル車と比べて、より環境に配慮した選択肢として位置づけられている。トヨタの新たなハイブリッド戦略は、既存の市場における競争力を高めるだけでなく、環境規制が強化される中での先手を打つものでもある。今後、インド市場におけるハイブリッド車の需要増加を背景に、これらのモデルは重要な役割を果たすことになるだろう。
次世代「フロンクス」「バレーノ」「コンパクトMPV」への期待
マルチスズキは、次世代モデルとして「フロンクス」のフェイスリフト版をはじめ、「バレーノ」の次世代モデルや新型コンパクトMPVを計画している。特に、フロンクスは競争力のある価格設定と多様なバリエーション展開で人気を集めており、次期モデルではさらなる外観や内装の刷新が期待されている。また、次世代のハイブリッドシステムが搭載される可能性も高く、35km/Lを超える燃費性能が見込まれている。
この新たなハイブリッドパワートレインは、フロンクスだけでなく、次期バレーノや新型コンパクトMPVにも展開される予定であり、マルチスズキのハイブリッド戦略を強化する。これにより、消費者はより多くの選択肢から最適なモデルを選べるようになるとともに、同社のラインナップは一層の充実を迎える。特に燃費とコストパフォーマンスの両立を図ることで、インド市場でのさらなるシェア拡大を狙う。