Apple Watch Series 10は、初めて音楽再生が可能なスピーカーを搭載した。しかし、果たしてその実力はどれほどのものなのか。シャワーでの使用を想定し、筆者は実験を行ったが、期待に反する結果が待っていた。
水滴の音が音楽をかき消す場面で限界を感じる一方、静かな場所ではその性能を十分に発揮する。
Apple Watch Series 10の新機能と音楽再生への期待
Apple Watch Series 10は、従来のモデルと比べて大きな進化を遂げている。新たに搭載されたスピーカーは、音楽やポッドキャストの再生が可能となり、これまでの通話や通知の音だけでなく、より多様なオーディオ体験を提供するようになった。特にApple Musicとの連携により、日常的に音楽を楽しむユーザーにとっては、より便利なデバイスとなることが期待されている。
また、Apple Watch Series 10は他にも、睡眠時無呼吸症候群のモニタリングや、従来よりも明るいディスプレイ、より早い充電速度など、実用的な改善が施されている。さらに、薄型化された筐体や、新しいチタニウム製のボディ、豊富なカラーバリエーションが特徴だ。しかし、ユーザーにとって特に注目されているのは、このスピーカー機能である。
音楽再生機能は、多くのユーザーが求めていた機能であり、特に運動中や移動中に便利に活用できると考えられている。Apple Watchというコンパクトなデバイスで、どこまで音楽を楽しめるのか、その性能に対する期待は非常に高い。
シャワーでの実験結果:意外な落とし穴
Apple Watch Series 10のスピーカーは、果たしてどのような環境で使えるのか。筆者は、シャワーでの音楽再生に挑戦した。Apple Watchは防水機能を備えているため、理論上はシャワー中の使用も問題ない。しかし、結果としては音楽鑑賞には適さないという結論に至った。
筆者はまず、静かな部屋で音楽を再生し、その音質に感銘を受けた。Appleが提供する豊かでバランスの取れた音は、小型のデバイスにもかかわらず、驚くほどクリアで温かいものだった。しかし、シャワーを開始すると、水の音がすぐに音楽をかき消してしまった。スピーカーの音量を最大にしても、シャワーの音には太刀打ちできなかった。
Apple Watchのスピーカーは、思った以上に音量が控えめで、特に大きな環境音がある場所ではその効果が発揮されないことがわかった。水しぶきの音やシャワーの落ちる音が、音楽を完全に遮ってしまう。シャワー中にApple Watchで音楽を楽しむことは、現時点では現実的ではないと言える。
Apple Watchのスピーカーが活躍するシーン
Apple Watch Series 10のスピーカーは、すべての環境で理想的に使えるわけではないが、適切なシーンではその実力を発揮する。静かな環境であれば、Apple Watchは小型ながらも豊かな音を提供できる。特にリラックスしたいシーンでは、このスピーカー機能が非常に有用である。
例えば、静かなバスタイムに音楽やポッドキャストを再生することで、より落ち着いた時間を過ごすことができる。また、家事をしながらや、軽い運動をしている時にも、このスピーカー機能は役立つ。騒がしい環境では音量が不足するものの、静かな室内や落ち着いた場面では、その音質は十分に楽しめる。
さらに、就寝前のリラックスタイムに静かな音楽を流すことで、安眠を促進する使い方も考えられる。Apple Watchのスピーカーは、あくまで静かな環境でこそ最大限にその力を発揮するため、適材適所で使うことが大切である。音量を求める場面では他のデバイスを選ぶのが賢明だ。
シリーズ10の総評と今後の期待
Apple Watch Series 10は、全体的に見ると多くの改良が施された優れたデバイスである。スピーカー機能についても、特定のシーンでは有効に機能する一方、音量が必要な環境ではその限界が露呈した。しかし、それを除けば、ユーザーにとって価値のある追加機能であることに変わりはない。
新しい睡眠時無呼吸症候群のモニタリング機能や、より明るくなったディスプレイ、大型化された画面、さらにはチタニウム製のボディは、今後も多くのユーザーにとって魅力的な要素となるだろう。また、急速充電や防水機能など、日常のさまざまなシーンで便利に使える点も高く評価されている。
ただし、音楽再生機能に関しては、他のBluetoothスピーカーと比較すると、まだ改善の余地があることは明白である。Apple Watchは常に進化を続けてきたデバイスであり、今後のアップデートや次世代モデルでのさらなる改善に期待がかかる。