Microsoftは、DirectX 12が今後SPIR-Vを採用することを発表した。SPIR-VはKhronosグループが定義した中間表現で、主にVulkanやOpenGL、OpenCLで使用されている。これにより、DirectXはDXILに代わり、SPIR-Vを新たな標準として統一的な開発環境を提供する方向に進む。

DirectXとSPIR-Vの統合発表

Microsoftは2024年9月19日、DirectX 12が今後SPIR-Vを正式に採用することを発表した。SPIR-VはKhronosグループが開発した中間表現で、VulkanやOpenGLといったAPIで広く使われている。この統合により、DirectXは従来のDXIL(DirectX Intermediate Language)を廃止し、SPIR-Vを新たな標準として採用する。

MicrosoftがSPIR-Vを採用する理由は、オープンソース技術の採用と、他の業界標準との連携を強化するためである。この動きは、DirectXがより広範なプラットフォームや開発環境で利用できるようになることを目指しており、特にVulkanとの互換性が注目される。Microsoftは、Shader Model 7のリリースとともに、この移行を進める計画だ。

DirectXはこれまで、Windows向けのゲーム開発や3Dグラフィックスで大きな影響力を持っていたが、今回の決定により、より多様なデバイスやAPIにも対応する道を選んだことになる。この統合により、SPIR-Vの採用はグローバルな開発者コミュニティにとってもメリットが大きいとされている。

Shader Model 7の導入で生まれる変革

Shader Model 7の導入は、MicrosoftのDirectXプラットフォームに大きな変革をもたらす。新モデルでは、DirectX 12がSPIR-V形式のシェーダーをサポートすることが正式に発表されている。これにより、従来のDXILを使っていた開発者は、新たにSPIR-Vを採用することとなり、これまで使用していたツールや技術が刷新される。

Shader Model 7は、DirectXのオープン性を高めるための大きな一歩とされており、他のオープンソース技術との相互運用性を強化する。特に、Vulkanを使用する開発者にとっては、SPIR-Vを通じてDirectXとの互換性が容易になる点が大きな利点となる。Microsoftはこの過程で、SPIR-Vを使用したDirectXシェーダーコンパイラの提供や、既存のDXILからSPIR-Vへの変換ツールも提供する予定である。

Shader Model 7の登場により、DirectXはこれまでのWindows中心のプラットフォームから一歩前進し、よりグローバルでオープンな技術環境を提供することを目指している。

Khronosグループとの協力強化

Microsoftは今回の発表に際し、Khronosグループとの協力をさらに強化する姿勢を示している。Khronosグループは、SPIR-Vを含む複数の業界標準を策定する組織であり、特にVulkan APIの開発で知られている。この協力関係により、DirectXの開発者はVulkanとDirectXの間でシームレスに作業できるようになると期待されている。

Microsoftは、SPIR-Vを通じてDirectXのシェーダーコンパイルプロセスを改善し、オープンソース技術を積極的に取り入れる方針を明確にしている。これにより、開発者はより多様なツールや技術を使用できるようになるだけでなく、今後の技術の進展にも対応しやすくなる。また、Khronosグループとの直接的な連携により、SPIR-Vの導入がより迅速に行われることが期待されている。

この協力により、Vulkanを含むさまざまなAPI間での互換性が向上し、DirectXを利用する開発者にとっても、より柔軟な開発環境が提供されることとなる。

開発者への影響と今後の展望

DirectXがSPIR-Vを採用することで、ゲーム開発者やグラフィックスプログラマーにとっては新たな挑戦が生まれることになる。特にShader Model 7のリリース後、開発者は従来のDXILからSPIR-Vへの移行を余儀なくされるが、Microsoftはこの過渡期をスムーズにするために、SPIR-VとDXILの相互変換ツールを提供するとしている。

この移行は、単に技術的な変化にとどまらず、開発者が利用できるツールやフレームワークの選択肢を広げる点でも重要である。特に、VulkanやOpenGLを使用する他のプラットフォームとの互換性が向上するため、より多くのデバイスや環境でDirectXの技術が利用できるようになる。また、SPIR-Vの採用により、開発者は既存のツールチェーンを最大限に活用し、より効率的な開発が可能となる。

今後、DirectXがオープンソース技術をどのように活用し、どの程度の柔軟性を持つプラットフォームに進化するかが注目される。

Reinforz Insight
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